【抗インフルエンザ薬】 ゾフルーザとタミフルとイナビルの違い

 

 

 

ゾフルーザ タミフル イナビル
一般名 バロキサビル マルボキシル オセルタミビル ラニナミビル
構造式
製薬会社 塩野義 ロシュ 第一三共
発売年 2018年 2001年 2010年
2017年度売上 N/A 600億円(5.35億CHF) 253億円
治療量薬価 4789円(体重60kgの成人) 2720円(後発は1360円) 4280円
3割負担 1436円 816円(後発は408円) 1284円
薬理作用 キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害 ノイラミニダーゼ阻害 ノイラミニダーゼ阻害
効能・効果 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防 A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防
用法(治療) 12 歳以上は 40mg単回

80Kg以上は80mg単回

小児量は別表記載

成人or37. 5kg以上小児に1 回75mgを 1 日 2 回、 5 日間 10歳以上:40mg

10歳未満:20mg

用法(予防) 予防には使えない 成人:1 回75mgを1日1回、7~10日間

37. 5kg以上小児:1 回75mgを1日1回×10日間

成人:40mgを単回or 20mgを1日1回×2日間

10歳未満:20mg単回吸入

半減期 95.8時間(空腹時) 6.4時間(空腹時) 74.4時間
妊婦 ベネフィット>リスクの場合のみ B1[AU基準] ベネフィット>リスクの場合のみ
授乳 避ける 避ける 避ける
慎重投与 重度の肝機能障害 高度の腎機能障害 乳製品過敏症
副作用1位 腹痛(6.8%) 下痢(4.7%)
副作用2位 下痢(5.5%) 悪心(0.8%)
副作用3位 嘔気(3.9%) ALT上昇(0.8%)、

*ゾフルーザは通年で2018年3月に販売を開始してので通年の売上データが無い。

*タミフルの売上は中外製薬の親会社ロシュの全世界での売上

*オーストラリア基準B1:動物実験が十分に行われ、胎児への障害が増加したという証拠は示されていない。

 

 

インフルエンザ感染症発病から48時間以内に服用すること。それ以上経過した場合の有効性は確認されていない。これら3つの薬は治療効果に明確な違い無し。なので患者にとって使い勝手の良いものを選ぶ。

 

 

 

 


タミフル


タミフルは必ず1日2回5日間継続服用しなければならないのがデメリット。しかし吸入薬だと高齢者や小さな子供は正しく使用できない恐れがあるので煩わしくても確実に服用できるタミフルが良い場合もある。熱が引いてきたからと言って3日目辺りでやめてしまうとウイルスに耐性ができてしまうので必ず五日間飲みきる。

 

以前マスコミがタミフルを服用すると異常行動を起こすと煽っていたが統計的に見るとタミフルが異常行動を増加させると言ったことは証明されていない。
元々インフルエンザには異常行動が起きるインフルエンザ脳症があるのでタミフルを飲んでも飲まなくてもインフルエンザに罹った子供は常に見守っておく必要がある。

 

日本感染症学会が発表している最も重症で生命の危険がある入院患者には推奨薬剤としてタミフルが挙げられている。重症治療経験もタミフルが最も多い。入院管理が必要とされる患者で最も重症の場合は吸入剤の使用が困難であるとの理由でイナビルは最重症患者には推奨されていない。点滴薬であるラピアクタもタミフルと同じレベルで最重症患者に対して推奨されている。

 

・オセルタミビルはコスパが良い

3つの抗インフルエンザ薬の中では唯一ジェネリック医薬品も発売されており経済的に優れている。

(2018年12月時点でジェネリックを作っているのは沢井製薬の一社のみ)

薬価はきっちり先発品の半分で3割負担の場合後発品だと治療量が約400円と安く経済的。インフルエンザに掛かってもお金が心配という場合はタミフルの後発品がおススメ

 

 

 


イナビル


 

 

