イルミナ[Nasdaq: ILMN]は人や動物の設計図であるDNAを調べるシーケンサー装置を開発している。DNAシーケンサーを開発している企業は数多あるが企業規模で圧倒的なNo1なのがイルミナ。
グーグルの検索エンジンシェアとほぼ同じ世界シェア8割でほぼ一強状態。この会社の製品がゲノム業界のデファクトスタンダード。
イルミナの設立は1998年なのでまだ20年ちょっとしか経過していないが過去20年間のゲノム業界で最も重要なプレイヤー。
人類の一大プロジェクトであるヒトゲノム計画が完了したのは2002年、その時点では30億ドルと13年の費用を要した。
そこからイルミナを始めとする企業が様々な技術的ブレークスルーを経て費用は・・・
2021年現在だと一人のゲノム解析費用は1000ドル以下、しかも1日で完了する。
イルミナはこれから5年以内に一人当たりゲノム解析コストを100ドルになると予測している。
現在のイルミナ製品で最も高性能なDNAシーケンサーNovaSeqは、一人分の全ゲノムを1時間以内に解析できる。
利休
DNAってそもそも何なんじゃ?
デオキシリボ核酸という物質です。DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンという4つの塩基を含んいます。この4つの塩基の組み合わせの違いが人間の設計図となります。
織部
利休
その設計図を調べて何か良いことあるんかのう?
なぜこの病気になるのか?という根本的な問いの答えとなります。新型コロナウイルスの様に病気を引き起こす外的要因だけで人間は病気になるわけではないです。元々遺伝子に原因があって病気になっている場合も多々あります。
織部
利休
筋ジストロフィーとかは遺伝子の病気で有名じゃのう。
これまで治療法が見つかっていない難病も遺伝子異常である場合があります。原因が分かれば治療の6割は終わったようなモノです。なので遺伝子の異常を解析することは治療で重要なステップです。
織部
利休
なら病気になったら遺伝子を調べてみるかのう。
遺伝子検査は病気の予防にも効果的です。遺伝的に糖尿病になりやすい人や乳がんになり易い人などが分かります。その情報が分かっていれば毎年その病気になり易い分野を重点的に人間ドックで調べると早期発見に繋がります。
織部
利休
でも遺伝子検査の会社で料金を調べてみるとお高いのう。
昔は一人の全ゲノムを調べるのに3000億円位のお金が掛かっていました。そう考えるとこの業界の技術革新とそれに伴うコストダウンの速さに驚きます。
織部
利休
でもDNA検査費用が安くなるということは検査する側のイルミナにとってみれば売上が低くなるんじゃ?。
検体当たりのコストはこれからも安くなり続けますが検体数の伸びが予想されているので自分は心配していません。
織部
利休
そんなに自分の遺伝子を検査する人が増えるんかのう?
これまでのがん治療薬は癌も自分の細胞も両方叩くという大雑把な薬がメインでした。しかしこれからは遺伝子変異などを調べてその変異に効果がある薬を選ぶということが当たり前になります。
織部
利休
自分の遺伝子も癌の遺伝子も調べることができるんじゃのう。
遺伝子検査は費用が高くて一部の薬にしか遺伝子検査は適応されませんでしたが1万円で全ゲノムを分析できるようになればコスト面でのハードルが低くなり一般的な医療に組み込まれるはずです。
織部
利休
そうなると遺伝子検査で最大手のイルミナの機械はPS5のごとく爆売れで大儲けじゃのう。
でも実はイルミナの儲けは検査の機械本体ではないんです。
織部
利休
遺伝子検査の高いマシーンは何億円もすると聞いたぞい。
確かに本体は超高額ですが一回売ったらそれっきりです。なのでイルミナの収益は本体でなく検査時に使う消耗品です。
織部
イルミナの部門別売上 | |||
消耗品 | 機器 | サービス | |
17/09/30 | 451 | 140 | 118 |
17/12/31 | 514 | 139 | 119 |
18/03/31 | 504 | 118 | 154 |
18/06/30 | 540 | 127 | 106 |
18/09/30 | 550 | 154 | 143 |
18/12/31 | 562 | 170 | 129 |
19/03/31 | 556 | 111 | 179 |
19/06/30 | 571 | 133 | 134 |
19/09/30 | 600 | 146 | 161 |
19/12/31 | 665 | 147 | 141 |
20/04/30 | 620 | 81 | 158 |
20/08/06 | 436 | 91 | 106 |
20/10/29 | 562 | 114 | 118 |
21/02/11 | 686 | 145 | 122 |
21/04/27 | 774 | 179 | 140 |
↑を見てもらうと分かりますが毎年新製品を出している本体の売上は横ばいです。しかし消耗品は成長を続けています。
織部
利休
プリンター会社が本体安くして高いインクを売りつける的な?
