【企業分析】 インタラクティブ・ブローカーズ・グループ

 

インタラクティブ・ブローカーズは安い手数料で世界市場へのアクセスを提供している米国のオンライン証券会社。

 

アメリカだけでなくイギリス、フランス、ドイツ、中国、オーストラリア、カナダ、メキシコの株やそのオプションを売買できる。

 

世界100カ国以上のマーケットでブローカーディーラー業務および自己勘定取引を行っており日本でも事業を展開している。

 

本社はコネティカット州のグリニッチだがスイス、カナダ、香港、英国、オーストラリア、ハンガリー、ロシア、日本、インド、中国、エストニアの各国にオフィスを構えているグローバル証券会社。

 

2012年にBarron’sの年間ベスト・オンライン・ブローカー部門で1位に輝く。

 

 

歴史

 

1977年:創業者トーマス・ピーターフィーがアメリカン証券取引所の会員となり、株式オプションの個人値付け業者となる。

1982年:Timber Hill Inc. の設立

1984年:オプション清算会社(OCC)の会員となる

1985年:ニューヨーク先物取引所の会員になる。

nymex

シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、シカゴ商品取引所、シカゴ・オプション取引所でも取引を開始。

 

1990年:ドイツ先物取引所で株式デリバティブの取引を開始

 

1993年:Interactive Brokers Inc. (現在のIB LLC)が米国ブローカー・ディーラーとして設立

 

1994年 :英ロンドン国際金融先物・オプション取引所(LIFFE)で取引を開始

 

1995年 :パリ金融先物取引所で業務を開始。

1996年 :香港証券取引所で取引を開始。

 

1999年:複数の上場株式オプションで最良価格を執行する 「スマートルーティング 」の提供を開始

 

2001年:社名をTimber Hill Group LLCからInteractive Brokers Group LLCに変更

 

2003年:世界中の上場株式および株価指数オプションの約12%の取引

2005年:世界のオプション市場のうちの16%以上を執行。

2007年 :自社株をナスダックに新規株式公開。1株あたり30.01ドルで40,000,000株の公募。

2011年:一日の取引平均において全米トップとなる。

2012年:Barron’sの年間ベスト・オンライン・ブローカーで1位に。

ベスト・オンライン・ブローカー部門でトップの星4.5を獲得

 

2013年:オプション確率分布ラボ をリリース

オプション確率分布ラボ

2019年 :ミラン・ガリック(Milan Galik)が創立者トーマス・ピタフィーを引き継いで最高経営責任者に任命される。

40年以上会社を率いて来たトーマス・ピタフィーは会長として継続。

 

創業者&大株主のトーマス・ピーターフィー

創業者トーマス・ピーターフィーが会社を通して8割以上の議決権を保有している。

 

トーマス・ピーターフィーは元々ハンガリーの貴族一家に生まれた上流階級だったがソビエトによる共産化により無一文になり1965年になんとかアメリカにたどり着いた。

 

ハンガリーからアメリカに到着したのは良いが英語喋れないピーターフィーにできた事。それはコンピュータプログラミング。

 

最初に道路設計の会社でプログラマーとして働いていたがそのうちウォール街の会社からプログラミングの仕事を請け負うことになり株式市場へ傾注していくようになる。

 

請け負っていた仕事は株価と簿価の並び替えやP/Eレシオを作るなど今ではボタン一つで簡単にできる仕事だがそれらは当時一部の人にしかできない仕事だった。

それらのウォール街からの仕事をこなしていくうちに自身のプログラミングと金融市場との親和性に気が付き自分で会社を興そうと決意。

 

1977年にピーターフィーはアメリカン証券取引所の会員権を買ってメンバーとなり株式オプションのマーケットメーカーとなる。

 

以降は欧州中心にオンライン取引市場拡大に取り組み国際市場での存在感を高めていたが米国では意外にも証券デリバティブのオンライン化が進んでいなかった。

その当時、アメリカの証券取引所では人間同士がやり取りしていたのでオンライン化されてしまうとそれらの人たちが必要無くなる。昔はパソコンをフロアに持ち込むことも「危険」という理由で禁止されていた。

 

しかしそんな古式ゆかしいアメリカのデリバティブ市場もオンライン化の大きな流れには逆らえず2000年にアメリカでオプション取引の自動化が開始。

それに伴いインタラクティブ・ブローカーズという会社も大きく成長して今に至る。

 

 

売上と利益(2007年~2019年)
売上 営業利益 一株益
2007年 1,468 932 1.16
2008年 1,850 1,250 2.24
2009年 1,100 538 0.79
2010年 922 337 -0.23
2011年 1,358 741 1.37
2012年 1,131 527 0.89
2013年 1,076 518 0.73
2014年 1,043 509 0.77
2015年 1,189 604 0.78
2016年 1,396 767 1.25
2017年 1,702 1,051 1.07
2018年 1,903 1,200 2.28
2019年 1,937 1,201 2.1

通貨単位:100万ドル

 

オンライン取引と自動化がこの会社のレゾンデートルなので人件費が少なく利益が出やすい。近年は営業利益率は5割を超えている。

 

コロナが流行する前からオンライン取引が主流となっていたがこれから更にオンライン取引への移行が進む。

 

米国の証券会社は合併による収斂が進んでおり大手の独立系オンライン取引会社Eトレードとモルガン・スタンレーの合併、TDアメリトレードとチャールズ・シュワブの合併などこの数年で大きな業界再編があった。

 

規模的にはそれらの最大手には劣るが株式やデリバティブ取引においては規模が大きいということがメリットにはならない。

 

米国の携帯通信会社はAT&Tとベライゾンが大きなシェアは握っており3番手以下は苦戦している。割安料金や高品質の通信回線を提供するためには大きな資本が必要なので規模が小さいことがデメリットになる。

 

しかしオンライン証券の規模が大きいことは顧客にとって重要でないしメリットも無い。コカ・コーラ株を買うのに手数料の高い野村証券で買う必要は無い。

なので便利でコスパの良い中規模な証券会社でも戦える。

 

丿貫もメインで使っている証券会社Interactive Brokers

 

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