長所は1回吸入するだけでインフルエンザの治療がおしまいという点。五日間服用しないといけないタミフルとは違い飲み忘れがない。

 

そのままウイルスに効果があるわけではなく活性体であるラニナミビルに体内で変換されて薬効を発揮する。このプロドラッグ化のおかげで半減期は3日以上もある。

 

イナビルはきちんと吸入したことがわかるようにあえて乳糖で甘みをつけている、 この乳糖は乳蛋白由来なので乳製品アレルギーの人は避けた方がいい。

 

イナビル容器にはラニナミビルが2カ所に分かれて10mgずつ充填されている。胴体部分を押してずらし、右と左にずれた状態で吸入する。吸い残しをなくすために繰り返し同じ作業が推奨されているの。一回で治療完了なので人気。しかし1回治療完結で更に錠剤のゾフルーザが登場したのでこれから市場シェアは低下する。

 

 

 

 


ゾフルーザ


 

新しい作用機序

ゾフルーザのインフルエンザウイルスに対する作用機序はキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害。タミフルやイナビルはノイラミニダーゼ阻害薬であり新しい作用機序。

イナビルやタミフルはウイルスの合成が終わって細胞から出ていくときに必要な酵素であるノイラミニダーゼを阻害する。

ノイラミニダーゼが無いと新しく作られたウイルスは外にでていけないので増殖ができない。

 

 

 

それに対してゾフルーザはそもそもインフルエンザが合成されないように邪魔をする。これまでの薬よりも前の段階で効果を発揮する。なのでタミフルよりも早くウイルスの減少が見られる。

 

・体重によって服用量が異なる

ゾフルーザは患者の体重によって使い分ける。12歳未満の小児は細かく服用量が設定されている。

 

 

患者の体重 バロキサビル マルボキシルとしての量
体重 80kg 以上の成人 一回量80mg (20mg 錠4錠又は顆粒8包)
体重 80kg 以下の成人 一回量40mg (20mg 錠2錠又は顆粒4 包)
12 歳未満の小児(40kg以上) 一回量40mg (20mg 錠2錠又は顆粒4 包)
12 歳未満の小児(20kg 以上 40kg 未満) 一回量20mg (20mg 錠1錠又は顆粒2 包)
12 歳未満の小児(10kg 以上 20kg 未満) 一回量10mg (10mg 錠1錠又は顆粒1 包)

 

年齢で使い分けるイナビルとは違い体重で使い分ける。小学生でも大きい子は成人と同じような体格の子もいるし体重で使い分けた方が合理的な気がする。

ゾフルーザの服用は空腹時でも食後でもどちらでも可能。食後だと微妙にauc やCmaxが低下するが治療上問題となる減少幅ではない。

 

・ゾフルーザは予防に使えない

 

タミフルもイナビルもインフルエンザの予防に使うことが可能(予防の場合は自己負担10割)

現時点ではゾフルーザは予防の効果があるとは認められていないので予防には使えない。

 

おそらく塩野義製薬はこれから予防でも効果があると実証するための試験をするだろうけどゾフルーザはウイルスのアミノ酸変異による耐性化が報告されている。安易に使わない方がいいのだろうか?

 

 

 

 

ゾフルーザとタミフルの違い

 

インフルエンザウイルス数の減少速度がタミフルよりも速い。鼻腔粘膜に存在するインフルエンザウイルス検査において検出期間の中央値はゾフルーザが約24時間でタミフルが72時間とかなりの違いがある。インフルエンザは周囲に感染させてしまう危険があるのでウイルスがより早く減っていくゾフルーザは患者本人より家族や周囲に対してより良い薬かもしれない。

 

ゾフルーザの臨床効果は偽物の薬と比較してインフルエンザにかかる時間を80.2時間から53.7時間に短縮する。ゾフルーザを服用すると治りが1日早い。

しかしタミフルの効果も偽物の薬と比較して1日早く治る。ゾフルーザはタミフルに対して非劣性が証明されているがどちらが優れているという結論は出ていない。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。