【フルタイド】 吸入ステロイド薬(ICS)の違い 【オルベスコ】

吸入ステロイド薬(ICS)の違い

 

吸入ステロイド薬[ICS:inhaled corticosteroid]は喘息治療で最も基本となる薬。

喘息の症状は重症度で4つに分類しているが成人喘息だとその全ての段階で吸入ステロイド薬が使用される。

 

ICSを使用しても効果が不十分な場合は長時間作用型β刺激薬(LABA)長時間作用型抗コリン薬(LABA)を併用したりそれらとの合剤を使う。しかし何にしてもICSは喘息治療の柱と位置付けられている。

 

ICSの主成分として2022年現在、6種類が販売されているが喘息発作予防において大きな差は無い。デバイスによる使いやすさや添加物の有無、小児に使えるか等で選択する。

 

吸入デバイスは

  • 加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI:pressurized Metered Dose Inhaler)
  • ドライパウダー定量吸入器(DPI:dry powder inhaler)

等がある。

 

pMDIは噴射ガスが充填されていて押すと薬が出てくる便利アイテム、しかし吸入するタイミングを合わせるのが難しい。

DPIは自力で吸い込むタイプでタイミングは心配無いが吸い込む力が落ちている患者さんには不向き。

 

他の違いとしては粒子径の大きさがある。

粒子径の大きさが肺内到達率に影響する。小さい方が末梢気道まで届きやすいのだがあまりに小さいと肺に吸着せずに呼気と共に排出されてしまう。

粒子径の大きさにより到達する部位が異なり

  • 2.0~5.0μm:中枢気道
  • 0.8~3.0μm:末梢気道から肺実質

へ到達するとされている。

粒子径が6μm以上だと咽頭へ吸着しやすく嗄声など副作用が起きやすい。

 

ここで師匠にクイズです。上記6種類の全ての吸入ステロイド薬と併用禁忌の薬はなんでしょうか?

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織部

 

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利休

吸入薬に併用禁忌とかパッと思いつかんのう

 

答えはミニリンメルト(一般名::デスモプレシン酢酸塩水和物)です。

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織部

 

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利休

なぜに併用禁忌なんじゃ?

 

機序は不明ですが低ナトリウム血症が起こる可能性とのことです。

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織部

 

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利休

ミニリンメルトは夜尿症や尿崩症で処方されるから喘息薬を貰っている病院以外で貰うことがあるかもしれんのう。

 

 

 

 

製剤 特徴
フルタイド
  • 最も使用されている吸入ステロイド
  • 豊富なデバイス(エアゾール、ロタディスク、ディスカス)
  • グルココルチコイド受容体への親和性はベクロメタゾンの2倍
  • 小児適応あり
  • 経口BAは 1%以下で全身へ移行しにくい
  • 同成分のアレルギー性鼻炎治療薬にフルナーゼ
  • サルメテロールを追加したアドエアへ移行しやすい
  • フルタイドの由来はFluticasone Propionate と呼吸を表わす tidal、ディスカスの由来は古代ギリシャから伝わる円盤競技である discus、ロタディスクの由来は回転を意味する rotary と円盤状のものを意味する disk
キュバール キュバール
  • エステラーゼで分解されてから効果を発揮するプロドラッグ
  • 活性体は17-BMP
  • 効果は比較的早く出現
  • 以前は噴射剤にクロロフルオロカーボン使われ環境に悪かった(オゾン層破壊)
  • 現在は代わりに1,1,1,2-テトラフルオロエタン
  • エタノールが含まれているので刺激感あり
  • その分、使用前に振らなくてもいい
  • キュバールの由来はQuality and Value in Asthma Relief
  • 大元の開発はアメリカの3M社
パルミコート パルミコート
  • 6剤中でもっとも妊娠中の安全性が高い
  • 添加物無しで粉っぽさがない
  • なので吸入した感が無く不安に感じることもある
  • タービュヘーラーは使いやすい
  • ホルモテロール追加したシムビコートへ移行しやすい
  • 吸入後は一部が細胞内の脂肪酸とエステル結合し効果長持ち
  • 吸入液はネブライザーでエアロゾル化してから使用
  • 新生児や寝たきりの患者さんには吸入液がオススメ
  • パルミコートの由来はPulmonary(肺)から Pulm を、Corticosteroid から cort
オルベスコ オルベスコ
  • 初めての1日1回投与が可能な吸入ステロイド
  • 高用量(1日800μg)使用する場合は1日2回
  • 試し噴射は3 回
  • 肺組織内でエステラーゼによる加水分解されるプロドラッグ
  • 活性代謝物である脱イソブチリル体はグルココルチコイド受容体に対する親和性がシクレソニド比で約100倍
  • 粒子径が最も小さい部類
  • 嗄声の副作用が出にくい
  • 52%の高い肺内到達率
  • アルコール含有
  • オルベスコの由来は「All for the very best condition
アズマネックス
  • 残量が0でロックされ空吸入がすることが無い
  • 肺への到達率が 40%
  • 乳糖が含まれているが微量でむせにくい
  • 小児には使用できない
  • 全身吸収性は極めて低くBA1%以下
  • 同成分のアレルギー性鼻炎治療薬にナゾネックス
アニュイティ アニュイティ
  • 1日1回でOK
  • 好酸球に対する高い抗炎症作用
  • フルタイドとデバイスも移行しやすい
  • 小児には使用できない
  • 同成分のアレルギー性鼻炎治療薬としてアラミスト点鼻液

 

 

 

 

クイズ

 

 

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