【一覧】 ACE阻害薬の違い

ACE阻害薬
  • 空咳を利用して誤嚥性肺炎の予防に使う事あり。
  • 組織内ブラジキニンを蓄積し咽頭反射を改善。
  • 現在良く使われているACE阻害剤はレニベース(エナラプリル)、タナトリル(イミダプリル)、エースコール(テモカプリル)。

 

開発のキッカケ

ACE阻害薬開発のキッカケは毒蛇に噛まれると血圧が急激に低下するという現象に注目した事から始まる。ヘビ毒に含まれる物質に血圧を下げるものがあるはずと探した結果発見したのがブラジキニン作用増強ペプチド(BPP)。

米製薬会社のブリストルマイヤーズがBPPのC末端にプロリンを導入したのがACE阻害剤のシード化合物スクシニルプロリン。それを元に世界初のACE阻害薬カプトリルが1983年に誕生した。

 

構造の違い

ACE阻害薬の構造は大きく2つに大別される。構造式にSH基が含まれる薬とCOOH基が含まれる薬。

ACEに含まれるZnイオンとの結合にSH基とCOOH基が関わる。結合力ではSH基が強いのだが味覚異常の副作用が出やすかったりで不満が出た。それを完全するためにCOOH基を含むACE阻害剤が開発。

覚え方はSH基なACE阻害剤はカプトプリル、アラセプリルの2つ。それ以外はCOOH基。

 

副作用

ACE阻害剤の副作用と言えば空咳。小学生でも知っていることだがこの空咳はそこまで心配するような副作用ではない。服用を中止したら三日もすれば収まる。むしろ高齢者で嚥下機能低下している患者に対して敢えて咳き込ませるために適応外で服用させるまである。

そんな空咳よりも重大な副作用が血管浮腫。軽ければ服用中止と抗ヒスタミン薬投与で収まるが重症になると口、のど、気道を覆っている粘膜が腫れて呼吸困難に陥る。呼吸ができずに窒息する危険があるので空咳よりも遥かに危険な副作用。この血管浮腫は全てのACE阻害剤の重大な副作用に記載されている。

 

適応と用法

  • 全て高血圧症に適応があるがオマケな効果を持つ薬もある。
  • 小児に保険適応があるのはエナラプリルとリシノプリル。
  • 特にエナラプリルは生後一ヵ月から使える。
  • エナラプリルは慢性心不全にも使えたり幅広い効能効果
  • イミダプリルは1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に適応あり
  • 最初のカプトプリルは1日3回、デラプリルは1日2回の服用回数。それ以外は1日1回で降圧作用が期待できる。

 

 

それぞれの薬について

カプトリル【カプトプリル】

世界初の経口ACE阻害薬カプトプリル。経口以外ではそれまでもあったが内服薬として承認されたのはこのカプトリルが最初。1日3回服用しなければならない欠点を補うために徐放性製剤のRが販売されたが他のACE阻害薬が1日1回なのでほぼ出番無し。

 

レニベース【エナラプリルマレイン酸塩】

ARBが優勢となった現在でも臨床で活躍。ACE阻害薬の中でも最年少である生後一ヵ月から服用可能。そして高齢患者にも誤嚥性肺炎の予防として適応外で使われている。ゆりかごから墓場までな降圧剤。

 

セタプリル【アラセプリル】

体内で-SH基を生じるようにデザインされたプロドラッグがセタプリル。先行薬カプトプリルの1日3回服用という欠点を補うべく開発された。が現在ではレニベースやエースコールの陰に隠れて存在感無し。

 

アデカット【デラプリル】

日本の武田薬品が開発したACE阻害薬。半減期が短いカプトプリルの欠点を補うべく開発されたが1日2回服用しないといけない。後から開発されたACE阻害剤はほぼ1日1回なので現在ではほぼ出番無し。

 

ロンゲス【リシノプリル】

英アストラゼネカと米メルクが共同開発したSH基を含まない1日1回投与の長時間作用型。現在でもちらほら使われている印象。特徴は2つ、軽症から中等症の慢性心不全に対して保険適応がある。そして6歳以上の小児に対しても使える点。日本小児腎臓病学会が厚労省に要望して認められた。

 

チバセン【ベナゼプリル塩酸塩】

名前の通りチバガイギー社(現ノバルティス)が開発したACE阻害剤。経口投与後すみやかに生体内で活性代謝物ジアシド体のベナゼプリラートへ変身する。カプトプリルよりは強力で長時間作用する。ただ薬価も安くなり儲けが見込めないので2016年、ノバルティスからサン・ファーマへ販売移管。

 

タナトリル【イミダプリル塩酸塩】

ACE阻害剤で唯一1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症に対して適応がある。腎実質性高血圧症も適応あり。そしてACE阻害剤名物の空咳の頻度が類薬と比較して少ない。適応外で嚥下機能改善を期待して処方することもある。

 

エースコール【テモカプリル塩酸塩】

国内で開発された長時間作用型ACE阻害剤。降圧力が強く作用時間も長いがこの薬の一番の特徴は胆汁排泄。それまでもACE阻害剤が主に尿中に排泄されるのに対して剤は主に胆汁中へ排泄される。つまり腎機能低下にも使いやすい。

 

コナン【キナプリル塩酸塩】

米国ワーナー・ランバート社(ファイザー)で開発。組織移行性を高めるために疎水性のisoquinolyl 基を導入。活性代謝物はキナプリラート。

 

オドリック【トランドラプリル】

1982年にヘキスト(ドイツ)で合成され、ルセル・ユクラフ(フランス)で開発されたジペプチドタイプのプロドラッグ型ACE阻害薬。体内で活性代謝物トランドラプリラートに変換される肝・腎排泄型。

 

コバシル【ペリンドプリルエルブミン】

セルヴィエ社(フランス)により合成。体内で活性代謝物であるジアシド体のペリンドプリラートに変換される。高血圧性心肥大に対し抑制効果を示す。小動脈の血管リモデリング改善効果。

 

 

演習問題

 

 

 

 

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