モルヌピラビルを開発したメルクという会社について

ちょっと待ってください。確かに承認されたら数十億ドルの売り上げが期待できますがメルク株爆上げとはなりませんよ。

それはすでにメルクという会社が超巨大企業だからです。

日本で有名な武田薬品工業と比較すると時価総額は4倍です。

メルクの2020年売り上げは480億ドルもあります。仮に70億ドルと年間売上を仮定してもアップサイドは14%しかありません。

株価が上昇したことにより時価総額は約50億ドル増加しました。なのでモルヌピラビルの商業的な成功はすでに株価に織り込まれていると思います。

いつも師匠は近視眼的な投資をするから損をするんです。このメルク株は新薬開発ガチャでSSRを引きに行くようなギャンブル銘柄ではないんです。10年後や20年後を見据えて投資する資産株です。

メルクの中心的な薬はキイトルーダという抗がん剤です。この薬は2020年に143億ドルを売り上げましたが2021年は200億ドルの売り上げが予想されています。

モデルナは現時点で売上がワクチン一本です。

それに対してキイトルーダは世界中で新たな適応症を取得しており最終的には300億ドルまで伸びると予想するアナリストも居ます。

米国内だと2028年です。あと6年ですがそれまでに毎年200億ドル以上の売り上げが期待されています。

コロナが収束するかどうかは神のみぞ知る所ですががん患者数が減ることは無いです。

最近メルクは中国国家医療製品監督管理局からキイトルーダの新適応を取得しました。局所進行性の切除不能または転移性の食道または胃食道接合部の癌患者に対する第一選択薬として承認されました。

特権階級の共産党幹部であろうともガンに罹ったら抗がん剤を欲しがります。その時点で世界でもっともエビデンスがある薬を。

先月、日本の独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、キイトルーダについて転移性トリプルネガティブ乳がん（TNBC）に対する化学療法との併用療法にゴーサインを出しました。

キイトルーダはメルクが1から開発したわけでなく買収した企業が開発していた薬です。

メルクを初めとしたメガファーマは買収を繰り返して成長してきました。ある意味で製薬投資のヘッジファンドとも言えます。その成果はメルク株のリターンにも表れています。

1986年に1万ドルを投資していたら2021年現在で62万ドルとなっています。

メルク株も無敵ではないのでや糖尿病治療薬ジャヌビアなどの大型薬が特許切れになりそうなときは株価が低迷しました。その時に勇気を出して株を買うと大きなリターンが長期的には得られます。

メルク株は投機ではなく投資対象の銘柄です。