パキシル | ジェイゾロフト | レクサプロ | |
一般名 | パロキセチン | セルトラリン | エスシタロプラム |
構造式 | |||
発売年 | 2000年 | 2006年 | 2011年 |
開発会社 | GSK | ファイザー | ルンドベック |
販売会社 | GSK | ファイザー | 持田 |
等価換算 | 20mg | 50mg | 10mg |
効能効果 | |||
鬱 | 〇 | 〇 | 〇 |
パニック障害 | 〇 | 〇 | × |
強迫性障害 | 〇 | × | × |
社会不安障害 | 〇 | × | 〇 |
PTSD | 〇 | 〇 | × |
用法 | 1日1回夕食後 | 1日1回(いつでも) | 1日1回夕食後 |
Tmax | 5.05時間(20mg錠) | 8.7時間(50mg錠) | 3.8時間(EM)
4.8時間(PM) |
T1/2 | 14.35時間(20mg錠) | 22.5時間(50mg錠) | 27.7時間(EM)
51.2時間(PM) |
主な代謝酵素 | 2D6 | 2C19、3A4、2C9 | 2C19、2D6 |
授乳(Hale分類) | L2 | L1 | L2 |
妊娠(AU分類) | D | C | C |
再取り込み阻害作用IC50(nM) | |||
セロトニン | 0.3 | 0.2 | 2.1 |
NA | 81 | 160 | 2500 |
選択性 | 270倍 | 800倍 | 1190倍 |
禁忌 | |||
MAOB阻害薬 | ● | ● | ● |
ピモジド | ● | ● | ● |
QT延長患者 | ● | ||
重大な副作用 | |||
悪性症候群 | ● | ● | |
肝機能障害 | ● | ● | |
せん妄、錯乱、幻覚、妄想 | ● | ● | |
アナフィラキシー様症状 | ● | ● | |
QT延長 | ● |
抗うつ薬の歴史は比較的浅く1950年代に結核の治療薬であるイソニアジドが偶然持っていた抗うつ作用から開発がスタートした。
イソニアジドはモノアミン酸化酵素を阻害するという特徴があり間接的に脳内セロトニンを増やす。 しかし抗うつ薬としてのモノアミン酸化酵素阻害薬は副作用が強く現在で使われていない。
それから強力な三環系抗うつ薬や副作用を少なくしてマイルドになった四環系抗うつ薬が誕生した。
だが副作用が少なくなったと言っても依然として副作用は出る。
もっとセロトニンにだけ効く薬があればな・・・ そんな中誕生したのがSSRI
SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors) はシナプス前膜から出てきたセロトニンの再取り込みを邪魔することにより脳内シナプス間隙のセロトニン濃度を高めセロトニン受容体に結合できるセロトニンを増やして抗うつ薬作用を示す。
名前からしてセロトニンにしか作用しない薬かと思いきや他の受容体にも作用するので副作用が出る。SSRIは強烈な三環系抗うつ薬と比較したらセレクティブ。
セロトニン受容体は色々種類があるが刺激すると抗不安作用を発揮する5-HT1A受容体を介した作用により抗うつ薬としての効果を発揮する。5-HT3受容体を刺激しすぎると悪心の副作用が出る。
SSRIは婦人系だとPMSやホットフラッシュにも適用外で使用される。しかしPMSには海外で正式に承認されているがホットフラッシュに対する有効性はまだ証明されていない。
特にホットフラッシュが起きやすいタモキシフェンは CYP2D6で代謝されるのでパキシルと相互作用がある。
MANGA studyという雑誌に載った抗うつ薬としての有効性と安全性を直接比較した試験結果。
日本では使われていないが米国で使われているプロザックという抗うつ薬を基準薬としている。
レクサプロさんは攻撃力、防御力共に高いレベル。最後発だがら当たり前ではある。後から発売して効果が同じなら存在する意味が無い。
- 昔からある三環系抗うつ薬(トリプタノールとか)よりはいろんな面でマイルド
- しかし5-HT3刺激により吐き気などの消化器系副作用は出やすい。
- 服用開始してから効果を感じるのに早くても一週間かかる。
- 1日1回服用
- 肝代謝型薬物
- エフピー併用は3つともNG
- 世界一使用されているSSRI
- SSRIで最も広い保険適応症を持つ(5つ)。
- SSRIで唯一徐放性剤がある。
- 服用量と血中濃度の関係が非線形で急激に血中濃度が上昇することがある。
- 代謝酵素CYP2D6に関わる薬物相互作用が起きやすい。
- 性機能障害が他のSSRIよりも出現しやすい。
- 18歳未満には有効性が見られなかったとの報告。
- 眠気、口渇、体重増加の副作用が出やすい
- 副作用が他と比較して少な目で効果もマイルド。
- 海外では1日200mgまで服用可能(日本では最高100mg/day)
- うつ病再燃の予防効果が証明されている。
- セロトニン再取り込み阻害作用IC50が0.2nMと最も小さい。
- 多種類の代謝酵素が関わるので逆に代謝酵素に関連した薬物相互作用が少ない。
- 活性代謝物(デスメチルセルトラリン)がある。
- 乳汁中への移行は少なく授乳中のリスクはSSRIで最も少ない。
- 下痢の副作用は多め。
- 12~17歳の子供に対する効果が証明されている。
- セロトニンとノルアドレナリン再取り込み阻害作用においてセロトニンに対する選択性がSSRIの中で最も高い。
- 服用初日から治療量(1日10mg)の服用が可能(他のSSRIは徐々に量を増やしていく)、しかし実際は10mg錠を半分から始める場合もある。
- QT延長の副作用が他のSSRIより出やすく禁忌に指定されている。
- 半減期が最も長い
- 代謝酵素において遺伝多型が存在し個人差が出る。
- 後発品が無い(2019年3月時点)
- シタロプラム(国内未発売)の光学分割したS-エナンチオマーがレクサプロ。ジルテックを光学分割したザイザルの様な物質