【スピリーバ】長時間作用型抗コリン薬の違い【エンクラッセ】

長時間作用性抗コリン薬(LAMA)

 

慢性閉塞性肺疾患(COPD)はその名の通り、慢性的に気管支の壁が腫れて閉塞しているので呼吸するのがつらい状態。更に咳や痰が絡み呼吸が苦しく日常生活に支障が出てくる。

 

なのでその気道の腫れを抑えてやろうという薬が長時間作用型抗コリン薬 (LAMA)。

 

しかし薬と言ってもCOPDを完治させることはできない。一度肺胞が破壊されてしまったら元には戻らない。COPDの大きな原因の一つが喫煙なのでタバコはやめよう。コロナ的にも

 

COPDの第一選択薬はLABA(長時間作用性吸入β2刺激薬)LAMA(長時間作用型抗コリン薬)がある。最近ではその2つを合体させた便利な吸入薬も販売されている。

 

ただ高齢者ではβ刺激薬より抗コリン薬が効きやすい傾向があるのでLAMAが選ばれやすい。認知症や前立腺肥大症を持っている患者さんならLABAを選んだりその辺は臨機応変に。

 

現在発売されている4剤の中で治療効果に大きな違いは無い。

スピリーバはカプセルが発売されてからもうかなりの時間が経つが今でも圧倒的なシェアを持つ。スピリーバが登場するまでCOPDに有効な薬は無かったので登場以来独壇場。

2番目のシーブリが登場した時には先行者として臨床データをスピリーバは蓄えていたので医師からの信頼も厚い。

 

シーブリ以外の3つはスピリーバに対して優越性は無い。非劣勢なので効果は同じくらい。じゃあなんで4つも販売されているのかって話であるがそれは使いやすさとか、吸入デバイス、患者背景で薬が選択される。

吸い込む力が必要なデバイス、ミストが噴射されるから吸い込む力が要らないデバイス、などがあるので患者さんの状態も考慮しながら。

 

副作用に目を向けると抗コリン作用があるので前立腺肥大と閉塞隅角緑内障には基本的に使えない。しかし前立腺肥大症においてはハルナールなどでコントロールできているなら慎重に投与可能。

 

 

COPDの確定診断には呼吸機能検査(スパイロメトリー)が用いられる。病院の息を吹きかけるあの機械。

努力肺活量(FVC):全力で息を吸った後に限界まで吐き出した量
1秒量(FEV1):最初の1秒間に吐き出せる量

 

 

 

 

製剤 特徴
スピリーバレスピマット スピリーバ
  • 長時間作用型吸入抗コリン薬で圧倒的なシェア
  • 類薬の中で最も早く発売されエビデンスの量も圧倒的
  • 受容体からの解離がゆっくりなので24時間以上作用持続
  • 4剤中、唯一気管支喘息に保険適応がある
  • 1.25μgレスピマットは気管支喘息のみでCOPDには使えない
  • ソフトミストが噴射されるので吸入力が弱ってもOK
  • 咽頭への刺激が少ない
  • COPDの増悪や死亡率を低下させる(UpLIFT試験)
  • レスピマット5μgとカプセル18μgで同じ効果
  • LABA(オロダテロール塩酸塩)との合剤スピオルト
シーブリ シーブリ
  • 効果発現が5分で即効性がありつつ1日1回で24時間作用
  • スピリーバに対して非劣勢
  • 透明なカプセルで吸い残しの確認がしやすい
  • LABAオンブレスとの合剤ウルティブロがある。
  • シーブリ・オンブレス・ウルティブロは全てノバルティス
  • 売り上げの一部が開発ロイヤリティとして日本のそーせいグループに
エンクラッセ エンクラッセ
  • 1日1回1吸入というシンプルさがgood
  • カバーを空けるだけで吸入可能というシンプルさもgood
  • 努力呼吸なので重症だと使えない事も
  • β2刺激薬(ビランテロールトリフェニル酢酸塩)との合剤アノーロ
  • 更にアノーロにアニュイティを合体されたテリルジー
ジャヌエア エクリラ
  • 使いやすいデバイス(ドイツのユニバーサルデザイン賞)
  • 聴覚で吸入ができたか確認できる(音が鳴る)
  • 4剤中唯一、1日2回吸入しないといけないのがデメリット。
  • しかし晩の吸入は夜間の症状に効果的でもある
  • LABAとの合剤は今のところ無い(2020年4月現在

 

 

 

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