【企業分析】 アッヴィ:世界で一番売れている薬ヒュミラと共に

 

 

 

この会社を語る上で欠かせないのが2017年売上世界ナンバー1のリウマチ治療薬ヒュミラ
2017年には2兆円以上の売上を記録しアッヴィ社売上全体の3分の2を占める

 

アッヴィはアボットからスピンアウトして誕生した会社。大ヒット薬ヒュミラの特許切れが常にアボット株の重しとなっていたので株主価値を高めるために分離した。そんな経緯で誕生したアッヴィにとってヒュミラはレゾンデートル。

 

現在の時価総額はアボットとアッヴィ共に1200億ドルと同規模で二つ足すとちょうどファイザーと同じ規模となる。

 

 

 

 

 

 

アッヴィ概要(2017年)

本社所在地:シカゴ

 

 

 

過去5年間の株価

株式上場している取引所:ニューヨーク証券取引所
ティッカーシンボル:ABBV

売上:282億ドル
研究開発費:50億ドル
営業利益:96億ドル
純利益:53億ドル
配当支払額:41億ドル

株価:85ドル
一株配当額:4.28ドル
配当利回り:5%

 

 

 

年間売上

 

営業利益

 

純利益

 

 

 

アッヴィの歴史

 

1888年:ウォレス・アボット医師が アボット・アルカロイド・カンパニーを設立

アボットは開業医の傍ら薬局も経営しており植物から抽出した医薬成分を販売していた
それまでアボットはキニーネやコデインといったアルカロイドを患者に処方していたが液剤しかなく時間が経つと腐敗するなど使い勝手が悪かった。

そこでベルギーで固形アルカロイド製剤の製法が開発されたと聞きそれを参考にアボットが自ら製造
含有量の正確さで大ヒット

1915年:Abbott Laboratoriesに名称が変更
1916年:戦場での傷を清拭するために防腐剤クロラゼンを開発

1921年:ウォレス・アボット医師が亡くなる
1922年:アーネスト・ヴォルワイラー博士とロジャー・アダムス博士が、画期的な麻酔薬の第一号であるブチルアルコールベースの麻酔薬ブチンを開発
1929年:大恐慌の年に新規株式公開。シカゴ証券取引所に22000株を32ドル(当時価格)でIPO

(シカゴ証券取引所)

1935年:手術で活躍する麻酔薬「ペントタール (一般名:チオペンタールNa)」を発売

1952年:マクロライド系抗生物質エリスロマイシン(和名:エリスロシン)を開発
1962年:大日本製薬株式会社との合弁事業に参入
1963年:血中甲状腺ホルモン測定器Triosorbを開発
1964年:人気の高い乳児用ミルクメーカーであるM&R Dieteticを買収
1972年:放射性免疫測定法による血清中の肝炎診断機「オースリア」を発売。
1979年:抗てんかん薬デパケン(一般名:バルプロ酸ナトリウム)を販売開始

1985年:世界で初めてHIV抗体検査を開始
1994年:吸入麻酔剤であるセボフルランを導入

1991年:マクロライド系抗生物質クラリスロマイシン(和名:クラリス)大正製薬から導入

1996年:世界初のHIVプロテアーゼ阻害剤リトナビル(和名:ノービア)を開発

2001年:BASFの医薬品部門であるKnoll社を現金69億ドルで買収。

開発コードネームD2E7 Knoll社が開発していたD2E7がのちのヒュミラ

2002年:初のヒト型抗ヒトTNAαモノクローナル抗体「ヒュミラ」の承認をFDAより取得

2004年:病院向け製品部門をHospiraという新会社として分社化(後にファイザーに買収)

2007年:現金で37億ドルでコスファーマシューティカルズを買収
2009年:Advanced Medical Opticsの買収を完了
2010年:化学会社ソルベイの医薬品部門を45億ユーロでの買収
2013年:新薬の販売や研究を行う部門をAbbVieとして1月2日にニューヨーク証券取引所に上場

2015年:ファーマサイクリックスを210億ドルで買収し抗がん剤イムブルビカを手に入れる

 

 

アッヴィの売上トップ5(2017年)

1位:ヒュミラ【184.27億ドル】
2017年売上世界ナンバーワン

 