だいたい合っています。消耗品ビジネスは派手さはないですが経営に安定をもたらします。これから検査数が増えると消耗品もたくさん使われるのでイルミナの売上も安泰というわけです。
織部
イルミナの売上 |
上のグラフは3か月毎のイルミナ社の売上です。
織部
利休
2020年に売上が減少しておるのう。
新型コロナが世界的に流行したので遺伝子検査に限らず急を要さない手術なども延期されました。その影響を受けてイルミナに限らずISRGなど医療系ハイグロース株は暴落しました。
織部
利休
しかし直近の決算を見ると売上高は過去最高で完全に成長軌道に戻ってきたようじゃのう。
四半期売上高の前年同期比(%) |
イルミナは平時であれば毎年20%の成長速度です。この20%という高成長な数字があるので株価売上高倍率(PSR)が10倍を超えていても投資家は株を購入しています。
織部
イルミナ株の株価売上高倍率 |
利休
一般的に高成長株が集うNasdaqのPSR平均が5倍と言われておるからイルミナ株の評価は高いのう。
ただスノーフレークの様なクレイジーな評価だとは思いません。
織部
利休
PSRの推移を見ていると10倍~15倍の範囲で時価総額が動いておるのう。
PSRが10倍を切ったら勇気を出して買うとその内助かりそうです。
織部
利休
直近売上高が10.93億ドルなんじゃから年間売上に直してPSR10倍だと時価総額が437億ドル。PSRが15倍想定じゃと655億ドルになるのう。
現時点の時価総額は591億ドルなのでやや高めの水準かもしれません。
織部
そんなイルミナという企業が誕生した1998年にもう一つ、重要な企業が誕生している。
それは検索エンジン世界最大手グーグル。
今は調べたいものや知りたい事があるとまずはグーグルのサーチエンジンで検索する。そしてそれはこれからも変わらない。
グーグルが株式を公開したのは2004年
2000年に崩壊したITバブルの傷がまだ残っていた時期で上場時の時価総額230億ドルは高すぎるという評価もあった。
グーグルの2003年度売上は9億6190万ドルでPSRは20倍以上と現在のイルミナPSR15倍よりも割高だった。
そんな割高だったグーグル株は2021年現在の時価総額は1兆ドル以上となっている。
そしてそのグーグルの検索エンジンと同じ位、重要度の高い遺伝子検索ツールをイルミナは提供している。
今は調べたい遺伝子変異や知りたいゲノムがあるとまずはイルミナのシーケンサーで検索する。そしてそれはこれからも変わらない。
お久しぶりです、更新ありがとうございます。
ゲノム関係そそられますよね、私も以前ロングリードシーケンスについて調べた際にILMN検討しました。個人的には暴落時に再度検討したい銘柄のひとつです。
イルミナは既に高収益企業で安定感が他の企業と段違いなので暴落したら拾いたい銘柄です。
これからの10年間で大きく成長すると思われる業界だと思います。イルミナ以外だとPACBやNVTAも10年後が楽しみです。
ロングリードシーケンスはPACBでした、ILMNは血液でのがん検査に惹かれたんでした
新しい技術がどんどん生まれるのはすごいですよね、ワクワクします