Johnson & Johnson | ||
市場予想 | 結果 | |
売上高 | $1.99 | $2.30 |
EPS | 194億ドル | 207億ドル |
最強のヘルスケア・コングロマリット企業ジョンソン・エンド・ジョンソンが2020年第一四半期の決算を発表。
コロナウイルスがどの程度ジョンソン・エンド・ジョンソンの業績に影響するのか投資家は不安だったが経営陣の答えは明快だった。
増配
コロナウイルスでこれだけ世界的な混乱が起きている最中でも配当を増やすと発表。
どれだけ経済がコロナで混乱しようとも経営は全く揺るがないという経営陣の自信の表れがこの増配。
しかも単なる増配ではなく58年間連続で配当を増やしている。
もちろんコロナウイルスの影響が全く無いわけではなく2020年のEPS年間ガイダンスを$8.95-$9.10 to $7.50-$7.90へと下方修正している。
しかしガイダンスの下限であるEPSが7.5ドルであったとしても今回増配となった年間配当額)4.04ドルはペイアウトレシオだと53.4%なのでかなりの余力がある。
JNJの一株利益と一株配当
青グラフが純利益で黄グラフが配当。
配当というものは常に利益の中から出さなければならない。そうしないといつか配当を出せなくなる。
株主に良い顔をするために利益のほとんどを配当に回す企業もあるがコロナなどのネガティブイベントがあると急激に利益が無くなり配当が維持できなくなる。
なので異様に高い配当利回りの会社に投資するときは気を付けるべき。どこに気を付けるかと言えば一つだけ
一株当たりの利益>一株当たりの配当
JNJの利益にはバラつきがあるが基本的に増収増益。そして配当は綺麗に右肩上がり。リーマンショック時の2008年でもこのグラフからその影響は微塵も感じない。
利益は1998年時と比べて5倍、配当も8倍に増えている。
1998年当時の株価は40ドルあたりなので現在まで保有していたら配当利回り10%に相当する。
ジョンソン・エンド・ジョンソンの様なトリプルA格でありながら配当利回り10%。
長期投資個別株としての最終解がジョンソン・エンド・ジョンソン
- 売上高は206.9億ドル(前年同期比3.3%↑)
- 一般消費者向け事業の売上高36.2億ドル(昨年同期比9.2%↑)
- 医療用医薬品の売上高111.34億ドル(昨年同期比8.7%↑)
- 医療機器の売上高は59.3億ドル(昨年同期比8.2%↓)
一般消費者向け
欧州や米国ではコロナパニックの影響で解熱鎮痛剤タイレノールなどの売れ行きが好調だった。買い溜めという事でリステリンなどの衛生用品が幅広く売上好調。
逆にアジア・パシフィック地域(中国含む)ではロックダウンの影響で売上は落ちている。しかしこれらは一過性の現象であるので通年で大きな影響は出ないはず。
医療用医薬品
医薬品はコロナ関連特需で増収増益。医療用医薬品では多発性骨髄腫治療薬ダラザレックスなどの抗がん剤が好調で前年同期比10.1%増。
医療機器
世界中の病院がコロナ治療に専念しているので急を要さない手術が控えられている影響で医療機器の売上が落ちている。
コロナの状況にもよるが医療機器分野は2020年を通して弱含み。
いつか病院が正常化したらセーブされている緊急性が低い手術が行われるはずなので長期的には問題無い。
ジョンソンエンドジョンソンは10億ドル以上をかけて新型コロナウイルスのワクチンを開発している。
新型コロナウイルスが宿主に侵入するとき機能するスパイク部分。その一部分を切り取ったたんぱく質を無毒化したアデノウィルスに封入したワクチンを開発中。
このワクチンは完成したら緊急事態という事で無償配布される予定。
しかしこのワクチンの完成は早くても2021年初旬とのこと。それまでに世界はどうなっているのか