【慢性便秘症】 アミティーザとリンゼスとグーフィスの違い

商品名 アミティーザ リンゼス グーフィス
アミティーザカプセル24μg リンゼス錠0.25mg グーフィス錠5mg
一般名 ルビプロストン リナクロチド エロビキシバット
ルビプロストンの構造式 リナクロチドの構造式
開発 スキャンポファーマ Ironwood EAファーマ
製造販売 スキャンポファーマ アステラス EAファーマ
承認 2012年 2016年 2018年
効能効果 慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く
便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)
作用機序 小腸ClC-2クロライドチャネルを活性化 グアニル酸シクラーゼC受容体を活性化 回腸の胆汁酸トランスポーター(IBAT)を阻害
用法回数 1日2回(朝・夕) 1日1回
服用時点 食後 食前
一回服用量 24μg 0.5mg 10mg
1日上限量 48μg(適宜) 0.5mg 15mg
併用禁忌薬
妊婦中 禁忌 有益性>危険性の時のみ使用
授乳中 L3 L3 N/A
慎重投与 中等度以上肝機能障害 重篤な肝障害
重度の腎機能障害
1錠薬価 122.0円 88.3円 105.6円
1日薬価 244.0円 176.6円 211.2円

*薬価は2020年1月現在

 

 

アミティーザ

30年ぶりに登場した新作用機序の便秘薬。

 

主な作用機序は小腸のクロライドチャネルを活性化して腸管へ水分分泌を促進することによる。

なのでプルゼニドなど大腸刺激性の薬で無効だった人に対しても効果が期待できる。

その他にも腸管粘膜上皮のバリア機能や組織の修復作用も認められている。

 

アミティーザは他の二つの薬とは違い1日2回食後に服用する。

食後に飲む理由は食前だと吐き気や悪心が出やすいから

特に女性に出やすい副作用なので食後に服用しよう。

 

アミティーザで最も注意するべき事は妊娠中禁忌、これは動物実験でよろしくない結果が出たため。妊娠中ということであればアミティーザという選択肢は外れる。

妊娠していなければ酸化マグネシウムのように高Mg血症になることもなくリスクが低い薬。だが3つの中でもっとも下痢の副作用頻度が高い。

 

リンゼス

リンゼス成分のリナクロチドはアミノ酸が連なったポリペプチドであるので体内に吸収されない安全な薬

3つの中でもっとも副作用が少なく慎重投与も併用禁忌も併用注意も無い

しかしもちろんリンゼスにも欠点はある。

 

リンゼスは食後に服用すると食前に比べて下痢の副作用がでやすい

なのでリンゼスは食前に服用と指定されている。

 

リンゼスの日本での最初の適応は過敏性腸症候群の便秘型だけ。慢性便秘症は後から追加となった。

作用機序はグアニル酸シクラーゼC受容体を活性化しcGMPを増やし間接的に腸管内の水分を増やす。この作用機序は細菌性由来の下痢に近い。

エンテロトキシンとアミノ酸の配列が似ている。

あの抗い難い食中毒の下痢を応用している

 

リンゼスが持つ他の2つに無い特徴として内臓痛覚神経に対する作用がある。cGMPは求心性神経を抑制する。その作用のおかげで患者さんはより効果を実感することができる。

 

構造を見るとアミノ酸が連鎖したポリペプチドであるので極めて不安定な物質。ジスルフィド結合とかすぐに解けそう。なのでヒートから錠剤を取り出すと1日で形状に変化する。

 

リンゼスを半分に割ったり一包化の中に入れたりすることはできない

 

 

グーフィス

2018年承認と日本で最も新しい便秘薬

 

グーフィス作用機序は他の二つは全く異なり胆汁酸の再吸収を特異的に阻害することによる。

胆汁酸は腸肝循環により9割が再び腸で吸収されてしまう。そこに作用するのがグーフィス。

再吸収に係わるトランスポーターIBAT(ileal bile acid transporter)が薬理作用点。

 

再吸収を邪魔して腸へ胆汁酸を沢山送り込む。

 

胆汁酸は水分の分泌と大腸の動きそのものを改善する二つの作用がある。

グーフィスの作用点は1つだが結果としてその二つの方法により便秘を改善する。

 

服用方法は食前、食後はすでに胆汁酸の分泌が始まっている。

よって食事をする前にグーフィスを服用しておいた方がより胆汁酸の再吸収を阻害してより腸管へ胆汁酸送ることができる。

 

服用したら平均5時間で効果発現

 

飲み始めは副作用として腹痛がよく見られるが継続することによってその副作用は軽減されていく、一回服用して調子悪くなったから服用中止するのではなくしばらく継続して様子見。

 

 

共通点

この三つの薬は最終的に腸管の水分を増やして慢性便秘を解消する。

しかし水分を増やすまでの作用機序は別ルート。

なのでこの3つの薬を併用するといったこともこれからあり得る。

 

そして共通しているのは薬価の高さ

 

 

日本で一番消費されている便秘薬である酸化マグネシウムは250mg錠でも500mg錠でも薬価は不変の5.6円。1日2000mg使っても22.4円と安い。

 

3つの薬のなかで一番高価なアミティーザは1日二回服用なので122×2=244円と10倍以上する。

保険を使っても一か月服用すると自己負担が2000円以上と高価。

 

自分ならまずはカマグなど既存の便秘薬を試す。

 

 

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