バンドエイドでお馴染みのジョンソン・エンド・ジョンソン。
この会社の成り立ちは衛生の概念が確立していなかった1880年代に遡る。
ジョセフ・P・リスター博士が発表した「消毒」と「滅菌」の概念に感銘を受けた創業者ロバート・ウッド・ジョンソンが衛生的な医療機器を作ろうとしたのが始まり。
それから130年、人類の衛生、医療において大きく貢献してきた企業がジョンソン・エンド・ジョンソン。
そのジョンソン・エンド・ジョンソンは3つの大きな事業体から成り立っている。
一般消費者向け:バンドエイド、リステリン、ベビーパウダー、解熱鎮痛剤タイレノール
医療機器:使い捨てコンタクトレンズのアキビュー、手術器具、縫合糸
医療用医薬品:抗精神病薬リスパダール、リウマ治療薬レミケード、下痢止めロペミン
JNJでコアとなるのは1961年に買収したヤンセンファーマ。この会社は精神医学において重要な薬を開発したポールヤンセン博士が創業した。
医療用医薬品部門単独の売上では400億ドルでロシュやファイザーに及ばないが一般消費者向け部門と医療機器部門を合計すると800億ドルで一気にヘルスケア企業のトップになる。
それともう一つ、ヤンセン並みに重要な買収企業が1999年のバイオテクノロジー企業セントコア。この会社はレミケードを始めとする生物学的製剤で大成功を収めている。 ロシュにおけるジェネンテックの様な存在がセントコア
JNJは株式投資家にとってもお馴染みの銘柄であり半世紀以上にわたり増配している。30年前である1989年にJNJ株を購入していたとすると株価は20倍以上、もし配当再投資をしていたら40倍以上になっている。S&P500を余裕で超えるリターン。10年単位の長期投資する時に一つだけ個別株を選べと言われたら丿貫はこの会社を選ぶ。
日本でも高配当企業はあるがリーマンショックレベルの大きな景気の落ち込みがあるとすぐに減配や無配になり自社株買いも行わなくなる。
それに対してJNJは50年以上増配。リーマンショックでもITバブル崩壊でもロシア通貨危機でも淡々と配当を増やしてきた。
企業格付けは米国政府より上の最上位AAA
長らくS&Pの最上位格付けであるAAAはマイクロソフト、ジョンソンエンドジョンソン、エクソンモービルが保持していたが原油安の影響を受けエクソンモービルは脱落し現在は二社、マイクロソフトとジョンソンエンドジョンソンしか存在しない。
米国債がAA+なのでアメリカ政府よりも信頼されている企業がジョンソンエンドジョンソン。
過去5年間の株価の動き
ベビーパウダーのアスベスト混入報道で株価は急落。
本社所在地:ニュージャージー州ニューブランズウィック
この小さな地方都市にヘルスケア世界一企業の本社がある。
売上:815億ドル
研究開発費:107億ドル
営業利益:179億ドル
純利益:152億ドル
配当支払額:89億ドル
株価:128ドル
一株配当額:3.6ドル
配当利回り:2.80%
日本の国内製薬会社上位トップ10
武田アステラス 大塚 第一三共 エーザイ 中外製薬 大日本住友 田辺三菱 協和発酵キリン 塩野義製薬
この10社の売上を合計しても800億ドルには届かない。
1886年:ロバート・ウッド・ジョンソン ジェームス・ウッド・ジョンソン エドワード・ミード・ジョンソンの3人がジョンソン・エンド・ジョンソンを設立
2人ではなく3人のジョンソンさん。
1887年:ニュージャージー州ニューブランズウィックで最初に建てられたJNJの工場。14人の従業員と10万ドルの自己資金での船出。この工場で消毒用外科用訪台や縫合糸を製造した。
1888年:「Modern Methods of Antiseptic Wound Treatment」という医学専門書を発行。この本には同社の包帯なども掲載し宣伝。
1898年:デンタルフロスを製造
1901年:化粧落としを販売
1906年:サンフランシスコ大地震が起こり医薬品や包帯を救援物資として贈る。
1910年:ロバート・ウッド・ジョンソンが亡くなりジェームス・ウッド・ジョンソンが経営者になる
