【授乳】 ナウゼリンとプリンペランの違い 【妊婦】

ナウゼリンとプリンペラン

 

ナウゼリンとプリンペラン

 

日本で吐き気止めといえばこの二つ、二つとも30年以上の歴史がある。

吐き気を止める作用機序は共通しており服用方法も同じ。

 

しかし細かく見ればこの二つには違いがある。

 

 

妊娠中にはナウゼリン?プリンペラン

妊娠中の吐き気にはプリンペラン
授乳中の吐き気にはナウゼリン

 

この使い分けが現在のデファクトスタンダード

 

なぜこのように決まっているのだろうか?

結論から言うと添付文書にナウゼリンは妊娠中禁忌と記載されている。

ナウゼリンは動物実験(ラット)で骨格、内臓異常という催奇形作用が報告された。なので人間でも妊娠中は使わないこととなっている。

 

しかし動物実験で奇形が出たからといって人間にも奇形が出るとは限らない。

禁忌という言葉には二つの意味がある。

 

服用すると明らかに有害だから使用してはいけない場合

安全が確認されないから服用してはいけない場合

 

薬の安全性試験は通常だと健常な成人の男性を対象に治験を行う。

催奇形性を調べるために実際に妊娠している人に投与する。そんなことは倫理的に不可能なので製薬会社としてはリスクを避けるために禁忌と設定している。

 

日本ではほぼ全ての薬で妊娠中は使わないこと、もし使うのであれば医師の責任において使用する事となっている。製薬会社は責任を全部医者に投げている。

 

妊娠中の患者さんが来て薬を処方したいと思って添付文書調べてみても

 

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

 

としか記載されていない、もしくは最初から禁忌。

こういった場合はどうしても使いたい薬だと海外での文献を探ることになる。

 

妊娠中の薬のリスクを客観的に評価しているものにオーストラリア分類というものがある。

 

この分類は7つに分けられているがナウゼリンは安全性において上から三つ目に安全なB2というカテゴリに属している。

 

オーストラリア基準[B2]

妊婦および妊娠可能年齢の女性への使用経験はまだ限られているが、この薬による奇形やヒト胎児への直接・間接的有害作用の発生頻度増加は観察さていない。
動物を用いた研究は不十分または欠如しているが、 入手しうるデータでは、胎仔への障害の発生が増加したという証拠は示されていない。

 

今のところ人間においてナウゼリンが奇形を増やしたというデータはない。もし万が一妊娠中に知らずにナウゼリンを服用してしまったとしても 過度に心配する必要はない。服用するのを止めて落ち着いてプリンペランに切り替えたらいい。

 

なぜならプリンペランはオーストラリア基準でカテゴリー A

 

多数の妊婦および妊娠可能年齢の女性に使用されてきた薬だが、それによって奇形の頻度や胎児に対する直接・間接の有害作用の頻度が増大するといういかなる証拠も観察されていない。

 

プリンペランは妊娠中に服用しても安全な薬と評価されている。

このオーストラリア基準を見てもやはり妊娠中の吐き気にはプリンペランを使うべき。

 

授乳中はどちらを使ってもいいが安全性評価がより高いのは逆にナウゼリン。

ナウゼリンの場合は副次的な作用として母乳分泌促進作用があるのであえて授乳中に使われる場合もある。

 

 

パーキンソン病とナウゼリン

パーキンソン病は脳内のドーパミンが不足している状態。なので補うためにレボドパなどを服用する。それなのにドーパミンをブロックするナウゼリンを服用してもいいのだろうか?結論は

 

服用可能

 

ナウゼリンとプリンペランの大きな違いに血液脳関門の通過性がある。

 

ナウゼリンは血液脳関門を通過しない。故に脳へ移行しない。

なのでパーキンソン病の副作用である吐き気に末梢的に作用して吐き気を改善し脳内のドーパミン量は影響されない。

 

レボドパで頻発する吐き気を抑制する目的でナウゼリンは処方されるがナウゼリンには吐き気を止める以外に消化管の動きを促進する作用もあるためレボドパの吸収率を上昇させる。一石二鳥な薬である。

 

