【富士薬品】ユリス：ユリノームとの違い 【持田】

商品名	ユリノーム	ユリス
一般名	ベンズブロマロン	ドチヌラド
承認年	1978年	2020年
開発	鳥居	富士/持田
製造販売	鳥居	富士
効能・効果	痛風
	高尿酸血症を伴う高血圧症	高尿酸血症
用法	1日1～3回	1日1回
1日量	50～150mg	導入量：0.5mg
		維持量：2mg
		最大量：4mg
適宜増減	〇	×
禁忌	本剤過敏症
	肝障害、腎結石、高度の腎機能障害、妊婦又は妊娠
併用禁忌	無
高齢者	減量するなど注意	記載無し
妊娠・妊婦	禁忌	有益性＞危険性の場合OK
授乳中	服用中は授乳を避ける	有益性＞危険性の場合OK

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユリスの作用機序

 

血中に尿酸が溜まると血管にダメージもあるのでよろしくない。

 

高尿酸血症の定義は7.0mg/以上

 

これを超えると治療の対象となる。

ただ既に痛みが出ている状態で急激に尿酸値を下げると激痛となるので緩徐に値を下げていく。

 

尿酸の原料はプリン体。

このプリン体は様々な食品に含まれているので完全にシャットアウトすることは難しい。特にビールと魚介類に含まれているのでお酒飲みに痛風発作が良く起きる。

 

では最終的に尿酸が体内に留まらなければよいのだからアプローチは2つ

 

①尿酸を作らせなくする

②尿酸をより排泄する

 

ユリノームとユリスは後者の作用機序で尿酸値を改善する。

 

具体的には近位尿細管でせっかく排出された尿酸を再吸収するURAT1（Urate transporter 1）を阻害することで尿中への尿酸排出量を増加させる。

 

この作用機序はユリノームもユリスも同じ

 

ただユリノームは他にもCYP2C9を阻害してしまったりミトコンドリア毒性があるので副作用が出やすい。そういったユリノームの副作用を減らそうと改善した薬がユリス。

 

 

 

 

臨床効果の比較（ユリノーム vs ユリス）

国内第Ⅲ相試験
対象	痛風を含む高尿酸血症患者（尿酸産生過剰型を除く
全症例数	201
主要評価項目	血清尿酸値低下率
副次評価項目	血清尿酸値6.0mg/dL以下の達成率
結果
投与群	ユリノーム錠50mg	ユリス錠2mg
酸値低下率	43.87±11.84%	45.92±11.94%
6.0mg/dL以下	83.67%	86.27%
結果	ユリス錠2mgはユリノーム錠50mgに対して非劣勢

 

 

 

 

副作用の違い

	ユリノーム	ユリス
1位	胃部不快感(0.33%)	痛風関節炎(5%以上)
2位	胃腸障害(0.29%)	関節炎(1～5%未満)
3位	瘙痒感(0.29%)	四肢不快感(1～5%未満)

 

 

 

 

 

 

併用注意薬の違い

ユリノーム	ユリス	理由	機序
ピラジナミド		効果減弱	ピラジナミドが尿酸分泌を抑制
サリチル酸製剤		効果減弱	サリチル酸製剤が尿酸排泄を抑制
ワルファリン	N/A	出血↑	CYP2C9阻害で血中ワーファリン↑

 

ユリノーム（一般名：ベンズブロマロン）は抗凝固療法に使用するワルファリンカリウムの半減期を延長させる場合があるので併用注意となっている。

ワーファリンの代謝に関わるCYP2C9をユリノームが阻害するのが理由なので2C9に対する阻害作用が弱いユリスはワーファリンと併用注意にはなっていない。

ただしユリスもCYP2C9に対してKi値10.4μmol/Lで阻害作用を有する。

 

 

 

 

 

まとめ

• 作用機序は2つともURAT1を阻害して尿酸の再吸収を阻害
• ユリスは徐々に量を増やしていく
• 妊娠中でもユリスは使う場合がある。ユリノームは禁忌
• 尿酸低下作用は2つとも同等で優劣無し
• ユリスはユリノームよりも薬物相互作用が少ない
• ユリスはワーファリンと併用注意ではない。
• 高齢者でもユリスは血中濃度ほぼ変わりなし