1921年: 一社員のアイデアからバンドエイドが発売される。
ジョンソン・エンド・ジョンソンで働く社員ディクソンの妻ジョセフィーヌはそそっかしく料理をするときによく手を怪我する。怪我をしたときに一人でも処置できるようにガーゼとテープが一体化した商品があれば良いなとバンドエイドを思い付いた。そのアイデアを会社で話したらとんとん拍子で商品化され大ヒット。100年使われるバンドエイドに。発案した社員はバンドエイドのおかげか副社長まで出世した。
1924年:初の海外拠点を英国に作る。
1943年:三代目社長ロバート・ウッド・ジョンソンJrがOur Credo(我が信条)を発表
1944年:ニューヨーク証券取引所に上場
1955年:米国で小児向け解熱鎮痛薬タイレノール・エリクシールが発売される。
1958年:抗精神病薬セレネース(一般名:ハロペリドール)を開発
1959年:タイレノールを開発したマクニール研究所を買収
1960年:麻薬性鎮痛薬フェンタニルを開発
1961年:ヤンセンファーマを買収
この買収で医療用医薬品分野に進出。
1963年:QT延長しやすい統合失調症治療薬ピモジドを開発
1969年:下痢止めロペミン(一般名:ロペラミド)を開発
1973年:ドイツ企業のDr. Carl Hahn GmbHを買収し、女性用衛生商品のラインナップを拡大
1976年:耐水性日焼け止めのサンダウンを販売
1980年:抗真菌薬イトリゾール(一般名:イトリコナゾール)を開発
1981年:フロンティアコンタクトレンズの買収
1982年:タイレノール事件が発生。株価は18%下落
1984年:統合失調症治療薬リスパダール(一般名:リスペリドン)を開発
1986年:糖尿病患者用の在宅血液モニタリング製品の製造会社LifeScan、Inc.を買収
1988年: 使い捨てコンタクトレンズのアキビューを発表
1994年: Neutrogena Corporationを買収しスキンケア商品を強化
1995年:Eastman Kodak Companyの臨床診断ユニットを10億ドルで買収
1996年: Cordis Corporationを買収。
1997年:ダウ工業平均に採用される
1998年:股関節置換術用機器などを販売するDePuy、Inc.を買収
1999年: セントコアを49億ドルで買収して関節リウマチ治療薬レミケードを手に入れる。
2008年:乾癬ならびにクローン病治療薬ステラーラ(一般名:ウステキヌマブ)を開発
2009年:潰瘍性大腸炎の治療薬シンポニー(一般名:ゴリムマブ)を開発
2016年:多発性骨髄腫治療薬ダラザレックス(一般名:ダラツムマブ)を開発
2017年:スイスの製薬会社アクテリオンを300億ドルで買収し肺高血圧症分野を強化する
2018年:多剤耐性肺結核治療薬サチュロ(一般名:ベダキリンフマル酸塩)を開発
一般消費者向けと医療機器分野は大きく売上が変わっていないが医療用医薬品が売り上げを牽引。2018年は800億ドルに到達、
営業利益と純利益
2017年はトランプ税制改正の影響。その影響がなければ大きな変動はない。
地域別売上
米国内とそれ以外で売り上げは半々。
一株益と一株配当
配当性向、純利益の中からどれだけ株主に配当を出しているかの指標。この割合は低い方が減配の可能性が低い。JNJは毎年純利益の半分を株主に支払っている。まだまだ増配の余地が大きく減配リスクは小さい。
そしてJNJは株主に対する還元策として自社株買いも行っている。2018年は52億ドル。配当総額の90億ドルと合わせて142億ドルを株主に還元している。純利益が153億ドルであるから還元率は92% 純利益の9割を株主に対して還元している。
バイオテクノロジー企業セントコアを買収してから製薬部門は右肩上がりで伸びている。レミケードは既に特許が切れて後発品が存在するが売り上げの減少が緩やかでその減少幅を他の新薬が補って余りある。
医療用医薬品だけでも400億ドルあり武田とシャイアーを足した売上よりも大きい。
一般消費者向け部門
