【PFE】 セレコックス:官能基によるロキソニンとの違い

 

 

データ(2018年現時点)

 

製薬会社:ファイザー
一般名:セレコキシブ
薬価(100mg):68.1円

 

1992 年に米国サール社(現 米国ファイザー社)で合成された。誕生から26年経過しているが今のところ日本で後発品は無い。前年の1991 年にシクロオキシゲナーゼ(COX)が正常組織に広く存在する COX-1(構成酵素)と、炎症時に主に炎症組織で誘導される COX-2(誘導酵素)の 2 種類が存在することが明らかになり開発がスタートした。

 

関節リウマチ、変形性関節症に対する臨床的有用性が認められたことから、2007 年 に承認された。2011年には抜歯後の痛み止めとしても承認されている。他のNSaidsよりも少ない副作用から整形外科領域で大ヒットしている。

 

 

 

 

名称の由来

 

一般名セレコキシブ(Celecoxib)の下線部をとって命名

 

効能又は効果

 

関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、腱・腱鞘炎、手術後、外傷後並びに抜歯後の痛み止め

 

 

 

用法用量

 

セレコキシブとして1回100mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与 リウマチの場合は一回200mgを朝夕食後

注意なのは抜歯後の痛み止めとして使う場合は初回に400mg(200mg錠を二個)飲んでそれ以降は200mg錠を1個、そして一回飲んだら6時間以上あける。

 

 

 

薬理作用

アラキドン酸をプロスタグランジン G/H に変換するシクロオキシゲナーゼ(COX)の 2つのアイソザイムである COX-1 及び COX-2 のうち、COX-2 を選択的に阻害することにより、抗炎症・
鎮痛作用を示す。

 

 

 

セレコックスとシクロオキシゲナーゼとの結合の様子(X 線結晶構造解析)

 

COX1とCOX2に共通しているのが120位のアルギニン。このアルギニンとロキソニンやボルタレンが有するCOOHが反応して結合する。

COX1は普通の状態でも全身に発言しておりCOX2は炎症反応が起きた時の細胞に発現している。選択性が低いと正常細胞にも影響を与えてしまい胃細胞だとプロスタグランジン生合成を抑制して胃が荒れてしまう。ロキソニンはこのため選択性が低く副作用が出やすい。

 

ロキソプロフェンの構造式↓

赤く囲った部分がシクロオキシゲナーゼ2と接合して阻害する。がしなくてもいいCOX1にも阻害してしまい副作用の原因となる。

 

対してセレコックスは-COOHを持たないので120位のアルギニンとは反応しない。ならどこに反応しているのかといえばCOX2にあるサイドポケット。そこにスルフォンアミド基がスポット結合する。具体的にはCOX2の90 番目のヒスチジン、513 番目のアルギニン及び 518 番目のフェニルアラニンと水素結合する。そしてもう一つ結合する部位がある。

セレコックスのメチルフェニル基が COX-2 の疎水性の基質結合部位に親和性を示す。この2つの部位により強力にアラキドン酸がシクロオキシゲナーゼに反応するのをブロックしている。

 

 

なぜセレコックスがロキソニンと比較して胃荒れが少ないんですか?」と小学生から質問されたら

 

セレコックスはロキソニンが持つカルボキシル基を保有しておらずCOX1に対して作用しないからですよ」と答えることができる。

 

 

 

選択性はCOX1に対してCOX2が31倍となっておりロキソニンやボルタレン、インドメタシン、イブプロフェンは逆にCOX1に対してCOX2より反応してしまっている。

 

 

セレコックスの効果

 

関節リウマチ、変形性関節症、に対する効果

 

 

歯を抜いた後にセレコックスを使った時の効果

抜歯した後の痛み止めとしては 一回400ミリを服用したら8割の人に効果があるようだ。1回100ミリでも7割の人に効果がある。薬の値段を考えたら自分なら100ミリで様子を見るかな。

 

 

手術後疼痛に対するセレコックスとハイペンの比較(手術後疼痛患者 616 例の二重盲検並行群間比較試験)

 

4人中3人に効果がある。偽薬でも6割に効果がある。そう考えると思い込みに効果は高い。

 

 

 

副作用

 

国内臨床試験

関節リウマチ及び変形性関節症患者の安全性評価症例1734例中、臨床検査値異常を含む副作用発現症例は426例(24.6%)

 

自覚症状の副作用TOP5↓

副作用 発現率
胃不快感 2.2%
上腹部痛 1.9%
発疹 1.6%
口内炎 1.3%
悪心 0.9%

 

 

COX2選択性が高くても胃腸障害は発生している。広い意味で胃腸障害を捉えたら10人に一人くらい副作用が発現している。

便秘より下痢になり易い。

 

 

(参考)ラット消化管粘膜に対する作用

薬剤投与 5 時間後に、胃体部粘膜にみられる出血斑、びらんの有無を観察

 

 

 

 

 

構造式

 

スルフェンアミド基がサイドポケットと結合しメチルフェニル基が COX-2 の疎水性の基質結合部位に親和性を示す。

 

代謝

CYP2C9で代謝される

 

なので血液サラサラのワーファリンと一緒に服用すると出血傾向になり易くなる。

 

 

 

セレコックスはCYP2D6の阻害作用を有する

 

CYP2D6で代謝される有名な薬といえば抗うつ薬のパキシル。パキシルは血中濃度が一定以上上昇するするとパキシル自体が阻害作用を持ち二次関数的に血中濃度が上昇してしまう特性がある。

健康成人 18 例に本剤 200mg を 1 日 2 回、食後 7 日間投与した後に、パロキセチン 20mg を空腹下単回併用投与したところ、パロキセチンの Cmax及び AUC はそれぞれ約 1.5 倍及び約 1.8 倍に上昇した 

 

それともう一つ注意なのは咳止めのメジコン、この薬もCYP2D6で代謝される薬なので効果が強く出てしまい中枢抑制の副作用が強まる。

 

二つとも禁忌ではないが併用は控えたほうがいい。

 

 

 

 

 

薬物動態

 

セレコックスは服用して2時間後に一番血中濃度が高くなる。そして6時間経過したら半分になる。

 

 

併用禁忌

無し

 

併用禁忌は無いが心血管イベントを増やすことが示唆されているからワーファリン服用中の人はできるだけ併用しないほうがいい、自分ならしない。

 

セレコックスはスルホンアミド基を持っているのでスルホンアミドに対して過敏症の既往歴のある患者も禁忌

スルホンアミド基を持つ有名な薬といえば利尿剤のラシックスやダイアート、フルイトラン。循環器でよく使われる薬である。これらの利尿剤は腎臓におけるプロスタグランジン合成阻害によってナトリウム排泄作用が低下する可能性がある。。

 

糖尿病治療薬アマリールや降圧剤イルベタンもスルホンアミドを持つ。

 

 

 

 

 

併用注意

 

制酸剤(マグミットとか)

 

制酸剤(アルミニウム・マグネシウム含有製剤)を空腹下単回併用投与したとき、本剤のCmaxは併用により約0.6倍に低下した。

 

との記載がある。

 

セレコックスの胃荒れ防止のために適当に胃薬を選んだらせっかくのセレコックスの効果が薄れてしまう。

 

 

セレコックスの売り上げ

 

 

 

特許切れで一気に売り上げは3分の1へ。それでもまだ1千億円弱売れているヒット商品。

日本ではまだ特許が切れていないが切れたら後発品メーカーが沢山参入してくるのは間違いない。

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