【ドライアイ】 ヒアレイン点眼液:ミニとの違い

 

 

1995年に発売されたヒアレイン点眼液0.1%

 

2019年現在はムチンを増やすムコスタ点眼やジクアス点眼があるが2000年代はヒアレインしかなくドライアイ市場を独占。 効果が弱くても医師はヒアレインを使用するしかなかった。

 

既にヒアレイン点眼液の特許は切れており多くの製薬会社からジェネリック医薬品が登場しているが主成分であるヒアルロン酸の濃度を3倍にした0.3%の製剤や1回使い切りタイプのミニもラインナップされておりこれからもドライアイ市場で一定の存在感を保つはずである。

 

 

名称の由来

ヒアルロン酸を意味する「ヒア」と角結膜を潤すという意味で「レイン(雨)」を組み合わせた。

 

ヒアレインという響きが綺麗な商品名。

雨は大地を潤す。

 

しかしその大地そのものが荒れ地や砂漠ではいくら雨が降っても、水を撒いても効果は無い。砂漠にどんなに水をまいても草木は育たない。

 

ドライアイという症状は単純に水が不足しているというわけではなくシェーグレン症候群による分泌液の不足や角膜上皮細胞に何らかの異常が生じても起こる。そういった炎症が生じている場合にはいくら水を撒いても効果はない。

 

日本とアメリカではドライアイに対する考え方が異なりアメリカでは免疫抑制剤シクロスポリン点眼液を使用して炎症を抑えるという事を主眼に置いた治療を行う。

 

市販薬でもある人工涙液マイティアはそのまま涙液なので炎症は抑えられない。ヒアレインは水分を補給保持する作用以外にもう一つ有益な力を持っている。

 

効能・効果
製剤 保険適応
ヒアレイン点眼液0.1%、0.3% シェーグレン症候群、SJS、眼球乾燥症候群、術後、薬剤性、外傷、CL装用等による外因性疾患に伴う角結膜上皮障害
ヒアレインミニ点眼液0.1%、0.3% シェーグレン症候群、SJSに伴う角結膜上皮障害のみ

ヒアレイン点眼液とヒアレイン・ミニ点眼液の違い、それは

 

保険適用

 

1回使い切りタイプのミニ点眼液はシェーグレン 症候群とスティーブンスジョンソン症候群に伴う角膜上皮障害にのみ使うことができる。

 

シェーグレン症候群は分泌腺が自己免疫で障害されて必要な涙液が出てこなくなりドライアイとなる。

スティーブンスジョンソン症候群は医薬品や細菌などによって 体内の免疫に変化が生じて 強い皮膚症状などが起こる。皮膚だけでなく全身の粘膜がやられるので眼もダメージを受ける。

このような難病に対してだけミニ製剤は保険適用。

自由診療、自己負担10割でよければ医師から処方を受けることができる

 

使い方

1回1滴、1日5~6回点眼

通常は0.1%製剤を投与し、重症疾患等で効果不十分の場合には、0.3%製剤を投与する。

 

ヒアレイン点眼液は1日5回か6回使うことになっている。

 

なぜそんなに使うのかと言えば一時間もすれば 目の表面からヒアルロン酸がなくなるから。人工涙液と比べて比較的ドロドロしているヒアレインだが高い粘性は有していないのですぐに目の表面から無くなる。

 

作用機序
ヒアレイン点眼の作用機序

ヒアレインの作用機序は大きく二つ

 

一つ目は保水能力

 

ヒアルロン酸は分子内に水を多量に保有することができ目の乾燥による痛みを軽減してくれる。

 

このヒアルロン酸の高い保水能力は化粧品や健康食品などにも応用されており膝の関節がすり減っていたいという場合にもヒアルロン酸の注射が行われる

点眼や注射のように直接補充する場合ヒアルロン酸は有益。

 

しかしヒアルロン酸サプリをいくら飲んでも胃酸で分解されてしまうので意味はない

 

 

二つ目はフィブロネクチンへの作用

 

炎症や乾燥によって生じている角膜上皮細胞の障害を修復する能力がある。

 

構造式
一般名: 精製ヒアルロン酸ナトリウム

上の構造式を見てわかるようにヒアルロン酸ナトリウムは二つのシンプルな糖が繋がり合っている。なので人間が生体内にも元々たくさん存在する。

ヒアルロン酸という成分は医薬品というより自分が持っていて少なくなってきた体内物質を補うもの。

 

