【ADHD】 コンサータとストラテラとインチュニブの違い

ADHD治療薬
コンサータ ストラテラ インチュニブ
一般名 メチルフェニデート アトモキセチン グアンファシン
構造式
発売年 2007年 2009年 2017年
開発会社 ヤンセン イーライリリー シャイアー
効能効果 ADHD ADHD ADHD(小児のみ)
薬理作用
  • ノルアドレナリン取込阻害
  • ドパミン取込阻害
  • 中枢直接刺激
  • ノルアドレナリン取込阻害
  • 中枢α2刺激
用法 1日1回 1日1~2回 1日1回
1日最高量 72mg 120mg 6mg
剤形 錠剤 カプセル・内用液 錠剤
管理区分 劇薬(第一種向精神薬 劇薬 劇薬
後発品 × ×
依存性 × ×
中枢刺激 中枢性 非中枢性 非中枢性
代謝 カルボキシルエステラーゼ CYP2D6 CYP3A4、CYP3A5
製剤 徐放性 普通 徐放性
元々の薬 ナルコレプシー 抗鬱 降圧
効果出現 一週間以内 2週間~ 1週間~
持続時間 12時間 24時間 24時間
副作用
コンサータ ストラテラ インチュニブ
1位 食欲減退(42.1%) 頭痛(22.3%) 傾眠 (57.5%)
2位 不眠症(18.5%) 食欲減退(18.3%) 血圧低下(15.4%)
3位 体重減少(12.0%) 傾眠(14.0%) 頭痛(12.2%)
血圧変動 上昇 上昇 低下
睡眠障害 不眠 傾眠 傾眠

 

ADHD(注意欠如・多動症)

授業に集中できない、宿題を忘れる、不注意な間違いが多い、落ち着きがなくじっと座っていられない、そのような子は30人クラスだと1人いるかいないかの割合で珍しくない、病気というより個性といった方がいいかもしれない。

家庭のしつけや教育が原因ではない。

ADHDには様々な症状があるが代表的なものが3つある

 

不注意:物事に取り組んでもすぐに他の事に意識がいき集中できない。内面の思考や空想に心を奪われて周りの変化に気が付かない

多動性:大人しく椅子に座れない、ソワソワする。年齢が上がれば改善するが貧乏揺すりや早口といった症状は残る

衝動性:行動をする前に考えることが難しく余計なことを口走る。唐突に怒りだす

 

現時点でなぜADHDになるのか完全には解明されていないがドパミンの不足が示唆されている。

ドパミン放出量がそもそも少ない。放出されてもすぐに再吸収されてしまう。後シナプスまではドパミンが届くのにその後のシグナルが漏れているなど。

MRIなど脳画像での診断は現時点ではできずに問診、患者さんとの対話によって診断していく。

 

3つの薬は全てドパミンシグナルの伝達を増やすことを目標としている。

 

 

コンサータ

 

  • ADHDの3つの特性である不注意、多動性、衝動性 全てに効果がある。三つの中で最も即効性があり効果も強い。
  • 直接中枢刺激作用がある。
  • 覚醒作用があり夜に飲むと眠れなくなるから1日1回朝服用する。
  • 1回服用すると12時間効果が持続する。
  • リタリン(一般名メチルフェニデート)という乱用で社会問題となった薬の徐放製剤、この徐放技術はヤンセンが他にも応用しており抗精神病薬インヴェガにも使われている。
  • 徐放性製剤なのでリタリンと比較すると依存性は少ない。
  • 噛み砕いてしまうと一気に成分が出てしまうので噛まないこと。
  • 一番多い副作用は食欲不振で朝コンサータを服用するとお昼ご飯が食べられなくなる、小学生だと給食が食べられなくなりプレッシャーとなったり成長期だと栄養が不足する可能性。
  • 学校が無い土日は休薬といった使い方も可能
  • メチルフェニデートは依存性形成に関係する側坐核のドパミンを増やす
  • コンサータを処方するには医師はコンサータ錠適正流通管理委員会に登録しなければいけない そして処方箋を受ける調剤薬局も登録が必要
  • 30日分までしか処方できない。
  • 卸会社は登録がない薬局にはコンサータを納入できない
  • 一つの作業に対する集中力がアップする(シングルタスク)

 

ストラテラ

  • 非中枢刺激性なので依存性が無い。
  • その反面、効果発現に時間がかかり2週間程度服用を継続しないといけない。
  • 一回服用すると24時間持続する。
  • 他の二つとは違い液剤がある 主成分が苦いので甘みがつけてある。 匂いはラズベリー。
  • 元々は抗うつ薬として開発されていた。
  • ストラテラは側坐核のドパミンには影響しないので依存性を生じない。
  • ノルアドレナリンを増やすので血圧が上昇しやすい。
  • 複数の作業を同時に、物事に優先順位をつけてスムーズに処理する能力が向上(マルチタスク)
  • 三つの中で唯一後発品がある。先発はカプセルだが後発は錠剤品が存在し小さくて飲みやすい。
  • コンサータと比較すると効果も副作用も穏やか

 

ストラテラ(一般名:アトモキセチン)のジェネリック医薬品(2019年2月時点)

先発薬価 最安GE薬価
ストラテラ5mg 272.5円 108.5円
ストラテラ10mg 324.7円 129.3円
ストラテラ25mg 409.5円 163.0円
ストラテラ40mg 461.2円 183.6円
ストラテラ内用液 209.2円 84.0円

 

 

インチュニブ

  • 他の二つが前シナプスに作用するのに対してインチュニブは後シナプスのα2受容体に結合しHCN(過分極活性化環状ヌクレオチド)チャネルの蓋を閉じて情報伝達の漏れを防ぐ
  • ADHDの症状の中でも多動と衝動性に対し効果的
  • 元々は高血圧の薬で低血圧の副作用があるため使い始めは血圧を測りながら慎重に使う。
  • やめる時も徐々に量を減らす。いきなり中止すると血圧が急激に上昇したり頻脈になる。
  • 1日1回で服用時点の指定はないが眠気が出やすいので夕食後に服用することが多い。(コンサータと逆)
  • カタプレスに類似した作用機序
  • 妊娠中は禁忌
  • 眠気が出やすいので危険作業(自転車の運転など)はしないこと
  • 18歳までの小児にしか適応がないが18歳まで服用していた患者さんが19歳になっても継続は可能(2019年2月時点)
  • 食欲減退が3つの中で一番マシ

 

 

 

それぞれの併用

 

コンサートとストラテラ

ストラテラとインチュニブ

コンサータとインチュニブ

 

3つとも作用機序や作用点が異なるので併用は可能。

副作用の面でみても不眠のコンサータを朝に服用し傾眠のインチュニブを夜に服用といった使い方はよく見られる。

それぞれの薬にはメリットとデメリットがあるので医師と相談しながら症状に合わせて使う。

 

 

演習問題

 

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