アドエア | レルベア | |
製薬会社 | グラクソ・スミスクライン | グラクソ・スミスクライン |
2018年売上 | 3391億円 | 1525億円 |
発売開始 | 2007年 | 2013年 |
ICS | フルチカゾンプロピオン酸エステル | フルチカゾンフランカルボン酸エステル |
LABA | サルメテロールキシナホ酸 | ビランテロールトリフェニル酢酸 |
効能・効果 |
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吸入回数 | 1日2回 | 1日1回 |
効果持続時間 | 12時間 | 24時間 |
効果発現時間 | 15分 | 8分 |
小児 | 5歳以上 | × |
製剤 | ディスカス、エアゾール | エリプタ |
等価換算 | アドエア250 | レルベア100 |
代謝 | CYP3A4 | CYP3A4 |
重大な副作用 | ||
アナフィラキシー | ● | ● |
肺炎 | ● | ● |
カリウム値低下 | ● |
*1ポンド140円として計算
2007年に日本で発売されたぜんそく治療薬アドエア。
最盛期には年間7000億円を売り上げ喘息治療薬として世界トップの地位に君臨。イギリスの製薬会社GSKにとって過去10年間で一番売れている薬。
それまで別々に吸入していたステロイド吸入剤とβ2刺激剤を合体させて利便性を向上させた。それだけでなく2つの薬を併用すると1+1=3のようなシナジー効果も。
アドエアにはレルベアに無い5歳以上の小児適応もあり幅広い年齢層で使われている吸入薬。
しかしアドエアも世界的には発売されて20年となり売上が下降気味で特許切れも迫っている。そんなアドエアの後継薬としてGSKが開発したのがレルベア。
気管支喘息 | 慢性閉塞性肺疾患 | |
アドエア100ディスカス | 〇 | 〇 |
アドエア250ディスカス | 〇 | 〇 |
アドエア500ディスカス | 〇 | 〇 |
アドエア50エアゾール | 〇 | × |
アドエア125エアゾール | 〇 | 〇 |
アドエア250エアゾール | 〇 | × |
レルベア100エリプタ | 〇 | 〇 |
レルベア200エリプタ | 〇 | × |
喘息もCOPDも呼吸が苦しいというのは同じなのだがその苦しい原因、場所が異なる。
気管支が炎症を起こして気道が狭くなるのが喘息
タバコの吸い過ぎで肺胞が潰れて酸素の吸入が上手くできなくなったのがCOPD
アドエアのディスカスは全ての規格で両方に使えるがエアゾールは125しか両方に使えない。
レルベア100の方は2つ適応があるがレルベア200は喘息しか使えない。
一番の違いは吸入回数。
アドエアは1日2回だがレルベアは1日1回の吸入。
喘息治療の基本は発作を起こさせないこと。その為には自覚症状が無くても毎日吸入しなくてはならない。
だが毎日吸入というのは存外難しい、特に自覚症状が無い時は。
1日2回欠かさず毎日吸入を年単位で欠かさず行うというのは根気がいる。可能な限りその回数は少ない方が良い。
1回吸入するのに1分掛かるとしたらアドエアからレルベアに変更すると年間365分。
6時間の節約となる。
吸入回数の半減というのはMRからしたら医師にアピールしやすい明確な利点。
そしてレルベアは1日好きなタイミングで使っても効果が変わらないのでそれぞれのライフスタイルに合わせて使用できるのも利点。
アドエアとレルベアに差は無し
レルベア100とアドエア250ディスカスを比較したphaseⅢ試験(12歳以上喘息患者)で統計学的有意差は無し。
しかし非臨床試験ではレルベアのフルチカゾンフランカルボン酸エステルの方がアドエアのフルチカゾンプロピオン酸エステルよりもグルココルチコイド受容体に対する親和性が約1.7倍。
レルベアのビランテロールトリフェニル酢酸塩もアドエアのサルメテロールキシナホ酸よりβ2受容体に対する選択性が高かったというデータがある。
非臨床試験の差がそのまま臨床に反映されるわけではないが少なくともレルベアはアドエアに対して劣っていないという事が証明されている。
効果が同等で1日2回から1日1回に吸入回数を減らせて自己負担も安くなるというならアドエアからレルベアに変更するメリットとなる。
薬価 | |||
アドエア250ディスカス28 | 3434.0円 | レルベア100・14 | 2703.6円 |
アドエア250ディスカス60 | 7168.7円 | レルベア100・30 | 5689.4円 |
アドエア500ディスカス28 | 3841.7円 | レルベア200・14 | 2987.1円 |
アドエア500ディスカス60 | 8144.6円 | レルベア200・30 | 6353.2円 |
*2019年5月時点新薬レルベアの方がアドエアよりも安い。標準のアドエア250・レルベア100の一か月用だと3割負担の場合440円安くなる。
2つともまだジェネリック医薬品は日本に存在しない。
喘息の吸入薬の場合は薬の成分だけでなく吸入器具にも特許があったりで中々ジェネリック医薬品が登場しなかったが最近アメリカでTEVAやマイランがアドエアのジェネリック医薬品を開発・承認された。日本でも近いうちにアドエアのジェネリック医薬品が登場するはず。
そうなるとアドエアとレルベアの売上は逆転する。