【企業分析】 インスレット:チューブレス・インスリンポンプのOmnipodに賭ける

 

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利休

ドミノピザを毎日食べているとよく喉が渇くようになったのう。

 

藤原道長もなった糖尿病ですね。

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織部

 

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利休

ワシは太っとらんし糖尿病ではないぞい。

 

痩せてても糖尿病の人とか珍しくありません。特に1型糖尿病だと痩せ気味の患者さんが多いです。食事量に気を付けているので。

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織部

 

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利休

糖尿病になったら毎日インスリンを打たないといけないから大変じゃのう。針を毎日お腹に刺すのは痛いしめんどくさいのう。

 

日本でインスリンを使う場合は全て針を使用しますがアメリカではインスリンポンプという便利なデバイスが浸透してきています。

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織部

 

↑の画像はマサチューセッツ州に本社があるインスレット(NASDAQ: PODD)が販売しているOmnipodというデバイスです。このデバイスの中には三日分のインスリンが注入してあります。

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織部

 

 

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利休

つまり三日間そのデバイスを付けておくだけでインスリンが体に入ってくると?

 

操作する端末で注入するインスリン量などを設定できます。

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織部

 

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利休

ハイテクじゃのう。皮膚に装着するだけといっても動くと取れたり汗かいたりすると外れそうじゃが?

 

このOmnipodは防水性でアウトドアスポーツをしながらでも使えるタフネスデバイスです。一度この装置に慣れると自己注射はとても不便に感じるでしょう。

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織部

 

 

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利休

つまり糖尿病の様な一生付き合う疾患じゃとリピーターが来るからOmnipodの売上も安定しとるというわけじゃな。

 

安定ではありません。糖尿病市場は常に成長しています。世界中で約4億2500万人が糖尿病を抱えて生活しており、2024年までに6億2900万人になると予測されています。

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織部

 

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利休

飽食の時代じゃのう。米帝では成人の推定14%が糖尿病という噂もあるし。

 

仮に近い将来、世界で1億人の糖尿病患者がこのOmnipodを使用するとします。このOmnipodは使い捨てで一回30ドルなので1年365日だと約3,600ドルの売上があります。

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織部

 

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利休

一人年間3,600ドル×1億人は・・・

 

3,600億ドルです。ちなみにアップル社の2019年間売上が2,600億ドルです。

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織部

 

 

 

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利休

というお話だったのさ・・・完

 

 

そこまで成長するとは誰も思っていませんがインスレットが急成長しているのは確かです。

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織部

 

インスレットの年間売上

通貨単位:100万ドル

 

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利休

米帝には規格外のピザデブが数多おるから市場は巨大じゃのう。

 

売上比率は米国内の方が大きいですが成長速度は海外のが早いです。

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織部

 

オムニポッドの四半期売上

通貨単位:100万ドル

 

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利休

成長はしておるようじゃが利益は出ておるんかのう?

 

もちろん出ています。

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織部

 

インスレットの純利益

通貨単位:100万ドル

 

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利休

よくこんなに赤字を垂れ流してこれまで会社が存続してきたのう・・・

 

投資家に新株を発行して得た資金などを使ってようやく利益がでる状態までもってきました。

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織部

 

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利休

しかし2019年の純利益1200万ドルって現在の時価総額120億ドルで考えるとPER1000倍なワケじゃが?

 

普通に考えると高すぎて買えません。ただこれからも成長間違いない世界の糖尿病市場でシェアを取る可能性があることを考えると時価総額120億ドル、日本企業の規模で例えると協和発酵キリンくらいでまだ伸びる可能性が高いです。

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織部

 

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利休

現時点では純利益の小ささより赤字が無くなったという事のが大きいのう。赤字でないということは資金調達のために新株を発行する必要性が薄まって既存株主の価値が守られやすいわけじゃし。

 

インスリンポンプ業界はインスレット独占ではなくライバル会社がいるのでそれらの会社との競争に打ち勝つためにはまだ資金が必要です。なので新株を発行することはあるでしょうが長期的に見てそれら攻めの新株発行は既存株主にとってもプラスになるはずです。

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織部

 

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利休

ライバル会社に負けずに成長できたらいいのう。

 

インスレットは2021年にOmnipod Horizonという新しいデバイスを発売予定です。これはDexCom社の連続グルコースモニター(CGM)G6モニターとの組み合わせたシステムで全自動自立インスリンポンプです。

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織部

 

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利休

どんどん便利になるのう。もうスマホでインスリン動かせたりできそう。

 

そうなる予定です。

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織部

 

 

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利休

日本で使える日はいつになるのかのう・・・

 

日本はインスリンやそのデバイスも海外からの輸入に全て頼っています。なのでこれらのデバイスもいつかは輸入されるとは思います。インスリンは100年前から

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織部

 

サノフィ

ノボ・ノルディスク

イーライリリー

 

の大手製薬会社が独占し続けています。それら三つの製薬会社は日本最大の製薬会社武田よりも大きな会社です。それだけインスリン市場は大きくその市場でスタンダードな規格となれれば莫大な利益が見込めます。

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織部

 

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利休

メドトロニックといった巨大なライバルとの競争に勝てればのう。

 

個人的な予想ですがインスレットは買収される可能性もあります。メドトロニックとは企業規模が違い過ぎるので体力勝負だと勝てません。しかし体力がある大手企業がインスレットを買収したら話は違ってきます。

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織部

 

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利休

その場合でも買収される側のインスレット株主には大きなリターンがもたらされるのう。

 

インスレット(NASDAQ: PODD)

 

 

【企業分析】 インスレット:チューブレス・インスリンポンプのOmnipodに賭ける” への3件のフィードバック

  1. 最近偶然辿り着き、投稿を興味深く読ませていただいております。
    Omnipod Horizon、とても画期的なデバイスですね。動向が気になります。
    丿貫さまは独学で医療・製薬を勉強されているのでしょうか?

  2. 勉強など大層なことはしていません^^

    海外のサイトなどを回って面白いなと思った事を記事にしているだけです。時間が沢山ある暇人なので

    自分にインプットした知識やネタを脳内で整理・消化してからブログにアウトプットすると脳内に定着する感じがするので記事を書いています。

  3. ご返信ありがとうございます!
    そうなのですね。とてもわかりやすく難しい内容を説明してくださっているので、もともとそちらの分野で働かれていた方なのかなと思っておりました。織部と利久の対話形式も楽しいです。これからも楽しみにしております。

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