一般名 | エスフルルビプロフェン・ハッカ油 |
日本発売年 | 2016年 |
開発会社 | 大正・トクホン |
販売会社 | 大正・帝人 |
分類 | 鎮痛消炎剤 |
規制区分 | 劇薬 |
ロコアテープ主成分はS-フルルビプロフェン。
どこかで聞いたことがあるような名前である。
ヤクバンやアドフィードという湿布薬の主成分がフルビプロフェン。
そのフルビプロフェンはS-体とR-体の2つが混ざり合ったラセミ体で鏡像異性体ともいう。その内、痛み止めとして作用するのはS-体。
なのでそのSだけを取り出して成分にしたのがロコアテープ。
光学異性体の有効な方だけを取り出して新薬として使われている薬は有名どころだと
胃薬のオメプラール→ネキシウム
抗ヒスタミン薬のジルテック→ザイザル
しかし外用薬だとロコアテープが初めて。
OA(変形性股関節症)患者さんのQOLを向上させたいという願いを込めLOQOAと命名。
ロコアテープの成分はヤクバンテープの主成分フルビプロフェンの効く方だけを集めた薬です。R-体のフルビプロフェンのは痛み止めとしての効果がほぼ無いので
織部
利休
最近ラセミ体医薬品を光学分割しただけの新薬が先発品として使われておるのう
光学分割という技術はとても高度なので新薬と言っても差し支えないかと。しかもロコアテープの場合はラセミ体(フルビプロフェン製剤)に比較して統計的優位に痛みを抑えると実証されていますし。
織部
利休
きっちり2等分してるならヤクバンテープ80mgとロコアテープ40mgて同じじゃね?
シクロオキシゲナーゼという痛み物質を作る酵素を邪魔する力は約2倍ですがそれがそのまま臨床で現れるかはまた別のお話。
織部
一般名:エスフルルビプロフェン・ハッカ油 |
利休
薬の一般名に変なのが付いているのう?
ハッカ油ですか?ハッカ油自体はスッとする成分として様々な湿布薬に含まれていますがそれらは添加物として含まれています
織部
利休
添加物じゃなくわざわざ主成分の方にぶっこんで来たということはハッカ油も薬理作用を発揮するんかのう?
ハッカ油単体の効能は矯味や芳香となっていて鎮痛作用は認められていません。
織部
利休
じゃあなぜに主成分にハッカ?
ロコアテープに含まれているエスフルビプロフェンは40mgですがハッカが同じくらいの量(36.2mg)含まれています。添加物成分でも主成分と同じ位入っているのであれば主成分として扱うルールとなっているのでこういう変わった一般名になっています。
織部
利休
そんなにハッカが沢山が入っているんじゃこの匂いも納得じゃのう
患者さんにこの匂いの事は伝えておいた方が良いです。
織部
変形性関節症における鎮痛・消炎
ロコアテープの保険適応は1つだけ「変形性関節症」のみです。
織部
利休
少な
大丈夫です。人間には関節が沢山あります。膝関節、腰椎、頚椎、肩関節、肘関節、股関節、など全身の関節に使うことができます。(by 製薬会社
織部
利休
ワシのような単純な腰痛だと使えんが変形性腰椎症という診断名ならロコアテープが使えるということかのう。
腰にも腰椎という可動域がありますから、しかしこの辺りの保険適応に関してはその地域の厚生局や支払基金にもよるので不安なら一度確認を取った方が無難です。
織部
利休
関節は大事じゃのう
一般名 | 商品名例 | 理由 |
エノキサシン | フルマーク | ニューキノロン系抗菌剤のGABA阻害作用が併用により増強され痙攣が誘発 |
ロメフロキサシン | ロメバクト | |
ノルフロキサシン | バクシダール | |
プルリフロキサシン | スオード |
利休
これらの併用禁忌薬はワシの若い頃によく使われていた抗菌薬じゃのう、懐かしや。
現在でも使われていますがレア物ですね。ニューキノロン系の第二世代が併用禁忌と覚えていればOKです。
織部
利休
第三世代(クラビットとか)が併用禁忌じゃったらかなり怖い薬じゃったのう
併用注意の成分にはニューキノロン系という広い括りで記載されています。なのでロコアテープを普段使っている患者さんにクラビットを処方するときは注意しましょう。
織部
臨床試験 | |
総症例 | 1,391 例 |
副作用発現例 | 269 例 |
副作用発現率 | 19.3 % |
具体的な副作用 | |
適用部位皮膚炎 | 8.0% |
適用部位紅斑 | 3.2% |
適用部位湿疹 | 2.3% |
利休
この副作用発現率は高いの?低いの?
