- セルジーンの株主は保有している一株につきブリストル・マイヤーズ スクイブの株式一株&現金50ドルと交換できる。これは1月2日のセルジーンの終値に対して53.7%のプレミアム
- Bristol-Myers Squibbの株主は新会社の約69%を所有し、セルジーンの株主は31%を所有する
- セルジーンが開発中の薬が承認されたら更に一株当たり9ドルの現金を受け取る
買収発表のニュースを受けてセルジーン株は83ドルに上昇している。それに対して買収する側のブリストルマイヤーズスクイブは 45ドルに値を下げている。
ブリストルマイヤーズスクイブの一株は45ドル、それプラス現金50ドルで計95ドル つまりセルジーンの株を買うと95ドル の価値を生み出す。
しかしこの記事を書いてる時点でのセルジーンの株価は83ドルで12ドルの乖離ががある。この乖離は契約内容にある不確定要素が理由。
セルジーンが現在開発してる期待の新薬が二つある。その2つの薬とはオザニモドとliso-cel
- オザニモド:多発性硬化症や潰瘍性大腸炎の治療薬。去年FDAに申請を拒否され株価が暴落した。
- liso-cel:CAR-Tとして知られるキメラ抗原受容体T細胞療法、Juno Therapeuticsを90億ドルで購入して手に入れた。再発/難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に使用する。
その二つの薬がFDAに承認された場合に限り現金で一株当たり9ドルの支払いを受けることができる。それを考慮しても12ドル乖離しているということは市場はこのディールに少々懐疑的なようだ。
買収するブリストルマイヤーズスクイブ
売上の25%を占めるオプジーボは売上年間1兆円も目指せる薬だが肺ガン市場などでメルクのライバル薬キイトルーダに後塵を拝している。
同社売上トップ5の中には抗がん剤が3つオプジーボ、ヤーボイ、スプリセルがあるが世界的なメガファーマとしてはポートフォリオが心もとない。そこに年間売上薬100億ドルの抗がん剤レブラミド、 売上20億ドルのポマリストが加わり、更にこれからがん領域で存在感を発揮する。
最近フランスにある市販薬子会社を日本の大正製薬に16億ドルで売却していたがより医療用医薬品分野に注力する為の資金作りだった模様。
買収されるセルジーン
催奇形成がある薬として有名なサリドマイド、 その薬から開発をスタートして作られたのがセルジーンのレブラミドで多発性骨髄腫などの治療に使われている。しかしこの薬の特許は米国で2023年に切れる。
もちろんセルジーンはその対策として色々な薬を開発している。乾癬治療薬として承認されているオテズラ、 抗がん剤アブラキサン、潰瘍性大腸炎治療薬や CAR-T療法。しかしレブラミドほど売り上げを望める薬はすぐには出てこないので株価が圧迫されていた。
株主からはレブラミドで得た資金を使って他の会社を買収しろと圧力が掛かっていたが買収される側になった。
独り言
製薬業界で新年早々ビッグカップルの誕生。抗がん剤開発を主戦場としているブリストル・マイヤーズ・スクイブとセルジーンが合体。買収金額は約8兆円で去年発表された武田のシャイアー買収とほぼ同じ規模。
武田とシャイアーは両者とも年間の売り上げが150億ドルで新会社の年間売上は約300億ドル。ブリストルマイヤーズの年間売上は200億ドルでセルジーンの売り上げは120億ドルと合計320億ドルと武田シャイアー連合を上回る。
個人的には同じ金額で買収できるんなら武田はシャイアーよりセルジーンを買収した方が良かったんじゃないかと思う。武田が注力しようとしている抗がん剤とエンティビオが好評な潰瘍性大腸炎というこれからの分野で一気に存在感を得られた。
シャイアーの血液学分野は近年技術革新が目覚ましく既存薬が一気に陳腐化する危険性がある。セルジーンが注力しているガンはまだまだ突破すべき関門が沢山あるしブレークスルーが必要な分野。レブラミドの特許が切れるまでは少なくとも使われる薬で売り上げも計算しやすい。
シャイアーを買収した武田薬品工業
セルジーンを買収したブリストル・マイヤーズ スクイブ
大きな賭けをした両社だが新会社の株を買うとしたらどっちを買うべきだろうか?
私はCELG株を持ってますが、
平均取得株価73ドルな上にNISA口座だったのであんまり旨味ないですね・・・。
というか株主の贔屓目でかなりお得な買収に見えてしまう・・・。
いっそ下がったBMYを買おうかと検討中です。
自分もBMYは40ドルまで下がったら買いを入れようかと考えています。モンジャーセン失敗が痛かったですがそれでもセルジーンが8兆円はお買い得だと思えます。
120ドルでセルジーン株を買った人は大損確定