【企業分析】 ブリストル・マイヤーズ スクイブ:小野薬品と共同開発したオプジーボ

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブは一般用医薬品に強かったブリストルマイヤーズと抗がん剤など医療用医薬品に強かったスクイブが1989年に合併して誕生したアメリカの製薬会社

シーゲル銘柄であり1957~2012年の運用リターンは年率換算で14%と株主にとても優しい製薬会社

 

BMY社が開発した商品で最も有名なのは薬の半分が優しさで構成されていると噂のバファリン
しかし現在「バファリン」というブランドは日本だとBMY社ではなくライオン社が保有している。

 

じゃあ今は何を売っているのかと言えばノーベル賞で話題の抗がん剤オプジーボ
最初にPD-1を発見したのはノーベル医学・生理学賞を受賞された京都大学の本庶佑先生。その発見をきっかけに小野薬品工業とアメリカのバイオベンチャーであるメダレックスが開発。そのメダレックスを買収したBMYにオプジーボに開発が引き継がれた。

 

 

 

概要(2017年)

過去5年間の株価の動き

本社所在地:ニューヨーク

上場している取引所:ニューヨーク証券取引所
ティッカーシンボル:BMY

 

売上:207億ドル
研究開発費:48億ドル
営業利益:52億ドル
純利益:10億ドル(税制改革の影響)
配当支払額:25億ドル

株価:50ドル
一株配当額:1.6ドル
配当利回り:3.2%

 

年間売上

抗血小板薬プラビックスという大型薬の特許切れの影響が大きくオプジーボが出てきてやっと増収

 

営業利益

特許切れで売上以上に利益が影響を受けている。それから急回復したのはオプジーボのおかげ

 

純利益

2017年はトランプ減税の影響
2018年以降は2016年レベルの利益が望める

 

純利益と配当総額

純利益は年によってばらついているが配当は安定して年間20億ドル支払っている。
この配当がこれまでのS&P500平均を超えるリターンの原動力
これからは減税とオプジーボのおかげで再び純利益が伸びると思われ減配リスクは小さい

 

地域別売上

ブリストルと言えば抗がん剤なイメージ
日本でもこれまでシスプラチンやカルボプラチンの白金系抗がん剤やタキサン系のタキソールが頻繁に使われている。しかしこれらの薬は既に後発品が存在しており他社から販売されている。クラウンジュエルのオプジーボは日本だと小野薬品工業から発売されているので日本ではBMYの存在感が薄くなっている。

 

血液サラサラ薬のエリキュースも世界ではバイエルのイグザレルトとほぼ同規模の売上だが日本ではそこまでエリキュースが売れているようには感じない。日本だとイグザレルトに勢いがある。やっぱり高齢者にとっては1日1回服用のイグザレルトのが便利かも

 

 

ブリストル・マイヤーズ スクイブの歴史

 

ブリストル・マイヤーズ社

1887年:ウィリアム・マクラーレン・ブリストルとジョン・リプリー・マイヤーズがニューヨーク州の製薬会社クリントン・ファーマシューティカル・カンパニーを5000ドルで買収して結成

最初に成功した商品は緩下剤のSal Hepaticaと歯磨き粉Ipana

(Sal Hepatica)

1915年:ウィリアム・ブリストルの長男ヘンリー・ブリストルがゼネラルマネージャーに就任
1929年:大恐慌が起こるが一般消費者向け商品の販売が好調で会社が大きく成長する。
1940年:チェプリン研究所を買収し大量に生産したペニシリンを第二次世界大戦中の連合軍に納める

1959年:ヘアカラーのメーカーであるクレアロールを買収
1961年:頭痛治療薬エキセドリンを販売

1962年:制汗デオドラントBANを発売
1963年:日本でバファリンが販売開始

痛み止めというより抗鬱薬の広告に見える・・・

1967年:幼児向け栄養補助食品を製造販売するMead Johnsonを買収
1972年:整形外科製品を製造していたZimmer Manufacturing Companyを買収
1977年:クレアロール社の毛染め剤に発がん性物質が含まれている可能性があり一部商品を販売中止
1984年:イブプロフェン鎮痛薬の新しいOTC薬であるNuprinを販売
1984年:抗うつ薬バスパー(一般名:ブスピロン)を開発

 

スクイブ社

1858年:エドワード・ロビンソン・スクイブ医師がメキシコ戦争中に使用されていた軍の薬があまりにも低品質な事に憤り自らに独自の製薬研究所をニューヨークのブルックリンに設立

1961年:南北戦争が勃発。医者が戦場で使うことができるコンパクトな医療キット「Squibb pannier」を発明し連合軍の薬の主要なサプライヤーに

1940年:抗生物質ペニシリンをニュージャージー州の工場で15,000ガロン生産

1946年:Squibb Internationalが設立され、同社は南米および欧州に進出
1955年:イソニアジドの抗結核作用を発見しラスカー賞を受賞
1967年:抗がん剤ヒドロキシカルバミドを開発

