【頭痛】 デパス:日本で最も多く処方されているMade In Japanの精神安定剤 【肩こり】

 

アメリカ合衆国にヴァリウムがあるなら大日本帝国にはデパスがある。

 

精神安定剤デパスは吉冨薬品(現・田辺三菱製薬)が創成した。
日本において処方数と知名度で二位以下を大きく引き離し大差をつけている。

 

日本の安定剤と言えばこれ
インスタントラーメンといえばカップヌードル
日曜日のアニメと言えばサザエさん的な存在

 

サザエさんのエンディングを見て迫りくる月曜日の不安に抗うために服用するのがデパス

 

 

 

 

 

医薬品区分:向精神薬

開発した会社:吉富薬品(現田辺三菱製薬)

承認:1983年

2017年度売上:53億円

 

 


名称の由来


 

(病的状態から)離れ= De 通り過ぎる= Pas

 

depression(鬱)状態をPassかとずっと思っていたが違った。

 

 

 


デパスの効能又は効果


 

  • 神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
  • うつ病における不安・緊張・睡眠障害
  • 心身症(高血圧症, 胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
  • 統合失調症における睡眠障害
  • 頸椎症, 腰痛症, 筋収縮性頭痛における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張

 

色々使えるデパスだがジアゼパムが適応を持つ麻酔前投与と癲癇に対しては使う事ができない。精神科からの処方だと特定薬剤管理指導加算を算定することは可能だが整形外科だと算定しない方が無難。

 

 

 


デパスの用法用量


対象年齢 1回量 1日量 服用時点
神経症, うつ病 成人 1mg 3mg 1日3回
心身症, 頸椎症, 腰痛症, 筋収縮性頭痛 成人 0.5mg 1~3mg 1日3回
睡眠障害 成人 1~3mg 1~3mg 就寝前

(高齢者は, デパス1日1.5mgが上限と設定されている。筋弛緩作用が強く高齢だとフラツキ転倒のリスクが高い)

 

デパスは抗不安作用が強めで安定剤として活躍しているが精神領域だけではなく筋弛緩作用も持ち合わせている。腰痛やむち打ち症、筋肉の凝りからくる頭痛にも効果がある。

 

歯科で顎関節症に対して適応外で使用されるケースもある。ミオナールより効くこともあるがそれはデパスに筋弛緩作用+精神安定作用があるから。

 

整形外科でも精神科でも頭痛外来でも歯医者でも使える。この便利さがヒットの一因。

 

 

 

 


デパスの薬理作用


デパスはBABAA受容体にあるベンゾジアゼピン受容体に結合してGABA受容体のGABAに対する親和性を亢進することによりクロライドチャネルを開き細胞内にマイナスイオンであるクロライドイオンを入れて脳をリラックス状態にする。

 

デパスはチエノジアゼピン系だが作用する受容体はベンゾジアゼピン受容体である。

 

 

 


デパスの臨床効果


疾患名 有効率
神経症 61.2%
心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍) 64.2%
頸椎症, 腰痛症, 筋収縮性頭痛 73.3%
統合失調症における睡眠障害 58.9%
うつ病 58.0%

 

困った時のデパスということでオールマイティに効果を発揮する

一番有効率が高いのは胃・十二指腸潰瘍とのこと。これは心身安定剤として販売しているリーゼよりも改善率が高い。

しかし胃潰瘍の主な原因の一つであるピロリ菌が陽性である場合は除菌する必要がある。
デパスを飲んで一時的に楽になってもまた再発する。胃の調子が悪いときはまず胃カメラ。

 

 

 


デパスの副作用


再審査終了時 12,328例
副作用 頻度
1位 眠気 3.60%
2位 ふらつき 1.95%
3位 倦怠感 0.62%
全体 7.02%

 

筋弛緩作用によるフラツキが出るのでデパスを服用したら車の運転など危険作業はしないこと。睡眠薬として服用するなら後は眠るだけの状態にしてから服用するのが望ましい。高齢者が就寝中にトイレに行く時にフラツキで転倒骨折がありえるので注意。

 

