2019年に初のトリプル吸入薬というモノが登場した。
何がトリプルかというと中身の成分で
・吸入ステロイド薬(ICS)
・長時間作用型β2刺激薬(LABA)
・長時間作用性抗コリン薬(LAMA)
の3つがそれぞれ微妙に違う成分で入っている。
ICSとLABAの組み合わせ:ICSはβ受容体のダウンレギュレーションを防ぎ、LABAはICSの核内移行を促す相乗効果がある。
LABAとLAMAの組み合わせ:LABAが副交感神経末から出てくるアセチルコリン放出を抑制して抗コリン薬LAMAの薬理作用を増強する。
それプラスLABAが効果を発揮する場所は気管支の末梢だがLAMAは気管支中心部なので効果が気管支全体にまんべんなく効果を発揮できる。
じゃあその3つを合体させたらより効きそうということで誕生したのがトリプル吸入薬。
3製剤とも同じようにキャラに見えるが実は保険適応が異なっている。
本邦初のトリプル吸入薬として2019年5月に登場したテリルジー100エリプタはその時点だと適応はCOPDのみ。後に気管支喘息に適応が追加された。
2022年2月時点でCOPDと気管支喘息の2つに適応を持つのはテリルジー100エリプタ(200エリプタの適応は気管支喘息のみ)だけである。
逆にエナジアはトリプル吸入薬として初の気管支喘息治療薬として2020年8月に登場した。現時点でも適応は気管支喘息のみでCOPDには使えない。
ビレーズトリは他2つとは異なりCOPDの適応だけで気管支喘息には使えない。そして1日2回の吸入が必要ということで市場シェア獲得の面で不利かもしれない。
アストラゼネカが1000億円以上の大金をはたいて買収したエアロスフィアという新しい製剤テクノロジーが搭載されている。だが臨床的な効果では他2つと差は無い。
利休
ゲフンゲフン、最近タバコを吸ったあとに咳が止まらんのじゃが喘息かのう?COPDかのう?
病院で調べないとわからないので早く病院へ行きましょう。
織部
利休
どうせなら3剤入りのヤツを処方してほしいのう。一番ガツンと効くやつを。
吸入ステロイドは喉が荒れたりマイナス面もあるのでCOPDならLAMA/LABAの2剤でまず様子見した方がいいです。
織部
利休
吸入ステロイドは内服ステロイドに比べると副作用がほぼ少ないイメージなんじゃがのう。
少な目ですが不要なモノを使って副作用が起きてしまうのはよろしくありません。ただ近年はCOPDと気管支喘息が併発している病態(Asthma and COPD Overlap;ACO)が提唱されているのでCOPDでも吸入ステロイド入りの方が良い場合があります。
織部
製剤 | 特徴 |
テリルジー | |
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ビレーズトリ | |
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エナジア | |
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