【大塚】 サムスカ:水利尿という作用機序のメリットとデメリット

 

 

大塚製薬から発売されている利尿剤サムスカ。

 

それまで使われていた利尿剤では効果がイマイチだった患者さんに対して著効するので利尿剤としては異例の高額な薬価が認められた。ループ利尿薬ラシックス錠10mgの薬価が9.1円に対してサムスカ錠7.5mgは1277.3円で140倍もする。

 

それまでの利尿剤は「溶質利尿」といって尿中の電解質を増やし浸透圧を高めて水分の再吸収を阻害するのだが必要な電解質も排出してしまい電解質のバランスが壊れてしまう。

 

それに対してサムスカは「水利尿」で電解質に影響を与えないで水分を排出できる。煩わしい電解質変化にサムスカは関わらない。腎集合管で水の再吸収を促進するバソプレシンV2受容体をサムスカが邪魔して水を排出するというシンプルな作用機序。

 

ループ系利尿薬は集合管に来る前のヘンレ上行脚でNa+、K+、2Cl-共輸送体を阻害、サイアザイド系は遠位尿細管でNa+,Cl-再吸収を阻害するので電解質に影響を与えるがサムスカは関係無し。

 

 

しかし水だけを排泄すると体内は相対的にNa+濃度が上昇する。副作用出現率1位の口渇は体内から自由水が減ったことによりNa+濃度が上昇したことを視床下部が察知して喉の渇きが発生する。

喉の渇きだけだったらそんなに心配ないのだが他に深刻な副作用がサムスカにはある。

 

Na+濃度が上昇したまま放置すると「橋中心髄鞘崩壊症」という副作用が起こるリスクが高まる。痙攣や意識障害といった症状が起きる重篤な脳疾患でナトリウム濃度が急激に上昇する事がリスクファクターらしく輸液療法でも起こることがある。

なのでこの橋中心髄鞘崩壊症が起きないように血中Na濃度をモニタリングする事が必須であり投与初日から血液検査が義務付けられている。サムスカを初回服用する時は入院中が原則。服用したことないのに院外処方出して調剤薬局でいきなりサムスカという状況は基本的に無い。

 

 

サムスカの効果
心性浮腫
サムスカ15mg プラセボ
体重変化量 ‒1.54±1.61kg ‒0.45±0.93kg
頚静脈怒張変化量 (cm) -2.03±2.81 -0.51±1.18
肝腫大変化量 (cm) -1.07±0.89 -0.35±1.00
下肢浮腫改善率 (%) 63.9% 42.1%

 

サムスカの利尿効果は服用24時間以内に現れる。効果が表れるなら副作用も現れるので服用してから4時間~8時間後に血液検査をする。

 

肝性浮腫
サムスカ7.5mg プラセボ
体重変化量 ‒1.95±1.77kg ‒0.44±1.93kg
腹水変化量 (mL) -492.4±760.3 -191.8±690.8
腹囲変化量 (cm) -3.38±3.56 -1.11±3.67
下肢浮腫改善率 (%) 54.8% 28.3%

 

1日で余計な水が1kg減るのがサムスカの即効性

 

常染色体優性多発性のう胞腎
サムスカ(可能最大量) プラセボ
両側腎容積の変化率 2.8% /年の増加 5.5% /年の増加

 

この常染色体優性多発性嚢胞腎に対するサムスカの作用機序はバソプレシンが細胞内で上昇させるcAMPを邪魔して嚢胞の成長を抑制する。

だが心臓や肝臓に使う場合とは異なり高用量のサムスカを服用しなければならない。1日最低60mg、最大で120mg服用する。120mg/dayを薬価計算すると1日総額11,814円となり一か月で354,420円となる。3割負担の患者さんだと月10万円となる。

 

高額医療制度があっても厳しい値段。治験では3年間サムスカ服用したとあるが実費だと360万円以上かかる。高すぎて血尿が出そう。

 

 

サムスカとフィズリン
商品名 サムスカ フィズリン
一般名 トルバプタン モザバプタン
効能効果 常染色体優性多発性のう胞腎 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
薬価 2953.5円 8972.9円

 

強力な利尿剤サムスカより更に強力な利尿剤が存在する。

それがフィズリン(一般名:モザバプタン)

 

フィズリンも大塚が作った薬でフィズリンの活性代謝物がサムスカ。

フィズリンは希少疾患医薬品なので簡単に処方される薬ではない。承認は2006年でサムスカよりも7年早い。

 

 

演習問題

 

 

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