だが逆にプリンペランはパーキンソン病患者に使用してはならない。プリンペランは脳内へ移行する。脳内でドーパミンをブロックする。ただでさえドーパミンが足らないパーキンソン病患者のドーパミン量が減ってしまう。

 

こうした理由からパーキンソン病患者の吐き気にはナウゼリンを使用する。保険適用もある。

 

 

ナウゼリンとリスパダール
商品名 ナウゼリン リスパダール
構造式
一般名 ドンペリドン リスペリドン

ナウゼリンの特徴的なリスクとして不整脈がある、添付文章の慎重投与にも記載されている。心電図のQT間隔が延長し徐脈性不整脈が起こる可能性ある。

海外の研究ではドンペリドン服用患者で突然死が1.5倍以上増加した。欧州医薬品庁もドンペリドンに対する注意喚起を行っている。

 

なぜQT延長するのか?

 

抗精神病薬のゴールドスタンダードであるリスパダール(一般名:リスペリドン)

 

ナウゼリンの一般名はドンペリドン

リスパダールの一般名はリスペリドン

 

ドンペリドンとリスペリドン
偶然名前が似ているわけではない

 

構造式に共通部分がある。ナウゼリンが抗精神病薬に近い存在であることを示している。

 

リスペリドンを始めとする抗精神病薬にはQT延長リスクが付きまとう。ドンペリドンは中枢へ行かないから抗精神病薬としての作用はないが脳以外の抹消には作用する。心臓にも作用する。

ドンペリドンを扱う時は抗精神病薬レベルの注意を払うべき。

 

 

プリンペランとドグマチール
商品名 プリンペラン ドグマチール
構造式
一般名 メトクロプラミド スルピリド

プリンペランにも似た構造を持つ抗精神病薬がある。

その名はドグマチール。

 

開発順はプリンペラン→ドグマチールなのでドグマチールがプリンペランに似ているというべきか

 

ドグマチールはもともと胃薬として開発された。胃潰瘍にも正式に保険適用があるし吐き気にも効果がある。抹消で作用し胃運動を促進する。より高用量では過剰なドーパミンを抑制して統合失調症の治療薬として使うユニークな薬。

 

構造式を見ても二つともベンザミド系という共通構造をしており製薬会社も同じでフランスのサノフィが開発した。

 

ドグマチールの方がプリンペランよりも中枢への作用が強いのでよりそのぶん錐体外路症状や高プロラクチン血症が見られる。

 

そういった中枢性への副作用リスクが相対的に低いのがプリンペラン。

 

だが低リスクと言っても中枢へは移行するので副作用として錐体外路症状などは常に気を付ける。プリンペランの他の副作用を見ても悪性症候群や遅発性ジスキネジアといったthe 抗精神病薬といった副作用が記載されている。

 

 

なぜ安易に吐き気止めを使ってはいけないのか

吐き気を抑えたくてドラッグストアに薬を買いに行ってもナウゼリンもプリンペランも置いていない。

同じ成分の薬もない。

二つともとっくに特許が切れているが市販の薬では存在しない。なぜか?

 

それは吐き気が身体の異常を知らせる重要なシグナルであるから

 

何かしらの病気の結果、吐き気という自覚症状が現れる。

 

風邪の症状としても吐き気は現れるがもっと重篤な病気。たとえば腸閉塞でも吐き気は現れるし脳炎でも吐き気は現れる。吐き気を自己判断で対処するのは難しい。

 

医師も吐き気の鑑別には慎重になる。

 

ナウゼリンやプリンペランといった薬は吐き気に有用な薬ではあるのだが重篤な病を隠してしまうというリスクがある。ヘタに吐き気を誤魔化すと受診が遅れたりする。

 

では吐き気があるときはどうしたらいいのか?

  1. 吐き気があるときは我慢せずに吐く
  2. 吐き気が落ち着いたらOS1などの経口補水液を摂取
  3. 時間がたったらお粥など消化に優しいものを食べる。

 

 

丿貫の場合

生牡蠣を食べてノロウイルスに当たったことがある。

自分の意識ではどうしようもないレベルの嘔吐と下痢。

自分の四次元ポケットに入ってたナウゼリンとビオフェルミンを服用してみたが無意味

神様に祈ってもみたが無意味

 

ナウゼリンという人類の英知の結晶も神への祈りもノロウイルスには通用しない。トイレの中でひたすら時間が経つのを待つしかなかった・・・

 

トイレの中ではこの世の真理を探求した。

なぜこの苦しみは存在するのか?