代名詞のバンドエイドは一般消費者向け事業の中でも売上的に存在感は小さい。ドクターシーラボを買収したビューティ部門とタイレノールとロペミン、ジルテックがラインナップされているOTC部門が43億ドルと同等の規模。リステリンのオーラルケアは成長分野。ニュートロジーナやアビーノといったスキンケアも調子が良い。
医療機器部門
アキュビューのコンタクトレンズ部門が医療機器で最も売れていると思っていたが整形外科向けと手術器具がそれぞれ1兆円近くも売れていてアイケアは5000億円とその半分の規模。会社の設立当初から作り続けている衛生的な手術用具はこれまでの実績と信頼から売れ続けている。
売上トップ5(2018年)
1位:レミケード【53.2億ドル】
リウマチ治療に革命を起こした生物学的製剤 TNF-αを阻害する。
2位:ステラーラ 【51.5億ドル】
難病のクローン病に使う生物学的製剤
3位:ザイティガ 【34.9億ドル】
前立腺がん治療薬、イクスタンジと効果はそうかわりないが副作用が異なる。
4位:インヴェガ製品群 【29.3億ドル】
リスペリドンの活性代謝物で1日1回で効果がある統合失調症治療薬
5位:イムブルビカ【26.1億ドル】
慢性骨髄性白血病治療薬、発見&開発したファーマサイクリックス株主は大金持ちへ
売上トップ5の推移
抗リウマチ薬レミケードの売上は最高1兆円に達していたが今はその半分にまで落ちた。しかしクローン病や乾癬治療薬のステラーラが同規模にまで成長し来年以降は逆転する。
アッヴィと権利を分け合う抗がん剤イムブルビカも順調に成長している。前立腺がん治療薬ザイティガも成長しているがファイザーとアステラスのイクスタンジが強力。TOP5以外でも生物学的製剤シンポニーなど10億ドル以上の売上を超えている製品が多数ある。
セレネース(一般名:ハロペリドール):定型抗精神病薬、暴れる患者には注射で
ゼブリオン(一般名:パリペリドンパルミチン酸エステル):統合失調症治療薬インヴェガの長持ち注射バージョン
デュロテップMTパッチ(一般名:フェンタニル貼付剤):モルヒネより強力な痛み止め。麻薬
トラムセット(一般名:トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン)弱オピオイドの痛み止め。
トレムフィア(一般名:グセルクマブ)乾癬や掌蹠膿疱症治療薬。IL-23を選択的に阻害する。
ナウゼリン(一般名:ドンペリドン):座薬より内服の方が効果発現が早い吐き気止め
ニゾラール(一般名:ケトコナゾール)抗真菌薬、水虫の治療に
プリジスタ(一般名:ダルナビル)耐性HIV治療に。日本と米国の研究者が共同開発
リボスチン(一般名:レボカバスチン)アレルギー性結膜炎,1日4回点眼はめんどくさい
日本で痛み止めといえばロキソニン
米国で痛み止めといえばタイレノール
日本でもドラッグストアに行けばタイレノールは販売されている。
ロキソニンと違って空腹時に飲んでもいいし胃も荒らさない。タイレノールの主成分アセトアミノフェンは子供でも適用がある。インフルエンザにロキソニンは使用しないがアセトアミノフェンは使える。妊娠中や授乳中にどの解熱鎮痛剤がいいのか聞かれたらまず頼るのがこのタイレノール
これまでの使用実績からしても最も信用できる解熱鎮痛剤である。タイレノールレベルの安心感がある医薬品というのはなかなか存在しない。困った時のタイレノール。
そんな米国人にとって国民的な薬に大事件が1982年に起きた。130年以上の歴史を持つジョンソンエンドジョンソンの中でも最も重大な事件の一つ。
1982年9月30日:シカゴに住む12歳の少女がタイレノールを服用して死亡。他にもシアン化合物入りタイレノールを服用した人が亡くなるという事件が発生。
事件発生の一報を受けた当時のジョンソンエンドジョンソン会長は一週間もしない10月5日にタイレノールのリコールを発表。
市場に出回ってる全てのタイレノール約3100万個を回収するためにテレビや新聞、可能な限りの手段を用いて消費者に現時点で分かっている情報などを伝えた。タイレノールを回収するために全社員を動員し異物混入されていないタイレノールに交換するためにチケットを配布。かかったコストは1億ドル(当時のレートで230億円以上)
