【フィブラート系】 パルモディアとリピディルとベザトールSRの違い

パルモディア リピディル ベザトールSR
販売会社 興和 あすか/科研 キッセイ
一般名 ペマフィブラート フェノフィブラート ベザフィブラート
構造式
発売年 2018年 2011年 1995年
薬価 33.9円(0.1mg) 33.9円(80mg) 25.0円(200mg)
効能・効果 高脂血症 高脂血症 高脂血症
用法 1日2回(朝夕) 1日1 1日2回(朝夕食後
薬理 高活性かつ高選択なPPARαモジュレーター PPARαを活性化 PPAR(非選択的)を活性化
併用禁忌薬 シクロスポリン、リファンピシン
腎機能制限 血清Cr値が2.5mg/dL以上 血清Cr値が2.5mg/dL以上 血清Cr値が2.0mg/dL以上
肝障害患者 重篤な肝障害のある患者は禁忌 肝障害のある患者は禁忌 慎重投与
代謝型
尿中排泄率 14% 64% 69%
糞中排泄率 73% 36% 31%
パルモディア リピディル ベザトールSR
重篤な副作用
横紋筋融解症
肝機能障害
膵炎
アナフィラキシー
多形紅斑

 

 

 

新薬パルモディアの登場

 

全てのフィブラート系の共通点として肝臓で核内受容体のPPARαを活性化することで中性脂肪を減らしHDLコレステロールを増やす。

 

2018年発売の新薬パルモディアはこのPPARαに対する選択性が高いと製薬会社の興和は主張している。しかしこれまでのフィブラート系に対してより中性脂肪を下げると言った優越性は認められていない。あくまでも非劣性が証明されているだけに過ぎない。

 

ならなぜこれまでと同じ性能なのに新薬として認められたのかというとパルモディアは副作用が既存のフィブラート系と比較して少ないということが挙げられる。重篤な副作用の記載は横紋筋融解症以外無し。そしてスタチン系との併用はフィブラート系全て原則禁忌となっているがパルモディアとリバロとの併用試験ではリバロ単独と比較して副作用を増やさなかったというデータもある。

 

リバロとパルモディアは同じ興和が作っている薬なのでこの二つが併用できると興和の売り上げが大きく増える。現時点では添付文書上では原則禁忌だが将来的にはリバロとパルモディアの合剤いったことも可能性としてはありえる。製薬会社としてはそうしたいはず。

 

そうした安全性は高いのだが欠点として服用時典が1日2回とコンプライアンス面で不利、そして併用禁忌薬の存在がある。免疫抑制剤シクロスポリンを併用すると血中濃度が急上昇してしまうので禁忌に設定されている。安全性が売りの薬なのに他のフィブラート系にはない併用禁忌薬があるというのもスッキリしない。喉に魚の小骨が刺さってる感じ。

 

パルモディアは2017年に新薬として承認されたが薬価が決まったのが2018年で何回も延長した。開発した興和が他のフィブラート系とは違う効果、利点があるとの主張をして厚生労働省と価格面で折り合わなかったのが原因だが最終的にはリピディルと同じ薬価(パルモディアは1日2錠なので一日薬価はリピディルの倍)での販売となった。

 

 

PPAR選択性が低くて良いこともある?

 

PPARとはペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体の略で今現在判明しているタイプはα、β、γの3つ

αはβ酸化を介して高脂血症の改善

γはインスリン抵抗性を改善して糖尿病治療に役立つ。PPARγを介する有名な薬には武田のアクトスがある。

 

ベザテートはPPARに対する選択性が低いのでαにもγにも作用して高脂血症だけでなく糖尿病の病態も改善する作用が示唆されている。(勿論保険適用は無いが)

PPARαに高い選択性を持つことがアイデンティティのパルモディアにはそういった糖尿病に対するおまけ効果は期待できないだろう。

 

【フィブラート系】 パルモディアとリピディルとベザトールSRの違い” への2件のフィードバック

  1. ご指摘ありがとうございます。
    知識は常にアップデートしないといけないですな

hechikan へ返信する コメントをキャンセル

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