4剤全てCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の薬。
2022年2月現在で気管支喘息など他に適応は無い。
一昔前まではCOPDになってしまったら使える薬がなく悪化したらそのまま酸素ボンベ生活。今は色々な薬があるので早期発見し治療を受けたら酸素ボンベは使わずに済む。
ただいくら良い薬を使っていても喫煙していたらすべてが水の泡なのでまず禁煙。
LAMA/LABA配合薬はLAMAやLABAの単剤治療と比較すると、閉塞性障害や肺過膨張の改善効果が大きく息切れなどの症状も改善する便利アイテム。
気管支の中心は抗コリン薬が、末梢にはβ2刺激薬が効果的で一緒に使うと全体的に効果が出る。
受容体レベルだとLABAは副交感神経から出てくるアセチルコリンの遊離を抑える作用も持つのでLAMAと一緒に併用することで向上効果を発揮する。
単剤の長時間作用型抗コリン薬市場は最初に登場したスピリーバが圧倒的なシェアを獲得しているがこのLAMA・LABA配合剤市場はシェアが各製品間で拮抗している。
最近ではLAMA/LABAに更に吸入ステロイド薬を追加した三成分配合のテリルジーやビレーズトリが登場したので患者さんの奪い合いが激しい。
市場競争は激しいがこのCOPDや喘息市場は昔からグラクソ・スミスクライン、アストラゼネカ、ノバルティス、ベーリンガーインゲルハイムという巨大製薬会社が寡占状態で新しい製薬会社の登場は無い。
だが4つの中で最後発のビベスピに関してはPearl Therapeuticsというベンチャー製薬がその技術の一部を開発した。主成分ではなくエアロスフィアというデバイス開発したのがPearl Therapeutics。その会社を11.5億ドルで会社ごと買収して手に入れたアストラゼネカ。
アストラゼネカはこれまで数千億円の売上があったドル箱シムビコートの特許切れに悩んでいたのでその特許切れ対策としてエアロスフィアという特許技術を手に入れた。
吸入薬を始めとした外用剤はそのデバイス自体が特許を持つので内服薬よりも特許切れ対策がしやすい。
そのエアロスフィアは世界初の薬剤送達技術。
2つの薬剤(ホルモテロール・グリコピロニウム)を多孔性粒子の担体に接着させ、肺の中枢から末梢の気道まで隅々まで送達する技術。
単体の粒子径は約3μgと肺組織に定着しやすい1~5μgの中間となっている。
凄そうな技術であるがスピオルト達に対して優越性があるかと言えばそんなことは無い。
グリコピロニウムやホルモテロールの単剤と比較して優越性は証明されているが他の類薬との試験は行っていない。ただ単剤との比較試験の数値を見てもそこまで飛び抜けた性能ではなさそう。
つまり4つとも治療効果に大きな差はないので使いやすいのを使おう。
利休
製薬会社が特許切れ対策に合体させただけと思ってたLAMA・LABA配合薬じゃが一緒にすることに意味があったんじゃのう。
ICSとLABAの併用はお互いの効果を引き立て合う有名な組み合わせですがLAMAとLABAも相手の良さを引き出す相性が良いパートナー薬です。
織部
利休
互いの美味しさを引き立て合う酒とつまみの様じゃのう。
製剤 | 特徴 |
ウルティブロ | |
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アノーロ | |
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スピオルト | |
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ビベスピ | |
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