1989年:両社が合併しブリストル・マイヤーズ スクイブ社誕生

1994年:タイヘイヨウイチイの樹皮から抗がん剤パクリタキセルを開発

1995年:糖尿病治療薬メトホルミンを発売(米国でのみ
1997年:降圧剤アバプロ(一般名:イルベサルタン)をサノフィと共同開発
1998年:血液サラサラ薬プラビックス(一般名:クロピドグレル)をサノフィと共同開発

2004年:抗精神病薬エビリファイ(一般名:アリピプラゾール)を大塚と共同開発
2006年:白血病治療薬スプリセル(一般名:ダサチニブ)を開発
2007年:「バファリン」の日本およびアジア・オセアニアでの商標をライオン社に304億円で売却
2009年:メダレックス社(オプジーボを小野薬品と共同開発)を22億ドルで買収し大成功


2014年:オプジーボが日本で発売

 

 

売上トップ5(2017年)

 

1位:オプジーボ 【49.5億ドル】
免疫チェックポイント阻害薬 日本では小野薬品工業から好評発売中

 

2位:エリキュース 【48.7億ドル】
選択的第Xa因子阻害剤 血液サラサラにする薬、ファイザーと提携して販売している。

 

 

3位:オレンシア 【24.7億ドル】
関節リウマチの治療薬 サイトカインではなくより上流のT細胞の活性を抑える

 

 

4位:スプリセル 【20億ドル】
慢性骨髄性白血病治療薬 グリベック抵抗性に

 

5位:ヤーボイ 【12.4億ドル】
オプジーボとは異なる作用機序を持つ免疫チェックポイント阻害薬、なのでオプジーボと併用可能

 

 

売上トップ5の推移

オプジーボとエリキュースという二本柱がこれからも成長していく予定

特にオプジーボはピーク時に年間1兆円を超えるかもしれない。
米メルク社のキイトルーダに非小細胞肺がん治療では後れを取ったけど肺がん以外にも広く使える。
特許切れの心配もまだまだしなくていいしこれからのBMYの柱

22億ドルで買収して既に年間50億ドル稼ぐ、ギリアドのファーマセット買収並に成功したディール

 

 

過去に開発した主な薬(買収した会社が開発した薬含む)

アバプロ(一般名:イルベサルタン):ARBの降圧剤だが尿酸値やインスリン抵抗性を改善したり
タキソール(一般名:パクリタキセル):植物由来の抗がん剤で体に優しい・・・んなわけない
バラクルード(一般名:エンテカビル):B型肝炎治療薬、食後だと吸収率が↓なので空腹時に
パラプラチン(一般名:カルボプラチン):シスプラチンの腎毒性や吐き気をマシにした抗がん剤
ファンギゾン(一般名:アムホテリシンB):抗真菌薬 食道カンジダ、歯周病にも使える
フロリネフ(一般名:フルドロコルチゾン):アジソン病に使うステロイド ミネラル↑
ブリプラチン(一般名:シスプラチン):元祖白金系抗がん剤、腎毒性が強いので大量の水分を取る必要がある。吐き気も強烈
レイアタッツ(一般名:アタザナビル):抗HIV薬、胃酸分泌抑制剤のタケキャブとは併用禁忌
マキシピーム(一般名:セフェピム):4世代セフェム系抗生物質 セフェピム脳症に注意

 

独り言

BMYのこれからの10年はオプジーボに大きく依存する。

 

これまではオプジーボ単剤での効果が評価されていたがこれからはオプジーボとの最適な併用薬を見つけることが重要となってくる。BMYが持っているもう一つのがん免疫薬ヤーボイとの組み合わせが上手くいけば同社にとって願ったり叶ったり展開になる。

 

しかし自社製品の薬に拘るより世界中にある有望そうな薬との組み合わせを試していく方が良い。
ライバルの米メルクはキイトルーダと分子標的治療薬や血管新生阻害薬など免疫薬にこだわらない組み合わせを試している。

 

オプジーボも米バイオベンチャーのネクターと共同でオプジーボとNKTR-214の併用療法を治験したりしているが免疫チェックポイント阻害薬というクラス自体まだここ10年以内の新しい薬なのでこれからどうなっていくのか予想がつかない。

 

BMYの時価総額約は9兆円で武田薬品とシャイアーを足した規模の大型株だがオプジーボやキイトルーダの治験成績によって株価がダイナミックに動いてトレーディングが面白い

BMYの株に投資するということは今一番ホットな免疫医学に投資するということなのでその方面からみても面白みがある。10年単位で考えると買って後悔はしない会社

 

30年前に1万ドルをブリストル・マイヤーズ スクイブ株に投資していたら

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