フラツキの副作用は高齢者だと1回0.5mg錠で顕著にでやすい。なので昔は0.5mgを半分に割る処方がみられたが現場の需要に田辺三菱が応えて0.25mg錠が販売

 

デパスの薬価は1錠あたり0.5mgも0.25mgも変わらない。けど親切にも田辺三菱は0.25mg錠を販売、精神科やその門前薬局は有り難かったと思う。

 

依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること.また,連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により,痙攣発作,せん妄,振戦,不眠,不安,幻覚,妄想等の離脱症状があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,徐々に減量するなど慎重に行うこと

 

不安だからデパスを飲んでいたのにいつのまにかデパスを飲まないと不安になってしまう。そうなるとやめるのが難しくなる。

 

決心してデパスをやめようといきなり断薬してしまうと最初の一週間はその反動が来てしんどくなる。辞める時は医師に相談して計画的に

 


ベンゾジアゼピン系薬の換算表


 

ベンゾジアゼピン系薬の等価換算表
一般名 商品名 等価換算量
ジアゼパム セルシン 5mg
アルプラゾラム ソラナックス 0.8
エチゾラム デパス 1.5
クロキサゾラム セパゾン 1.5
クロチアゼパム リーゼ 10
クロナゼパム リボトリール 0.25
クロバザム マイスタン 10
クロラゼプ酸二カリウム メンドン 7.5
フルタゾラム コレミナール 15
フルトプラゼパム レスタス 1.67
ブロマゼパム レキソタン 2.5
ロフラゼプ酸エチル メイラックス 1.67
ロラゼパム ワイパックス 1.2

 

こうしてみるとエチゾラムの0.5mgはジアゼパム換算で2mg以下と強くは無い。しかし即効性と筋弛緩作用が強く効果を実感しやすい。

 

 

 


デパスを服用してはいけない人


 

リスク 機序
急性狭隅角緑内障 眼圧上昇 デパスの抗コリン作用
重症筋無力症 筋力低下 デパスの筋弛緩作用

 

緑内障には色々タイプがあるが急性狭隅角緑内障には使えない。開放型には使える。狭隅角の場合でも眼科で前もってレーザー虹彩切開術を受けてれば緑内障発作をおこすことはなくなる。

 

 

 


デパスの飲み合わせ


 

併用禁忌

 

 

併用注意

区分 代表的な薬 リスク 機序
中枢神経抑制剤 コントミン 眠気, 血圧低下, 運動失調, 意識障害 中枢神経抑制剤との併用で相加的な増強
MAO阻害剤 エフピー 過鎮静, 昏睡, 痙攣発作, 興奮 デパスの代謝を抑制し, 血中濃度を上昇
フルボキサミンマレイン酸塩 ルボックス デパスの血中濃度上昇 デパスの代謝を抑制し, 血中濃度を上昇
アルコール ストロングゼロ 精神機能, 知覚・運動機能の低下 ストロングゼロとデパスが相加的な中枢抑制作用

 

他にもベンゾジアゼピン系を服用している人がいるが飲み過ぎは良くない。病院はベンゾジアゼピン系を3種類以上処方すると減算となる。

 

虚無の酒ストロングゼロとデパス。混ぜるな危険。

 

 

 


デパスの構造式


 

 

チエノジアゼピン環にトリアゾール環を縮合して作られたデパス。元々は吉冨薬品でそれ以前に開発されたリーゼの構造を改造して作られた薬。7環上のトリアゾールが無いのがリーゼ。

 

デパスはベンゾジアゼピン系ではなくチエノジアゼピン系化合物。薬理学の試験でデパスがベンゾジアゼピン骨格を有するとの記述があれば×にしよう。しかし薬理作用はベンゾジアゼピン系と同じである。臨床効果面でみても差は無い。

 

 

 

 


代謝


 

デパスは肝臓で代謝されてのグルクロン酸抱合体である代謝物M IIIとM VIを生成する。
具体的な代謝酵素を見てみると

M IIIを生成するP450分子種はCYP2C9
M VIを生成するP450分子種はCYP3A4

 

 

 


薬物動態


最高血中濃度=3.3時間

半減期=6.3時間

 

