【喘息・COPD】アドエアとシムビコートの違い

アドエア シムビコート
製薬会社 グラクソスミスクライン アストラゼネカ
ステロイド フルチカゾンプロピオン酸 ブデソニド
β2刺激 サルメテロールキシナホ酸 ホルモテロールフマル酸
β2様式 パーシャルアゴニスト フルアゴニスト
効能・効果 気管支喘息・COPD 気管支喘息・COPD
用法 1日2回 1回1吸入(ディスカス)

1日2回 1回2吸入(エアゾール)

1日2回 1回1吸入
1日最大吸入回数 2回(ディスカス) 4回(50エアゾール) 12回(常用量+屯用)
発現時間 15 分 1
持続時間 12時間 12時間
小児適応 ×
屯用 ×
肺胞到達率 15%(ディスカス)

29%(エアゾール)

32%
2017年売上 4750億円 3140億円

*1$=112円、1£=152円換算

 

アドエアは世界で最も売れている喘息治療薬。

この薬一つで中外製薬の年間売上に匹敵する。

シムビコートも世界的に売れておりオプジーボを開発した小野薬品工業の年間売り上げを軽く超えている。

 

この2つの薬を開発販売しているのは英国の二大製薬会社グラクソスミスクラインとアストラゼネカ。さすが産業革命による大気汚染で喘息患者がたくさん生まれた国のヒット商品がアドエアとシムビコート。

 

 

アドエアの主成分は2つあり以前はそれぞれ別の吸入薬として使用されていた。

気管支拡張作用があるβ2刺激薬のセレベント、ステロイド吸入薬のフルタイドとして

 

β2刺激薬と吸入ステロイドは併用すると相加的に治療効果を上昇させる。

 

吸入ステロイド薬はβ2刺激薬の長期使用による作用の減弱を抑えるし吸入ステロイドの抗炎症効果が単剤同量使う場合よりも効果が強くなる。

 

そうした理由で合体させたのがアドエア。海外では商品名がそのままのセレタイドになっている国もある。

セレタイド

 

 

シムビコートは屯用可能

この点がアドエアと大きな違いでありシムビコートの大きなアドバンテージ。

名称も付いていて

 

SMART療法(Symbicort maintenance and reliever therapy)」

 

というらしい。

今現在起きている喘息発作に対してはβ2刺激薬が必要。ステロイドは喘息発作の予防が目的である。

シムビコートのβ2刺激成分であるホルモテロールは即効性がありレリーバーとしての役目を果たせる。

 

一般的にβ2刺激成分は脂溶性が高いと作用発現が遅いという特徴がある。

アドエアのサルメテロールに比べてシムビコートのホルモテロールは脂溶性が約25分の1と低い。

細胞膜は脂溶性であり脂溶性が高いと長く薬剤がとどまり徐々にリリースされていくので即効性が無い。

ホルモテロールの低脂溶性によりシムビコートは屯用が可能となっている。

 

アドエアにもβ2刺激薬であるサルメテロールが配合されているがなぜ喘息発作の屯用に使えないのか?

それは気管支拡張作用を発揮するまで30分と時間を要するから。喘息発作が10分以上続くのは患者にとってつらい。

 

そしてアドエアをレリーバーとして使わないもう一つの理由にサルメテロールには用量依存性がない事が挙げられる。

 

β2に対してフルアゴニストのホルモテロールなら増やせば増やしただけ効果が期待できるがサルメテロールは部分作動薬なので効果が用量依存的に期待できない。

 

アドエアは一日二回使っても一日三回使っても喘息発作に対しては効果が変わらない。

それどころか副作用である不整脈や心不全が起こる可能性がありメリットよりもデメリットが大きいのでアドエアは1日2日より多くは使わない。

 

β2刺激薬に注目してみるとアドエアよりもシムビコートの方が有用に思える。

しかしステロイド成分に注目してみるとアドエアのステロイド成分の方が抗炎症作用は3倍ほど強い。

 

トータルで臨床的な効果を見ると優劣付け難い。

どちらの薬でも1日2回きちんと吸入できればかなり高い効果が期待できる。

 

 

器具と対象年齢の違い

アドエアには2種類の吸入器具が存在する。

 