ジョンソンエンドジョンソンは会社の利益よりもまず消費者の命を守るという最善の行動をとった。
そしてその行動がジョンソンエンドジョンソンというブランドをさらに高みへと導くこととなった。
一時的には信頼を失い会社として危機的な状況に陥ったが回収費用1億ドルでお釣りが来るモノをジョンソンエンドジョンソンは得た。
信頼
ジョンソンエンドジョンソンは会社の利益よりも顧客の安全を優先するという信頼。
金融関係者しか知らないS & P の格付けAAAよりも大切なモノ。それが顧客からの信頼。
タイレノール事件で苦境に追い込まれたジョンソンエンドジョンソンはそれを乗り越えて顧客とそれまでより更に強固な信頼関係を作ることに成功した。
製剤技術
シアン化合物を混入した犯人が悪いというのは当たり前の話だが異物混入が容易なものを販売していたのは製薬会社としての落ち度。
このタイレノール事件を教訓にジョンソンエンドジョンソンは異物混入が難しい3層密封構造パッケージを開発した。ミスや欠陥を糧に新技術は生まれる。
こうして信頼と新しいパッケージ技術を得た。と思っていたらさらに悲劇は起こる。
四年後の1986年に2回目のタイレノール事件が発生。
ジョンソンエンドジョンソンはさらに異物混入を防ぐ強化策として剤形をカプセルからジェルキャップに変更した。困難に陥ってもそのたびに新しい技術を開発して乗り越えてきたのがジョンソンエンドジョンソン。
人生で一回も失敗しない人は居ない。失敗をどう乗り越えるかで人や組織のこれからが決まる。人生で失敗した丿貫が言うんだから間違いない。
タイレノール事件を最善の対応で切り抜け後世の教科書に危機対応の模範とされたジョンソンエンドジョンソン。
なぜそんな神対応が可能であったのか?それはタイレノール事件が起こる40年以上前に社長が発表した社是による所が大きい。この社是は半世紀にわたり社員教育の場で使われてきた。
1943年、株式公開を翌年に控えたロバート社長は取締役会でこの会社の責任を明記した社是を発表した。
それが「Our Credo」
顧客、社員、地域社会、そして、株主という4つに対する責任を明記している。
第一の責任は顧客
第二の責任は社員
第三の責任は地域社会
そして第四の責任は株主に対する責任。
①顧客
まず第一に優先されるのは顧客。
タイレノール事件では何をおいても顧客の命が優先された。
②社員
その次に優先されるべきは社員。
米国では日本と違い会社は株主の物という意識が強い、しかしジョンソン・エンド・ジョンソンは会社としてハッキリ株主よりも社員を優先すると宣言している。
社員に適切な賃金と快適な職場環境を与え安心して働ける環境を整える責任があると明記。日本でもモノ言う投資ファンドが買収してこの会社はもうファンドのモノだから賃金カット、リストラして無理やり利益を絞り出すといった事があるがこの会社には無縁。
③地域社会
地域社会に対する貢献は株主に対する還元よりも優先される。
この社是を起草したロバート・ウッド・ジョンソンは有言実行。地域医療の発展のための財団を設立し遺産12億ドルを寄付(遺言)。本社があるニューブランズウィックはお世辞にも都会とはいけない、世界的な企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンの本拠地としては意外な場所。
ニューブランズウィック州は、デラウェア州と隣接しており運河と鉄道が当時既に整備されていて原材料を仕入れて工場で製品を造り輸送するのに理想的な立地だった。今でも本社はこのニューブランズウィックにある。
100年前の創業時は鉄道と運河があり交通の便が良かったからこの地を選んだが会社の規模が大きくなった今でも本社は移転せずにニューブランズウィックに留まっている。その理由は地域貢献。この会社が移転して出ていけばこの地域に与える影響は甚大。違う街になってしまう。トヨタ自動車が愛知県から出ていったら名古屋経済が傾く。
