トラマールとタペンタの違い

トラマール タペンタ
一般名 トラマドール タペンタドール
立体構造 ラセミ体 鏡像異性体無し
販売年 2010年 2014年
開発 グリューネンタール グリューネンタール
販売 日本新薬 ヤンセン
効能効果 疼痛を伴う各種癌、慢性疼痛(非オピオイド鎮痛剤で治療困難な場合) 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
服用方法 1日4回 1日2回
1日上限 400mg/day 400mg/day(適宜増減可能)
薬理作用 μアゴニスト、NA ,5-HT取り込み阻害 μアゴニスト、NA 取り込み阻害
強さ 弱オピオイド 強オピオイド
経口モルヒネ 5倍 3.3倍
日本の規制 劇薬 麻薬
米国CSA スケジュールⅣ スケジュールⅡ
WHO除痛ラダー 2段階 3段階
代謝経路 CYP2D6、CYP3A4 グルクロン酸抱合
代謝物の活性 あり なし
重大な副作用
トラマール タペンタ
依存性
ショック
痙攣
呼吸抑制
意識消失
錯乱状態、譫妄

 

この2つの痛み止めはオピオイド受容体に作用する。オピオイド受容体とはモルヒネが作用する所でロキソニン等の痛み止めとは全く違った薬理作用を持つ。

 

トラマドールもタペンタドールも合成したのはドイツの製薬会社グリューネンタール。トラマドールは1977年にドイツで販売されて以来世界中で使われている実績がある。日本では注射剤が興和から「クリスピンコーワ注」として筋注用で販売されていたが筋注は痛い。そんなわけで2010年に経口薬として日本新薬から発売された。

 

タペンタドールは2009年に米国を皮切りに承認され日本でも2014年に承認。

 

共通する禁忌はモノアミン酸化酵素阻害剤、エフピーとか。タペンタを使いたい場合は14日間以上間を空けないといけない。

 

構造式をパッと見た感じだとかなり違った物質だがトラマドールのシクロヘキサン環を開裂させて-O-CH3を脱メチルしたらかなり似た構造をしている。

 

オピオイド受容体との作用に必要なジメチルアミノメチル基は2つともキッチリ保有。

 

 

 


・トラマール

 

弱オピオイド。非麻薬

 

オピオイドの痛み止めというと法的に麻薬としていされているモノが沢山あるがトラマールは非麻薬のただの劇薬。

麻薬指定は無いんで薬の流通や管理が楽。癌性疼痛以外にも適応があるので処方する医師も処方箋を受ける薬局も使い勝手の良い薬。

 

この薬は直接オピオイド受容体に作用するのではなく体内で代謝されて生成された代謝物M-1がオピオイド受容体に作用する。代謝するときにCYP2D6が関係している。この酵素には個人差があり2D6が少ないと活性代謝物が生成されずに効果が弱くなる。逆に2D6の代謝が過剰だと活性代謝物が生成されすぎて副作用が出やすくなる。

 

つまり個人差が大きい

 

物性で特徴的な点はラセミ体鏡像異性体で(+)トラマドールと(-)トラマドールの混合物という点。トラマドールは代謝されないとオピオイド受容体に作用はほぼしないがそのままでもノルアドレナリン再取り込み阻害とセロトニン再取り込み作用は示す。そして(+)と(-)で取り込み阻害作用する力が異なる。

 

ノルアドレナリン再取り込み阻害作用

(+)トラマドール  (-)トラマドール

 

5-HT再取り込み阻害作用

(-)トラマドール  (+)トラマドール

 

トラマドールの鎮痛は活性代謝物M1以外にトラマドールのノルアドレナリン取り込み阻害作用も関係する。腰痛で効果を発揮するサインバルタと同じ理屈。

 

セロトニン再取り込み阻害作用はそんなに鎮痛作用には関わっておらずむしろ神経障害性疼痛では痛みを促進してしまう可能性がある。タペンタドールにはこのセロトニン再取り込み阻害作用はほぼ無い。

 

 

MSコンチンなど経口モルヒネ製剤との換算表が存在する。

 

MSコンチン錠10mg=トラマドール50mg

 

しかしトラマドールには上限量が存在し1日400mg以上は使えない。弱オピオイドなので鎮痛作用に限界がある。400mg使っても効果が無いのであれば増量するのではなく他の痛み止めに切り替えるべき。

 

 

 

トラマドール製剤には単剤トラマール以外にもアセトアミノフェンとの合剤トラムセットや1日1回服用可能な徐放性剤ワントラムとバリュエーションも豊富。

 

 

 

 

ただ弱オピオイドとはいえオピオイド作用は持っているので依存性が生じる。使わないに越したことはない。

 

 

 

・タペンタ

 

 

強オピオイド。麻薬。

 

トラマドールと違い癌性疼痛にしか適応が無いがトラマドールが1日4回服用に対してこちらは1日2回と楽。他の強オピオイドと同等量で便秘などの副作用が少ない。

 

代謝経路がグルクロン酸抱合なのでトラマドールの様なCYPによる個人差が生じ難い。

 

タペンタにもMSコンチンなど経口モルヒネ製剤との換算表が存在する。

 

MSコンチン錠30mg=トラマドール100mg

 

 

 

このタペンタの特徴として改変防止技術がある。

 

オピオイド薬は錠剤を砕いたりして悪用される可能性がある。

 

なのでタペンタには不正な使用を防ぐために改変防止技術が取り入れられて破壊は困難、ハンマーで叩いてもビクともせずミキサーでも刃がこぼれる。ついでに水に溶かしてみるとゲル化するので廃棄するのにテクが必要な麻薬。

 

 

タペンタの廃棄方法は

 

①錠剤を焼却してください。
②粘着力の強いガムテープなどで錠剤を包み、錠剤が見えない状態にして、通常の医薬品と同様に廃棄してください。

 

と保険局は指定しているがオピオイドを燃やすとその煙が怖いし麻薬を普通の医薬品と同じ様に廃棄するのもかなり違和感がある。

 

管理流通という面ではトラマドールでいけるならそれに越したことはない。

 

 

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