【アトピー】 デュピクセント:年間自己負担60万円に相応しい効果とは?

 

アトピーとは?

 

湿疹を伴う激しい痒み、浸潤した皮膚から溢れる組織液、剥がれ落ちる皮膚その他諸々の不快な症状。直接生命に関わる病気では無いがQOLを著しく低下させる。

 

重症になると体中血だらけ、ボロボロで外に出ることもできないから学校や仕事にいけない。なのでアトピーは経済的損失が大きい病気でもある。

 

なぜアトピーになるのかは未だ解明できていない。免疫が暴走しているという事は分かっているがなぜ暴走するのかがわからない。

 

これまでは対処療法としてステロイドや抗ヒスタミン薬を使う治療しかなかった。重症の場合は免疫抑制剤を使うがそれでも抑えられない場合がある。そうなってくると標準治療では改善が見込めない。

 

皮膚科をきちんと受診しても医師はお決まりの治らない薬しか出さないので症状が改善しない。皮膚科医にしてもステロイドとシクロスポリンを使ってしまったらもうは切り札がない。どんなに治したいと医師が思っても治療法がなければどうしようもない。

 

そうやって医師も患者も手詰まりの状況に陥りエビデンスの無い民間療法に嵌って余計に症状を悪化させる悪循環に陥る。

 

だが2018年、ついにそんな状況を打破できる切り札が登場した。

 

それが仏サノフィと米リジェネロンが開発した「デュピクセント」

 

海外ではアトピー性皮膚炎だけではなく喘息の治療薬としても承認されている。

 

 

 

 


デュピクセントの効能


 

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎(15歳以上)

 

 

デュピクセントはそれまでステロイドやタクロリムスといった治療を行っても効果がない時にのみ使える。

 

アトピーになったからいきなりデュピクセントを使うということはできない。まずは既存の治療方法(安い薬)で治せるなら治しましょうという国からのメッセージ。そしてデュピクセントを使うことになったとしてもステロイド薬などは併用する。

 

残念ながら15歳未満には使えない。子供さんの場合、自治体の子ども医療助成制度が利用できるがデュピクセントは正式には15歳以上にしか使えないというジレンマ

 

 

 


用法用量


 

初回は300mg/2mlの注射を二本打つ。次回以降は2週間に一回、300mg一本打つ

 

注射部位は上腕部(二の腕)の外側、へそ周りを除いた腹部、太腿。インスリンのように自己注射は認められていないので2週間に一度病院で打ってもらわないといけない。しかしこれは発売1年以内の新薬であれば全て2週間までしか処方できないルールもあるので仕方が無い所。自宅で自己注射が認められたら患者さんの負担が減る。

 

 


作用機序


 

 

デュピクセントはIL-4受容体αに対する抗体でありIL-4とIL-13の作用伝達を阻害する。

その結果Th2免疫反応を抑制する。IL-4とIL-13受容体にある共通アルファ鎖を介してデュピクセント炎症反応を阻害する。

 

 

ヘルパーT2細胞は花粉症時などに活性化される体液性免疫。放出されるインターロイキン4とインターロイキン13は炎症反応の重要な伝達物質

デュピクセントはインターロイキン4とインターロイキン13が作用する受容体に結合して炎症反応が起こるのをブロックする。

 

 

 

 


デュピクセントの効果


 

EASIスコア:アトピー性皮膚炎評価指標で、体全体の他覚的なアトピー性皮膚炎重症度を表す。

 

頭頸部・体幹(陰部を含む)・上肢・下肢(臀部を含む)の4か所をそれぞれ評価して合計する。理論上、最も重症なスコアは72点となる。

(例:EASI-50は元の状態から50%数値が下がった状態。最重症の72だった患者が36になったらEASI-50達成)

 

EASI-50達成率 EASI-75達成率 EASI-90達成率
デュピクセント300mg/2週+ステロイド 80.2% 68.9% 39.6%
プラセボ/2週+ステロイド 37.5% 23.2% 11.1%

 

デュピクセントを使用すると症状半減する人が8割。症状がほぼ消失する人が4割もいる。

 

中程度から重症のアトピー患者さん限定でこの数字は素晴らしい。人類の進化を感じるレベル。

 

 

半世紀前にステロイドが誕生した時も魔法の薬とその当時の医師は感じたらしいがこの薬も患者さんによってそれに匹敵する切れ味を発揮する。

 

 

 

[デュピクセント投与時の経時的変化]

 

デュピクセントの治療効果は16週間以内に出る。それ以降は効果が出ていないのに継続しても効果は見込めないので中止を考慮すること。

 

かゆみと赤みには比較的早く効果が現れ色素沈着などは時間がかかる。

 

 

 


副作用


 

国際共同試験 

 

対象人数:403例

投与量デュピクセント300mgを2週に1回投与

副作用発現率:30.5%

 

副作用 頻度
注射部位反応 7.2%
頭痛 3.0%
アレルギー結膜炎 1.7%

 

注射部位の反応を含めても内服ステロイドや免疫抑制剤に比べたら副作用は少ない印象。副作用としてはアレルギー性結膜炎的な症状が臨床試験でも出ていた。その場合は内服薬と目薬でコントロール。

 

 

 

 


デュピクセントの価格


 

そんな効果的なデュピクセントなのでこれまでのアトピー治療薬と比べると超高額。

 

300mgシリンジ一本の値段は81640円

 

それを初回は2本分も使う。以降は2週間に一本。

 

デュピクセントの値段(診察料などは別)

初回 2回目以降 最初の1カ月目 2カ月目以降
10割負担 163,280円 81,640円 244,920円 163,280円
3割負担 48,984円 24492円 73,476円 48,984円
1割負担 16,328円 8,164円 24,492円 16,328円

 

 

初めてデュピクセントを投与しに病院に行く場合、3割負担の人だと持っていくお金は約5万円

 

1年間継続使用すると3割負担で約60万円かかる。

 

年間60万円を永遠に継続するのは厳しい。バイオシミラーも徐々に浸透してきたがデュピクセントは2018年に発売されたばかりの新薬でまだまだ安い薬は発売されない。

 

アトピーの調子が良くなったら辞めても良いのか?という疑問は臨床試験で行っていないのでわからない。半年間デュピクセントを使用し症状が改善した場合はバリア機能が回復しているから中止しても悪化しないという報告もあるがやはり辞めると少しずつ赤みや痒みが戻ってしまう場合もある。

 

製薬メーカーとしては永久に打ってもらうとそのだけ儲かるので中止して大丈夫という試験は積極的にはしたくないだろう。

 

新薬なので皮膚科医も手探り状態なはず。臨床データが積み重なっていけば辞め時なども解るようになる。症状と患者さんの経済状況を勘案して試行錯誤するしかない。

 

 

しかしこれまでどれだけお金を払っても治らなった病気が治る、選択肢があるということはとてもgoodな事。

 

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