そんな地元民のためにも1世紀以上本社を構えている。JNJ社長の名を冠したロバート・ウッド・ジョンソン病院もありこのニューブランズウィックという町はジョンソン・エンド・ジョンソンと共に生きている。
④株主
株主は前者に対する責任を全て果たした後に報酬を受け取るべきである。と記載されている。短期投資で爆益を出したい投資家には向かない企業。
そんな立派な我が信条がありタイレノール事件をはじめ様々な問題を乗り切ってきたジョンソン・エンド・ジョンソン
しかしその信頼を揺るがす報道が流れた。
1970年代から原料滑石(タルク)試験でベビーパウダーに微量アスベストが含まれていたことを把握しておきながら会社として黙殺、放置していたのではないかという。
これがもし事実であれば「我が信条」の第一に掲げている顧客に対する裏切りであり会社として大きな汚点となる。
しかしジョンソン・エンド・ジョンソンとしては全くロイターの報道を認めていない。
陰謀論であり様々な検査機関でベビーパウダーを調査したがアスベストは検出されなかったと反論している。
ロイターとジョンソンエンドジョンソン、どちらかが間違ったことを言っている。
アスベストは強力な発がん物質で中皮腫という特徴的なガンを引き起こす。日本でも問題となり2006年に規制された。なので現在販売されているベビーパウダーにアスベストが入っていることは無いと思う。商品が実際に大量に販売されているんだからサンプリング調査したら身の潔白は証明できる。
だがしかし、40年前・・・
現在の製剤技術であれば含まれていないアスベストも40年前だと不安になる。昔は普通に使われていた物質だし微量に含まれていてもおかしくない。
裁判で患者が医者や製薬会社と戦うと圧倒的に患者が負ける。何故なら訴えた患者に立証責任があるから。
しかしロイターの報道だと40年前にアスベストが含まれていたことを公表しなかったこと、それ自体が大きな問題とされている。
確かにこれなら患者はベビーパウダーを使用したからガンになったという立証をする必要が無い。リスクがあったのにそれを公表しなかったという証拠さえあれば裁判には勝てる
今現在のベビーパウダーを使っている人は安心して使えるがジョンソンエンドジョンソン株主は株価がもう一段大きく下落するリスクを覚悟すべきかも。
アメリカの裁判は陪審員が印象で決まるそうなのでリスクを顧客に隠していたのが事実なら敗訴するかもしれない。
仮に敗訴した場合、懲罰的損害賠償100億ドルになったとしてもジョンソン・エンド・ジョンソンの経営は全く揺らがない
しかし失うかもしれない信頼とブランドイメージの毀損は痛い
ジョンソンエンドジョンソン株(1989年~2018年)
今から30年前の1989年、バブル絶頂期の日本。土地や株券が空高く舞い上がり踊りまくっていた日本。三菱地所が2200億円でロックフェラーセンターを買収した1989年。
そんな狂乱の1989年にあえて米国の地味なバンドエイド企業を買っておけば当時145円だったドル円を考慮しても30倍にはなっている。
2200億円でロックフェラーセンターではなくJNJ株を買っておけばその持ち株分だけの時価総額でも現在の三菱地所の時価総額2兆5000億円を軽く上回っていた。
エクソンモービル株(1989年~2018年)
ジョンソンエンドジョンソンと共に長くS&P500格付けでAAAを保っていた石油メジャーのエクソンモービル。
石油メジャーは他セクターより積極的な配当支払いと自社株買いで投資家に昔から人気である。その石油メジャーで民間企業世界一エクソンモービルのリターンはドル建てで16倍。
同じ期間のJNJリターンはそのエクソンモービルの3倍の48倍。
これからは更に化石燃料からの脱却が進んでいく。AAAから陥落した現在でもエクソンモービルの経営に不安は無い。しかし50年後の世界でエクソンモービルが今の地位に留まっているのかは自分には予想ができない。
それに対してジョンソンエンドジョンソンは50年後はもちろん100年後であっても存在を確信できる。