定量噴霧吸入器(エアゾール)とドライパウダー吸入器(ディスカス)の2種類があるがシムビコートにはひとつ(タービュヘイラー)しかない。

喘息の状態がひどいと吸い込む力が弱くなっているのでアドエアのように定量噴霧吸入器があるほうがより多くの患者さんに使ってもらえる。

 

小児に対して保険適用があるのもアドエアだけでシムビコートにはない。

これはシムビコートが小児にとって危険という理由ではなく臨床試験を行っていないからという理由。

 

 

アドエアとシムビコート共通の副作用

嗄声(させい)

 

アドエアとシムビコートだけでなく全ての喘息吸入ステロイド薬に共通の副作用。

 

ステロイド成分が口腔に残っていると免疫が抑制される。

その結果、菌が増えて声が枯れたり喉が荒れたりする。β2刺激薬も口腔に残っていると薬剤が全身に回り動悸がしたりするから必ずうがいが必要。

 

グラクソスミスクラインのアドエアを吸入したあとはグラクソスミスクラインの歯磨き粉アクアフレッシュを使って歯を磨き、ジョンソン・エンド・ジョンソンのリステリンでうがいをしよう。

 

 

【喘息・COPD】アドエアとシムビコートの違い” への6件のフィードバック

  1. 私は喘息持ちなのですが、アドエアが現れた時は天からの助けに思えました
    それまでは屯用の吸入器ばかりでしたが、アドエアを使い出してからははっきりと喘息の発作自体が抑えられました。
    何箇所かの病院で診察受けましたが、アドエアと屯用の組み合わせばかりで、シムビコートの方はあまり聞いたことないですね
    GSKはお世話になってるので好きな株なんですが、TSROの買収は高すぎなような・・・

  2. GSKはTSROの買収よりアドエアの特許切れの影響のが気になります。

    喘息吸入薬は器具も特許と大きな価値を持っているので意外に売り上げは落ち込まないのかもと思っていたり。

    もし日本でアドエアの後発品が発売されたら変更したいですか?薬価はアドエアの半額だとしたら

  3. 吸入器の重要性はかなり高いので日本においてはジェネリックの優位性はあまりないと思います。生活保護など一部は強制的に変更させる場合はあるかもしれませんが、一般的には変更なしが多くなると思われます。

  4. 私個人としてはジェネリックに抵抗がないので、お医者さんに聞かれたら変えちゃうと思いますね。
    お世話になっておいてアレですけど。

    薬が変わってもし不安になるとしたら、どちらかというと発作時の吸入器の方かな、と思います。
    アドエアは緊急時の助けにはなりませんが、発作時の方はほとんど御守り気分で肌身離さず持ってるもので・・・
    デバイスはディスカスしか使ったことないので、なんとも言えません。
    回数もわかりやすいし、見た目とカシャカシャ感は気に入っていますが。

  5. 面白いですね。

    こんな名前でありながら私は健康そのもので薬は一切使わず、使用感や効能等は全く分からないんですけど、使っている方の生の声は何より参考になりますね。

    もっとも、例えば食品は常日頃食べているけれど、それで食品系の株の動きが読めるかというと全くそんなことはないので、株取引に個人の経験をそこまで関連付けさせることは難しいのかもしれません。

    爆上げ前から見ていたTSROも、ついに買収ゴールですか。
    結局、一番超絶ジャンプした2016年中頃の爆上げ直後の株価よりも低い価格での買収のようで、当時~右肩上がり期に買った人には「うーん…」という感じかもしれませんが、それでも直近株価より+60%のプレミアム付での買収なので、TSROホルダーには朗報、逆にGSKホルダーにとっては不安に感じる案件かもしれませんね。

    将来、GSKにとってもいい買収だったとなることを期待せんばかりです。

  6. 後発品が既にある痛み止めのモーラステープも根強い固定ファンがいるように喘息吸入薬も後発耐性がありそうですね。

    TSROへの投資はタイミングで成否が分かれた感じですがバイオテクノロジー企業株のタイミングとか神様でないとわかりませんw

    ただ思ったのは既に承認されている薬がある中規模の製薬会社というのは買収の良い標的になるなと

    EXELとかは会社として利益も出ていていつ買収されてもおかしくと思います。

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