【PPI】 オメプラールとネキシウムの違い

オメプラール ネキシウム
一般名 オメプラゾール エソメプラゾールマグネシウム水和物
開発会社 アストラゼネカ
承認年 1991年 2011年
効能・効果
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群
  • ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、Zollinger-Ellison症候群
  • ヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
  • 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
  • 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
基本用法 1日1回
薬理作用 H+-K+-ATPase阻害
IC50 5.4μM 3.7μM
剤形 腸溶製剤 カプセル、懸濁用顆粒分包
立体構造 ラセミ体 S-体
代謝排泄 CYP3A4 CYP2C19 CYP3A4 CYP2C19
CYP2C19寄与率 98%(R-体) 73%(S-体)
小児 安全性は確立していない 1歳以上
売上高(2018年) 2.72億ドル 17.02億ドル

 

オメプラールもネキシウムも同じ胃酸分泌抑制剤。

製薬会社も同じアストラゼネカ。

作用点もプロトンポンプ分子のSH基と結合して阻害。

 

PPIは全て腸溶製剤なので噛み砕いたり粉砕したりしてはいけない。高齢者で錠剤やカプセルが呑み込めない時はタケプロンODへ変更。

 

 

オメプラールはラセミ体(S-体とR-体の混合物)でネキシウムはS-体のみ。鏡合わせのように立体構造が逆だと薬理作用も違ってくる。

 

製剤学的にオメプラールは腸溶性錠剤でネキシウムはカプセルだがネキシウムも腸溶性の顆粒が充填されている。

 

オメプラールとネキシウムの大きな違いは代謝酵素の影響

 

2つとも肝臓にあるCYP2C19によって代謝されるがオメプラールの方が2C19の影響を受けやすい。

2C19は個人差があり処理が早い人と遅い人がいる(CYP2C19が欠損している日本人は約2割)。

処理され過ぎると効果が無くなるし処理されないと血中濃度が高まり過ぎて副作用が増える。要するにオメプラールは個人差が大きい。

 

それに対してネキシウムはCYP2C19から受ける影響が少ないので個人差が少ない。

 

 

 

効果
対象疾患 逆流性食道炎の再発防止
期間 24週間
オメプラール10mg ネキシウム10mg ネキシウム20mg
 
全症例 187例 188例 188例
再発例 31例 22例 14例
非再発率 82.7% 87.5% 92.0%
薬価 67.7円 70.0円 121.8円

*薬価は2019年6月時点

逆流性食道炎の再発予防においてはネキシウムがオメプラールよりも有効性が高い。

ネキシウム20mgは高価なのでネキシウム10mgのがコストパフォーマンスに優れる。

 

ネキシウム10mgとオメプラール10mgに表れている差は日本人が持つ代謝酵素CYP2C19による違いも考えられる。

 

相互作用
併用禁忌
オメプラール ネキシウム
アタザナビル硫酸塩
リルピビリン塩酸塩
併用注意
ジアゼパム
フェニトイン
シロスタゾール
ワルファリン
タクロリムス
ジコキシン、メチルジゴキシン
イトラコナゾール
チロシンキナーゼ阻害薬
ボリコナゾール
ネルフィナビルメシル酸塩
サキナビルメシル酸塩
クロピドグレル硫酸塩
セイヨウオトギリソウ
メトトレキサート

HIV治療薬の2つは全てのPPIで併用禁忌となっている。胃酸pHが上昇すると吸収率が低下して抗HIV作用が低下してしまうのが理由。

 

抗血小板薬プラビックス(一般名:クロピドグレル)はCYP2C19によって代謝されて初めて薬効を発揮するのでCYP2C19を阻害するオメプラールと併用すると血液サラサラにならない。

 

逆に抗凝固薬ワーファリンはCYP2C19で代謝されるので阻害するオメプラールはワーファリンの効果を増強してしまう。

ワーファリンとは2つとも併用注意だがプラビックスはCYP2C19の影響が少ないネキシウムと併用注意に設定されていない。

 

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