アッヴィがボトックス注射で有名なアラガンを630億ドルで買収

Allergan plc

 

  • アッヴィはアラガンに630億ドルを支払う
  • アラガン株主は現金と株の合計換算で188.24ドルを受け取る
  • アラガン株主は保有する1アラガン株につき0.8660アッヴィ株と120.30ドルの現金を受け取る
  • 買収は2020年初頭に完了する予定
  • この買収に伴うコスト削減は両社合計で年間少なくとも20億ドル以上
  • 新本社はアッヴィ本社があるイリノイ州のままでアイルランドへの移転は無し
  • アラガンの最高経営責任者Brent Saundersは買収後アッヴィの取締役会に入る

 

 

米製薬会社アッヴィはアイルランドの製薬会社アラガンの買収を発表。

 

買収額は約6兆7000億円。

 

武田薬品工業が買収したシャイアーとほぼ同規模の買収額となる。

 

アラガン、シャイアーというアイルランド二大製薬会社が2019年に2つとも姿を消す事となった。

 

アッヴィはこれまでリウマチ治療薬や抗がん剤といった医療分野に注力していたがアラガンが保有するボトックスブランドなどを手に入れ美容医療という新しい分野に進出することになる。

 

 

 


実は4年前には1600億ドルでの買収話もあった


Allergan plc

 

アラガンは2015年にファイザーから1600億ドルという今回より1000億ドルも評価額が高い額で買収されかかった事がある。

 

しかし成立寸前でその買収は阻止された。

 

ファイザーはアラガン買収後に法人税の安いアイルランドに本社を移して法人税を節約しようとしていたがそれ良く思わないアメリカ政府が阻止。アイルランドに移転しても節税にならないようにルールを改正してアラガン買収のメリットを無くした。

 

その結果1600億ドルという過去最大の買収劇は無くなった。

 

だがこれは今になってみればファイザーにとっては結果として幸運。

アラガン株は2015年に頂点を付けたあとはダラダラ下がり株価が半分以下に。ファイザーがアラガンを買収していたとして2015年から2019年までの4年間に買収額の差1000億ドルの効果は得られなかった。

 

逆にアラガン株主にとっては大損となってしまった。1年以上前にアラガン株を買った株主は含み損のまま買収された。2015年にファイザーに買収されていたら、もしくはその話がお流れとなって下げたところで損切しておけば良かったのだが。

 

 

 


ヒュミラ依存からの脱却を目指すアッヴィ


2018年 商品名 対象疾患 年間売上高
1位 ヒュミラ リウマチ 199.36億ドル
2位 イムブルビカ 白血病 35.90億ドル
3位 マヴィレット C型肝炎 34.38億ドル
4位 Creon 膵臓酵素 9.28億ドル
5位 Lupron 抗ホルモン 8.92億ドル

 

見ての通りアッヴィはリウマチ治療薬ヒュミラに大きく依存している。そもそもアッヴィはアボットが株主価値を高めるために分社したのがアッヴィという会社。アッヴィ=ヒュミラ。なのでこのヒュミラの特許が切れるというのはアッヴィという会社の存続、存在意義に関わる問題となる。

 

その問題の解決方法としてヒュミラが生み出した現金を活用し新薬を開発したり製薬会社を丸ごと買収すること。その戦略の一環が今回のアラガン買収。売上高2位の抗がん剤イムブルビカもファーマサイクリクスという製薬会社を買収して手に入れた薬。

 

ヒュミラの売上

ヒュミラの米国内特許は2023年までだが欧州では既に一部の国で特許が切れて同じ成分のバイオシミラーが発売されている。ヒュミラは元々はドイツの化学会社系製薬会社が開発していた。それをアッヴィの元会社アボットが買収した経緯で欧州での特許が短い。

 

 

アッヴィ社売上に占めるヒュミラの割合

アッヴィの売上高は伸びているが売上高に占めるヒュミラの割合も増えている。もしこの勢いが止まったら・・・

 

 

 


ボトックス依存からの脱却を目指すアラガン


2018年 商品名 対象疾患 年間売上高
1位 ボトックス シワ取り 35.77億ドル
2位 レスタシス ドライアイ 12.61億ドル
3位 ジュビダーム ヒアルロン酸注射 11.63億ドル
4位 リンゼス 過敏性腸症候群 7.85億ドル
5位 ルミガン 緑内障 6.84億ドル

 

アラガンにとってのヒュミラ的存在がシワ取りのボトックス。

ボトックスの場合はヒュミラとは違い特許は既に切れており後発品が他社からも発売されているが「ボトックス」という強いブランド力によって年々その売上は伸びている。ヒアルロン酸のジュビダームもそのブランド力で売上は順調。

 

そんな好調な美容ブランドとは対照的に医療用薬は冴えない。2位のドライアイ治療薬レスタシスは特許切れで前年比2億ドル以上の減少。リンゼスとルミガンは昔からある薬で売上は現状維持。

 

アッヴィは今回の買収でアラガンが開発中の薬には大きな期待はしていないと言っている。ということは現在の薬のみの評価で630億ドル。1600億ドルはとても出せないが630億ドルならなくはない。

 

 

 


独り言


医療用医薬品の色が濃いアッヴィが一般消費者向け事業に強みを持つアラガンを買収するのは意外な組み合わせだと買収発表があった時は思ったが薬が被っていないからこそ効果的な買収かもしれないと思い始めた。

 

ボトックスやヒアルロン酸注射はブランドビジネスで特許ビジネスの医療用医薬品とは全く違う世界。常に特許切れに悩まされているアッヴィにしたら特許切れの心配が無いボトックスブランドは輝いて見えたのかもしれない。

 

 

 

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