ミネブロ | セララ | |||
一般名 | エサキセレノン | エプレレノン | ||
構造式 | ||||
発売年 | 2019年 | 2007年 | ||
開発 | 第一三共&エクセリクシス | ファイザー | ||
効能効果 |
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薬理 | 抗アルドステロン | 抗アルドステロン | ||
用法 | 1日1回2.5mg錠
適宜増減可 |
1日1回50mg錠
適宜増減可 |
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剤形 | 錠剤 | 錠剤 | ||
Tmax | 3.0(hr) | 1.5(hr) | ||
T1/2 | 18.6(hr) | 5.0(hr) | ||
薬価 |
1.25mg錠 | 46.9円 | セララ錠25mg | 44.7円 |
2.5mg錠 | 89.9円 | セララ錠50mg | 85.6円 | |
5mg錠 | 134.9円 | セララ錠100mg | 162.7円 | |
禁忌 |
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代謝 | CYP3A | CYP3A4 | ||
ミネブロの副作用 | セララの副作用 | |||
国内臨床試験 | 国内及び外国臨床試験 | |||
総症例:1,250例 | 総症例:3,353例 | |||
副作用発現率 | 13.0% | 副作用発現率 | 26.7% | |
1位 | 血清カリウム上昇 | 4.1% | 頭痛 | 6.1 % |
2位 | 高カリウム血症 | 1.7% | めまい | 2.6 % |
3位 | 血中尿酸増加 | 1.4% | 嘔気 | 1.9 % |
4位 | 高尿酸血症 | 1.0% | 高カリウム血症 | 1.7% |
2019年1月に承認されたばかりの新薬ミネブロ。
ミネブロは第一三共と米国の製薬会社エクセリクシスが共同開発した。 ミネブロの売上に応じて第一三共はエクセルシスに対してロイヤリティを支払う契約を結んでいる。
画期的な新薬というわけではなくミネブロと同じ作用機序を持つ薬は既にセララとアルダクトンがある。 セララはアルダクトンの構造を改造して鉱質コルチコイド受容体に対する選択性を高めた薬。
ミネブロとセララは二つとも体からナトリウムを減らしカリウムを増やす薬。
身体のどこで作用するのかと言えば尿細管の集合管。この部分では鉱質コルチコイド の一種であるアルドステロンが ナトリウムの再吸収を促進してその代わりにカリウムを排出している。このアルドステロンの働きをナトリウムカリウム交換系と言う。
アルドステロン=Na+を再吸収してK+を排出
ナトリウムカリウム交換系はナトリウムをため込む。という事は水もため込むことになる。水と塩は一緒に行動するので塩をたくさん取れば体内に水をため込み血圧が上昇する。高血圧症治療で医師が減塩と口を酸っぱくしていうのはこのため。
そしてアルドステロンは血圧を上昇させるだけではなく心臓や腎臓に対して障害を引き起こす、 心肥大やその周辺リスクが高まると知られている。人体にとってマイナス作用が大きい物質がアルドステロン。
そんなアルドステロンを阻害するのがミネブロとセララ。よってこの2つの薬は降圧作用だけでなく臓器保護作用も期待できる。セララは慢性心不全に対しても保険適応を持っている。
- 抗アルドステロン薬
- 1日1回服用
- 重度の腎機能障害には使えない。
- 血中カリウム濃度が上昇する。
- 尿酸値が上昇しやすい。
- スピロノラクトンと比較すると2つともアルドステロン受容体に対する選択性が高い
- ミネブロという名前は「ミネラルコルチコイド受容体ブロッカー」より命名
- 禁忌がセララに比べ少ない。腎機能障害においても中程度であれば使用できる
- 糖質コルチコイド受容体に対して親和性を持たない
- 鉱質コルチコイド受容体に対する選択性がセララよりも高い
- 構造が非ステロイド骨格
- セララという名前は「Selective aldosterone receptor antagonist」より命名
- 重度の肝機能障害には使えない
- 糖質コルチコイド受容体に対して親和性を少し有する
- 高血圧だけでなく慢性心不全にも使える
- 構造がステロイド骨格
本態性高血圧症における降圧作用を直接比較したESAX-HTN試験がある。
ESAX-HTN試験[無作為化二重盲検第III相試験]
対象 | 本態性高血圧症患者 |
期間 | 12週間 |
総症例 | 1001例 |
試験目標① | セララ50mgに対してミネブロ2.5mgの非劣勢 |
試験目標② | ミネブロ2.5mgに対してミネブロ5mgの優越性 |
結果
ミネブロ錠2.5mg | ミネブロ錠5mg | セララ錠50mg | |
血圧変化 | -13.7/-6.8 | -16.9/-8.4 | -12.1/-6.1 |
結果① | ミネブロ2.5mgはセララ50mgに対して非劣勢 | ||
結果② | ミネブロ5mgは2.5mgに対して優越 |
ミネブロ錠2.5mgとセララ50mgの降圧力はほぼ同じな結果。その結果を受けて薬価もだいたい同じに設定されている。(ミネブロ錠2.5mgが89.9円でセララ錠50mgが85.6円)
新薬の薬価は革新的な作用があれば高くなるがミネブロは安い。むしろ高用量だとセララの方が高くなっている。
厚生労働省的にはミネブロはそんなに画期的な薬ではないらしい。もしセララが市場に存在していなければアルダクトンの受容体選択性の低さによる副作用を減らせるというアピールができたのだが・・・
糖尿病性腎症患者を対象とした試験(ESAX-DN)が成功したら医師にアピールしやすくなる。
勉強になりました!