最高血中濃度に達するのは3時間後
半減期は6時間

個人差があるが30分以内に効果を実感する。即効性があるので患者さんが満足する。しかし半減期が六時間と短めなので一日中効果を持続させるためには3回服用する必要がある。切れ目がはっきりする薬は依存性が高い。

 

睡眠薬として服用するのであれば8時間睡眠を取れば効果はほぼ切れている。

 

 

 


デパス錠のジェネリック医薬品


規格 先発円 後発最安
デパス錠0.25mg 9.0円 5.8円 64.4%
デパス錠0.5mg 9.0円 5.8円 64.4%
デパス錠1mg 11.3円 6.4円 56.6%
デパス細粒1% 59.8円 23.9円 39.9%

 

デパスは特許が切れているので1錠あたりうまい棒一本。もしコンビニでデパスが1錠10円で売っていたら大ヒット間違いなし。

 

 

 


妊娠授乳


添付文書

妊婦( 3 カ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には, 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること

 

デパスは欧米主要国で使われていないので海外の評価を参考にすることはできない。ベンゾジアゼピン系は催奇形性を有さないが中枢抑制作用が子供に影響してしまうと良くない。

 

 


デパスの売上


 

特許が切れているので毎年売上は下降気味だが2017年は53億円の売上

厚生労働省が後発医薬品への切り替えを推進しているが先発品も0.5mg錠が9円と既に安い。しかしデパスの様な精神薬は絶対に先発品でないと満足しない人がいるので一定の需要がある。

 

1mg錠の薬価は11.3円だからざっくり1錠10円と計算しても5億錠も1年で売れていることになる。後発品のエチゾラム製剤も含めると10億錠は軽く1年で使われている。

 

 

 


独り言


 

デパスは1984年に発売されて以来ずっとその即効性と薬効ですぐに人気者に。

 

しかしデパスはラムネと言って調子乗ってた一部の乱用者のせいで規制されることになった。日本で乱用される向精神薬ナンバーワンのデパスが普通薬だったのがそもそもおかしかったが

 

なぜデパスが普通薬だったのかと言えば米国で薬として承認されていないから。

 

厚生労働省は米国FDAと欧州医薬品庁の規制を参考にしているのでその参照先が規制していないなら規制しないという行政的な理由でそれまでデパスは普通薬となっていた。

 

その結果精神科以外の医師がポンポン気軽にデパスを処方して依存症患者を生み出した。そして発売されて30年してから今更向精神薬指定します。処方日数も30日に制限して個人輸入もダメになった。

 

それまで個人輸入に頼っていた人はいきなりの規制強化で苦しんだと思う。

 

医薬品の個人輸入サイトを見ているとデパスが規制されて販売できなくなるので代わりの薬を紹介しているんだがデパスの代替品としてゾロフト等のSSRIを紹介しているサイトもある。

 

SSRIの依存はデパスと同等以上にキツイし離脱症状も大変。お勧めできない、シャンビリを体験したいなら止めないが

 

デパス依存から脱却するにはやっぱり徐々にデパスの回数を減らしていくか他の作用時間が長めの薬に変更した方が良い。一回量を0.5mgから0.25mgにするより1日3回を1日2回に減らしたり。

 

薬を変えるならリーゼ。リーゼはデパスのパワーを抑えた薬で高齢者も筋弛緩作用によるフラツキがでにくく使いやすい。しかしデパス常用者には効果が弱すぎと感じるかも。

 

ソラナックスは即効性もありながらデパスより半減期が長いので良いかもしれない。デパスは効果を実感しやすいが切れ目も実感しやすい、なのでまた服用したくなる。

 

ソラナックスの場合は立ち上がりが穏やかな分切れ目も穏やかでいつの間にか切れているのでなんとか1日2回でコントロールできる場合もある。

 

ソラナックスが合わなければ似たような半減期のワイパックス。リーゼ程弱くなく半減期が長く肝臓や腎臓にも影響が少ないし・・・

 

こうやって色々試していくうちにまた依存に陥っていく罠

 

デパスを辞めたいときは断薬に理解がある精神科医に相談。

 

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