なぜ一日前は平和だったのに今日は地獄なのか?

昨日という平和な時間は真に存在したのか?

昨日の昨日は存在したのか?

昨日の昨日の昨日は存在したのか?

常に前日というものが存在するのであればひたすら遡ると最初の始まりの日とはいつなのか?

最初の日があるとすればその前日は時間が無い?

ならばなぜ突然時間が開始されたのか?神が時を開始したのか?

 

しかし神はいない。あるのはノロウイルスだけ

こういう高次元な思考をしている最中にもノロウイルスの津波は訪れ、そのたびに自分の思考回路は破壊された。

 

 

 

 

 

~地獄の半日が経過~

 

 

 

 

 

真っ白に燃え尽きたあしたのジョーの如き状態となった。

が、体から全てのものを出し切ると楽になる。

ふらふらになりながら近所のドラッグストアに行き買ってきたOS 1を飲んだ。

 

体に染み渡っていく。この時のOS-1はとても美味しかった。以前試飲した時とは大違い。

OS-1を飲んでおいしく感じるのは既に脱水状態だと言われたことを思い出した。言われなくてもこの時は中身空っぽの脱水状態でOS-1をタラタラ飲む。

 

それから半日ぐらい経過してレトルトのおかゆを食べた。

 

水分補給も兼ねたかったのでお椀にお粥を出して水を足しそれを電子レンジでトロトロになるまで温める。

おかずは梅干しだけ。口に梅干しを含むとそれだけで唾液が出てくる、どうやら自分の生体機能は正常に稼働しているようだ。

 

塩分が不足している時に塩を取ると本当に旨く感じる。本能的に塩分を必要としている。

 

その日はもう一度お粥と梅干しを食べた。OS-1も補給。

二日経過した段階では既に吐き気も下痢も収まっていた。

 

この地獄を経験して分かったこと。

 

下痢嘔吐の時に必要なものはナウゼリンでもプリンペランでも神様でもない。

 

それは

 

 

 

水と塩

 

【授乳】 ナウゼリンとプリンペランの違い 【妊婦】” への4件のフィードバック

  1. 毎度面白い記事をありがとうございます。

    私はノロにかかったことがないんですが、上から下から際限なき無間地獄と聞きますね。そうするとどんな体勢で頑張っても、トイレの床が無傷で終わることは絶対に不可能に思えるんですが、やっぱり戦闘後は物理的な空間も地獄になるんでしょうか…?死にたくなりますね。

    笑い事じゃないですが、死にたくなるのに致死率0%、これだけの苦痛と屈辱を与えながら絶対死なないというのもまた面白いです。

    死ぬ前に1度ぐらい経験…したいような、したくないような、まぁこんなものしない方がやっぱり絶対いいものでしょうか。

    やはり健康が何より一番なのかもしれませんね。

  2. 生食用を食べたんですが見事に当たりました。量的にはほんの少しだったんですが、ノロウイルスを一度経験すると牡蠣が怖くなります。

    ノロウイルスを経験したければ生牡蠣食べ放題にチャレンジするのもいいかもしれません。お腹一杯のノロウイルス・・・

    超自己責任で

  3. いつも楽しく勉強させていただいています。
    とても門外漢とは思えないほど専門性の高い&わかりやすい記事が多く、毎回腰を抜かしておりますが、以前は医療関係のお仕事をされていたんでしょうか。
    それにしてもノロウイルスのくだりには笑ってしまいました。私も経験がありますが、自宅のトイレがあたかも精神と時の部屋のように感じられましたね。

  4. ドラッグストアでバイトしていたことはあります。ただドリンクをつんだり長時間レジしたりかなり体力が必要で長続きしませんでした。

    ノロウイルスに罹患すると時空が歪みます。カイジ並みにぐにゃあと

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