フルビプロフェン製剤のヤクバンテープだと副作用率が1.74%とあるので類似薬と比較するとかぶれ易い薬と言えます。
織部
利休
その辺の副作用発現率も劇薬指定された理由の一つかもしれんのう
ただ効果と副作用は表裏一体、その分効果が高ければ存在意義があります。
織部
ロコアテープ | フルルビプロフェン群 | |
ベースライン | 59.5±12.7 | 59.3±12.5 |
最終評価時 | 18.5±15.3 | 28.8±18.1 |
変化量 | -41.0±15.5 | -30.5±15.9 |
群間差 | -10.4[-12.7, -8.0]p<0.001 |
ロコアテープはフルビプロフェンより統計的優位に痛みを抑えるという臨床試験データがあります。。
織部
利休
どうやってその痛みを評価したんじゃ?
ビジュアルアナログスケールというもので評価します。
織部
椅子から立ち上がる時の膝の痛みを10段階中で自分の痛みを評価します。患者さん自身が
織部
利休
個人差がかなりありそうじゃのう、痛みに強い人と弱い人で
なので絶対評価ではなく少なくなった(痛くなくなった)数を評価します。
織部
利休
意外とアナログな試験方法じゃのう
脳科学が進めば痛みに対する脳の反応を定量的に評価できるようになるかもしれませんが今の所は臨床試験にVASが採用されています。
織部
エスフルルビプロフェンは主としてCYP2C9で酸化代謝される。
お酒が肝臓で処理されるようにこの湿布薬成分も肝臓で処理されます。そしてお酒に強い人と弱い人がいるように薬にも個人差があります。その差はCYP2C9という酵素を持っているかで決まります。
織部
利休
ワシはそのCYP2C9たくさん持ってるの?
これは調べないとわかりません。しかし生命に関わるレベルの薬ならともかく痛み止めの貼り薬を使うために代謝酵素を調べる暇な病院もないでしょう。
織部
利休
じゃあ取り合えず使ってみておかしかったら使用中止でいいんかのう
接触性皮膚炎などは代謝酵素とそんなに関係していないですが胃荒れ等は個人差が出るはずです。
織部
1日量 | Cmax | AUC(0-24) | |
ロコアテープ | 40mg | 1176 ± 379 | 20800±6368 |
ロコアテープ | 80mg | 2710 ± 669 | 47000±10100 |
フロベン錠 | 40mg錠×3回 | 4100 ± 612 | 48000±7760 |
ロコアテープ1日2枚はフロベン錠1日3錠とほぼ同じ体内動態となります。これはかなり高い血中濃度になります。
織部
利休
そもそもフロベンてなんぞ?
フロベン錠はフルビプロフェン錠です。飲むタイプの痛み止めですが最近はロキソニンなどの登場でほぼ使われていません。1979年発売なので40年以上前の薬です。
織部
利休
じゃあいくら外用薬と言っても使い過ぎたら副作用が怖いのう
なのでロコアテープの袋にも「1日2枚まで」という注意書きが書いています。このルールが一番重要なので覚えましょう。
織部
利休
ロコアテープとフロベンは一緒に使っていいんかのう?
併用禁忌ではないですが基本的にロコアテープと内服の消炎鎮痛剤は極力避けるとなっています。
織部
利休
しかし良く効くとはいえロコアテープを病院に貰いに行くのも待ち時間が長くて億劫じゃのう
実はロコアテープは処方箋無しでも購入できます。
織部
利休
でも近所のドラッグストアには置いてないぞい
ロコアテープは医療用医薬品なのでドラッグストアには売って居ません。しかし医療用医薬品の中には処方箋医薬品と非処方箋医薬品の2つが存在します。
織部
ロコアテープは非処方箋医薬品に該当するのでその辺の調剤薬局でも法律的には販売が可能です。
織部
利休
じゃあ早速近所の薬局に買いに行くかの
しかし会社の方針として売らない薬局の方が多いはずです。法律的に問題無いとはいえ色々な軋轢が発生したりもするので
織部
利休
医師会や薬剤師会から色々言われそうじゃのう
そういった繋がりを最初から持たない薬局であれば特に困らないので販売しています。
織部