商品名 | デパス | ソラナックス |
一般名 | エチゾラム | アルプラゾラム |
基本骨格 | チエノジアゼピン | ベンゾジアゼピン |
製薬会社 | 吉冨 | ファイザー |
日本発売年 | 1983年 | 1984年 |
効能効果 |
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Tmax | 3時間 | 2時間 |
半減期 | 6時間 | 14時間 |
等価換算 | 1.5mg | 0.8mg |
代謝酵素 | CYP3A4、CYP2C9 | CYP3A4 |
副作用 |
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重大な副作用 |
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禁忌 |
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2017年売上 | 53億円 | 247億円 |
*1ドル110円換算
開発の経緯
デパスは田辺三菱の子会社である吉富製薬が開発した安定剤、チエノジアゼピン系で成功したリーゼの構造にトリアゾール骨格を縮合させパワーアップした薬。
ソラナックスはセルシンを始めとするベンゾジアゼピン系の発展形として米アップジョン(現ファイザー)と武田薬品が偶然同じタイミングで同じ化合物を開発していたという経緯から2社が共同開発した。なのでファイザーからは「ソラナックス」、武田薬品からは「コンスタン」という商品名でそれぞれ販売されている。
(コンスタン錠:武田薬品)
効果の違い
薬というのは成分と量によって効果が違うのでデパスとソラナックスどっちが強いかというのは一概に答えられないがこれまでの臨床実績から大まかな強さが解っている
デパス錠1.5mg=ソラナックス錠0.8mg
(稲垣 中, 稲田俊也: 臨床精神薬理)
この等式によるとデパス0.5mgよりソラナックス0.4mgの方が強いという事になる。
しかしデパス0.5mgの方がソラナックス0.4mgより効くという人もいる。
抗不安 | 催眠鎮静 | 筋弛緩 | 抗痙攣 | 抗うつ | |
デパス | 3+ | 3+ | 2+ | – | 2+ |
ソラナックス | 2+ | 2+ | ± | – | 2+ |
*臨床精神薬学(南山堂)
最高血中濃度に達するのはソラナックスの方が早いがデータだけでは一概にどっちが早く効果が出るとは言えない。一般的にはベンゾジアゼピン系よりチエノジアゼピン系の方が効果が早く薬効が出現して代謝も早い。
ソラナックスよりデパスの方が切れ目がハッキリするので患者さんが薬効を実感を得やすい。
しかし薬が効くのが実感できるということは逆に言えば切れた時も実感できる。薬が切れたらまた飲みたくなるのが人情。ソラナックスは半減期が14時間と長く穏やかに効果が無くなるのでデパスよりは依存性がマシ。
効能の違い
2つとも心身症に適応があるが細かく見ると違いがある。
デパスが対応している心身症(高血圧)はソラナックスにはない。しかしその分ソラナックスには心身症(過敏性腸症候群と自律神経失調症)がある。
ソラナックスが良く使われる病気としてパニック障害がある。
パニック障害の第一選択薬は勿論SSRIであるがSSRIは効果発現に時間が掛かる。そしてパニック発作が起きてしまったときにパキシルを服用しても直ぐには効果が表れないので持ち歩いてもお守りにはならない。そんな時に頓用するのがソラナックス。
ただパニック障害に対しては常用するのではなく頓用が基本。使わないでいいならそれに越したことは無い。ソラナックスの副作用にはデパスには無い「錯乱」もある。
そんなソラナックスの大してデパスは適応症が豊富。
頭痛、腰痛といった精神科以外でも処方可能、マイスリーが使えない統合失調症の不眠症に対しても使える。
ソラナックスとユーロジンの違い
ユーロジン | ソラナックス | |
半減期 | 14時間 | 24時間 |
ベンゾジアゼピンのA環に電子吸引基の塩素原子を導入し更にトリアゾールを縮合したものがユーロジン。そのユーロジンにメチル基を付加したものがソラナックス。メチル基が一つ増えるだけで半減期が10時間も短くなるのが面白い。
売上
売上的にはデパスとソラナックスに約5倍の差があるがこれはファイザーのソラナックスが世界的に販売されているのに対してデパスは日本と一部の国でしか販売していない事によるので性能差ではない。
デパス錠0.5mgの薬価は9円、ソラナックス錠0.4mgは7.9円と安い。にもかかわらずこれだけの売上がある。不安だらけの世の中。