ニューキノロン系抗菌薬について

 

ニューキノロン系抗菌薬は広いスペクトルを持つが特に肺炎球菌など呼吸器系疾患に対して高い効果を持つ。

 

「ニュー」キノロンという名の通り、オールドキノロンも存在する。

しかしオールドキノロン経口薬は経口での吸収率が悪くほぼ使われていない。抗菌スペクトルや耐性菌リスクを考えても敢えてオールドキノロンを選択する場面は少ない。

 

臨床で使われているクラビットやグレースビットといったニューキノロン系の始祖は1962年に開発されたオールドキノロンのナリジクス酸(マラリアの薬であるクロロキンの副生成物から開発)。

[ナリジクス酸の構造式]

 

だがナリジクス酸はグラム陰性菌にしか抗菌作用を示さずグラム陽性菌には効果が期待できないことや耐性菌の出現率が問題となり新しい抗菌薬が求められた。

 

そしてオールドキノロンのキノロン環にフッ素とピペラジニル基を導入し強い抗菌力と良好な組織移行性を持つノルフロキサシンが1978年開発されキノロン系抗菌薬は新しい世代を迎える。

ニューキノロンで導入されたフッ素は導入した物質の薬理作用を高める役割を持つ。

睡眠薬のフルニトラゼパムも構造式にフッ素が入っておりBDZ系の中で比較的強力な催眠作用がある。医薬品でフッ素は効果を増強する重要アイテム。

 

 

 


 


ニューキノロン系の作用機序


 

DNA合成に関わるDNAジャイレース、トポイソメラーゼを阻害する。

 

細菌が増殖する際に必須の酵素を邪魔して抗菌作用を発揮する。人間にはこの酵素が無いので副作用が少ない。

 

 

 


世代別キノロン系の一覧


オールドキノロン(第1世代)
商品名 ウイントマイロン ドルコール
一般名 ナリジクス酸 ピペミド酸
特徴 発売中止(2018年3月) 大日本製薬が開発

 

 

 

 

ニューキノロン(第2世代)
商品名 バクシダール タリビッド スオード
一般名 ノルフロキサシン オフロキサシン プルリフロキサシン
特徴 ニューキノロン系の始祖 活性体は半分でクラビットより抗菌力は弱い プロドラッグ、BBBを通過しにくい

 

 

 

ニューキノロン(第3世代・前期)
商品名 クラビット オゼックス
一般名 レボフロキサシン トスフロキサシン
特徴 日本で一番処方されている、適応症も最多 小児用に細粒がある

 

 

 

ニューキノロン(第3世代・後期)
商品名 ジェニナック アベロックス グレースビット
一般名 ガレノキサシン モキシフロキサシン シタフロキサシン
特徴 6位にフッ素を有さない。肺炎球菌だけでなくクラミジアにも PK-PD理論により1日1回 肺炎球菌に達する抗菌活性がニューキノロン系で一番高い

 

 

 


ニューキノロン系の副作用


 

痙攣など中枢神経系の副作用に注意する。

特にボルタレンなどNSaidsと併用すると痙攣リスクが上昇する。これは脳内の抑制系であるGABA受容体への結合を阻害することによる。

 

だいたい腎排泄タイプの薬なので腎機能が低下している状態で服用すると血中濃度が上昇し副作用が起きやすくなる。クレアチニンクリアランスの状態に応じて適切に服用する。

 

 

 


ニューキノロン系抗菌薬の適応症


 

世代ごとに適応症が異なる。

 

バクシダールやロメバクトと言った第二世代キノロンは尿路感染症をメインに処方される。

第三世代前期のクラビットやオゼックスはグラム陽性菌への効果が増強されており肺炎球菌にも有効。さらに一世代進んだ第三世代後期のジェニナックは逆に尿路領域に適応症を持たない。

 

第三世代のクラビット、オゼックス、ジェニナック、アベロックス、グレースビットはレスピラトリー(呼吸器用)キノロンと呼ばれている。

 

 

 


PK-PD理論


 

ニューキノロン系抗菌薬は一度に大量服用し一気に血中濃度を上げた方が効果が高い。

逆にセフェム系などは時間依存性に効果が上昇するので1日3回マメに服用しなければならない。

 

1日3回服用するというのは飲み忘れにも繋がるし1日1回で済むならそれに越したことはない。1日1回服用のクラビット錠500mgも昔は100mg錠を毎食後に服用していた。

 

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