2位:イムブルビカ【25.73億ドル】
共同開発したジョンソン・エンド・ジョンソンが米国外の販売権を持つ

 

3位:HCVフランチャイズ【12.74億ドル】
マヴィレットやハーボニーは極めて高い治癒能力がある。という事は患者さんが減り売上も・・・

 

4位:CREON【8.31億ドル】
膵外分泌機能不全患者に

 

5位:Lupron【8.29億ドル】
リュープリン製剤、製剤学的工夫を凝らしておりロングセラー

 

過去に開発した薬

エリスロシン(一般名:エリスロマイシン) マクロライド系抗生物質
エンシュアリキッド:バニラ味,コーヒー味及びストロベリー味などがある栄養剤
カトレラ(一般名:ロピナビル・リトナビル)プロテアーゼ阻害薬で内用液もある
シナジス(一般名:RSウイルスモノクローナル抗体)RSウイルス感染症の重症化を防ぐ
デュオドーパ(一般名:レボドパ・カルビドパ)パーキンソン病のウェアリングオフ症状を改善
ノービア(一般名:リトナビル)抗HIV薬だが併用禁忌が沢山あるので注意
ホクナリンテープ(一般名 ツロブテロール):貼り薬の喘息薬
ポリフル(一般名 ポリカルボフィルカルシウム) 下痢にも便秘にも、錠剤は巨大で飲みにくい
ルボックス(一般名:フルボキサミン) 日本初のSSRI パキシルの先輩
ヴィキラックス(一般名:オムビタスビル/パリタプレビル) ジェノタイプ1型C型肝炎

 

ヒュミラについて

 

ヒュミラの売上

 

ヒュミラはアッヴィ社の命運を握る薬。もしヒュミラが無ければアッヴィに分社されることもなかった。まさに会社の命運を変えた薬
なので常にその特許切れが心配されて株価を下に押し下げる。

欧州や日本では米国より早く特許が切れるがメイン市場の北米はまだ数年の猶予がある。

 

 

 

アッヴィ社売上に占めるヒュミラの割合

 

イムブルビカやマヴィレットといった薬も売れているがそれ以上にヒュミラの売上の伸びが凄い

なぜヒュミラがここまで売れているか?

 

効果と便利さ

 

ヒュミラと同じクラスの薬にレミケードとエンブレルがある。
リウマチの原因の一つがTNF
3剤とも腫瘍壊死因子(TNF)を邪魔してその作用を抑制する。

ヒュミラとレミケードとエンブレルの3つに劇的な差は無い。違うのは投与方法。

 

レミケードは病院で点滴(2時間以上)とメトトレキサート併用必須
エンブレルは皮下注射製剤だが週に2回必要

それらに対してヒュミラは自宅で皮下注 しかも2週間に1回
誰だって注射はしたくない。頻度は少ない方がいい。

 

幅広い効能効果

 

ヒュミラはリウマチだけでなく様々な疾患に使用できる

関節リウマチ
尋常性乾癬,関節症性乾癬,膿疱性乾癬
強直性脊椎炎
腸管型ベーチェット病
クローン病
潰瘍性大腸炎

 

ヒュミラは完治薬でなくコントローラー

 

偽物の薬が出回り話題となったC型肝炎治療薬ハーボニー
超高額薬価で開発したギリアドサイエンシズは大儲け
しかしギリアドサイエンシズ株価は下げている。

なぜならハーボニーはほぼ完ぺきに病気を治してしまうので患者数が減少してしまい売れなくなった。完治させる薬はいつか売れなくなる。

 

これに対してヒュミラは基本的に継続して治療する薬。
最近の研究でヒュミラで症状が収まった患者さんを対象にヒュミラを辞めたら再発するかの試験が行われているが1年後には約半数が辞めたらリウマチが再発する。

使ったら症状を抑えられるが使わないと再発する。売れる薬の理想形

 

しかし特許が切れるとその売上にも陰りが見える。

ヒュミラの有効成分アダリムマブのバイオシミラーがこれから続々発売される。

 

日本でも協和キリン富士フイルムバイオロジクスが「ヒュリオ」というバイオシミラーを開発中。

バイオシミラーの影響がどの程度ヒュミラの売り上げに影響を与えるのか。

 

 

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