Aimmune Therapeutics(NASDAQ: AIMT)はピーナッツアレルギーに対する治療薬パルフォジアを開発・販売している。
ピーナッツアレルギーを持つ4歳から17歳の患者に対してFDAから承認済。パルフォジアはアナリスト予想で年間売上10億ドルにも達すると事前に言われていた。
しかしそこにタイミング悪く新型コロナウイルスが世界中で発生。
パルフォジアはアナフィラキシーショックが起きた場合に対応するために初回投与時は必ず承認された医療機関で投与される。
しかしパンデミックが起こり緊急性が低いピーナッツアレルギー治療は後回しとなり発売が延期されてしまった。
Aimmune Therapeuticsはパルフォジアしか商品が無いので株価は暴落している。
Aimmune Therapeutics |
Aimmune Therapeutics株の今後はどうなるのか?
厚生労働省が指定しているアレルギーの特定原材料7品目
卵・乳・小麦・そば・落花生 (ピーナッツ)・海老・蟹
上記の7つを含む食品は法律で含まれている旨を消費者に表示しなければならない。
ただどうしても製造工程で微量の特定原材料がエラーで混じってしまったり、子供が間違って食べてしまうと重篤なアレルギーが起きる。
この7つの特定原材料の中でもピーナッツアレルギーは重篤なアレルギーを引き起こす。
全身の蕁麻疹や吐き気、更にアナフィラキシー状態となり血圧低下からショック状態となる。
現時点でのピーナッツアレルギーに対する予防法はまず原因物質であるピーナッツを取らない。そしてアナフィラキシー症状に陥った場合に備えてエピペンを常備するという受けの対処法しかなかった。
そこの初めてAimmune Therapeuticsからパルフォジアというピーナッツアレルギーに対する積極的な対処薬が登場。
ピーナッツは米国で最も一般的な食物アレルギーとして知られており約125万人の子供と青年が中程度以上のピーナッツアレルギーを抱えている。
米国のピーナッツアレルギー患者4人のうちおよそ1人はERを訪れている計算になりそれを予防できたらパルフォジアの価値は高まる。
まず最初に言わなければならないことがある。
パルフォジアはピーナッツアレルギーを完治させる薬ではない。
体を徐々にピーナッツに慣れさせて微量のピーナッツを間違って口に含んでしまってもアナフィラキシーショックが起こらないようにする薬である。
なので最初パルフォジアを投与する際は必ずアナフィラキシーに対応できる病院と指定されている。
ごく微量から投与して徐々に投与量を増やして経過を観察する。
これまでの臨床試験をザックリ紹介すると
対象患者に2年間パルフォジアを投与したらピーナッツ600mg(重さ的に2個位)に対して耐性を持つ事ができた子供たちが6割。
比較対象としてプラセボ群だと耐性を持つことができた割合が4%
なので有効性は証明されている。
パルフォジアのもう一つの問題点である高額な薬価。
月額890ドル、年間1万ドルというかなり高価な治療費が話題となったがこの点もすんなり承認された。
100万人以上いるピーナッアレルギーのうち1万人がパルフォジアを使うとどそれだけで1億ドル。ヨーロッパでも承認申請が通ったら市場は広がり売上もうなぎ上り。
ピーナッツアレルギー治療薬の開発を争っていたドイツ企業DBVテクノロジーズの候補薬ViaskinがFDAから拒否されたのでパルフォジアの独断場。
あとは現金を回収するだけ。
いざ発売。
という所でコロナ発生。
運が悪すぎる。
2020年6月末時点で現金同等物が3.1億ドルある。
それに対して3か月に消費した現金は6,500万ドル。
つまり何も売り上げが無い状態だと
31000÷6500=4.7四半期
1年間は耐えることができる。
Aimmune Therapeutics株への投機の論点は
1年以内にコロナショックが落ち着きパルフォジアを販売できるか
という一点に尽きる。
そして近い将来、年間営業費用である2.5億ドルをパルフォジアで稼げるのか。もし2.5億ドルを稼げたら新株を発行する必要性も低下するので既存株主にとっては安心材料となる。
一人年間の治療費1万ドルとして2.5億ドル稼ぐには2万5千人の患者が必要。米国のアレルギー患者2%が求められる。
もしこのパルフォジアが成功したら将来的には卵アレルギーの治療薬開発にも繋げる事ができAimmune Therapeuticsはアレルギー治療企業として成長できるかもしれない。
そんな先を見越しているのがネスレというスイスの企業。
コーヒーやキットカットで有名な食品創業企業ネスレが筆頭株主。
これまでも直接ネスレの子会社から2億ドルの投資を受けている。なのでもしどうしてもAimmune Therapeuticsが経営的にピンチになったらネスレが出てくるかもしれない。