あべのハルカス臨床効果
試験デザイン 二重盲検試験を含む臨床試験
対象患者 眼球乾燥症候群
製剤 改善率(%)〔改善以上〕
ヒアレイン点眼液0.1% 67.5%
ヒアレイン点眼液0.3% 64.6%
ヒアレインミニ点眼液0.1% 52.1%
ヒアレインミニ点眼液0.3% 76.0%

臨床試験におけるドライアイの効果を見てみると 0.1%と0.3%の製剤で差がない。むしろ、若干負けている。

 

使い捨てのヒアレインミニ点眼液では27%と大きな差がついているが普通のヒアレイン点眼では差が見られない。

 

ヒアレイン点眼0.3%は一本500円し0.1%の350円よりも150円も高い。

0.3%の150円という付加価値に意味があるのか判らない。重症のドライアイ患者限定で使えば差があるのかもしれない

 

副作用
臨床試験
全症例 4,208例
全副作用発現例 74例
副作用発現率 1.76%
主な副作用 発現率
眼瞼そう痒感 0.45%
眼刺激感 0.36%
結膜充血 0.24%

副作用についてはほぼプラセボと同等で安全な薬のだが皆無ではない。

これはヒアルロン酸ナトリウムの副作用というよりも人工合成物である添加物イプシロンアミノカプロン酸による影響もあり得る。

 

 

コンタクトレンズしたまま使えるヒアレイン点眼
塩化ベンザルコニウム クロルヘキシジン

2018年、ヒアレイン点眼の添付文書が改正された。

 

点眼液に含まれている防腐剤が塩化ベンザルコニウムからクロルヘキシジンに変更された。

 

錠剤の添加物が少し変わったぐらい全くどうでもいいが点眼薬の防腐剤の変更はとても大きな意味がある。

 

以前のヒアレイン点眼液に含まれていた防腐剤ベンザルコニウム塩酸塩は角膜上皮に対して炎症を起こすリスクが有りコンタクトレンズをしたまま点眼することはできなかった、

その防腐剤が変更となったので「コンタクトレンズの上から使用しないこと」という添付文書の文言が削除された。

 

ヒアレインミニは一回使い捨てが前提なのでもともと防腐剤を含んでいない。

 

ヒアレイン点眼液の薬価とジェネリック
薬価(1本分) ジェネリック最安 後発/先発
ヒアレイン点眼液0.1% 354.80円 142.90円 40.3%
ヒアレイン点眼液0.3% 508.50円 183.70円 36.1%
ヒアレインミニ点眼液0.1% 12.80円 N/A N/A
ヒアレインミニ点眼液0.3% 18.30円 13.40円 73.2%

 

添付文書通りに一日6回を両目に使うと1日12滴使う。

 

5ml製剤が100滴出るとすると約一週間で使い切る計算となる。

 

1ヶ月使う場合は4本必要。

0.3%製剤なら10割負担で2034円となり保険が使えると一ヶ月610円。

効果に差がない0.1%製剤のジェネリック医薬品であれば 10割負担で572円

 

一か月分の3割負担は171円と激安

 

 

しかし

 

目薬を始めとする外用薬は主成分が同じでも他の成分が違うと使用感がかなり違ってくる。

 

日本点眼薬研究所から発売されている「ヒアルロン酸ナトリウムPF点眼液0.1%ニッテン」

このPF製剤にはヒアレイン点眼で含まれていないホウ酸が含まれている。

そしてこの目薬は初めに使う時に目薬の真ん中を強く押さなければ液が出てこない。

 

ホウ酸に違和感を感じるという人もいるだろうしお年寄りだと指の力が弱いので点眼しにくいかもしれない

 

 

ヒアレインのジェネリック医薬品は患者さんの希望をよく聞いて選択しなければならない

 

ヒアレインの年間売上高
ヒアレイン点眼の売上高
年度(3月締め) 単位:100万円

ヒアレインのジェネリック薬品である 2002年7月に発売されているが全く売上落ちていない。

 

2010年にはムチンという成分を増やす次世代のドライアイ治療薬ジクアスが発売されたがお構いなしに右肩上がりで2012年に年間売上222億円を達成した。

医師と患者さんに根強いファンがいるヒアレインならではの売上推移となっている。

 

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