一般名 | チモロールマレイン酸塩 |
日本発売年 | 1981年 |
開発会社 | 米メルク |
販売会社 | 参天製薬 |
分類 | 緑内障治療薬 |
機序 | β遮断 |
眼房水が増えすぎてその水圧で視神経がダメージを受けると緑内障となる。なので眼房水を減らすのが緑内障治療の根本
その眼房水は毛様体という組織で作られておりその毛様体にあるβ受容体というところを遮断すれば眼房水の生産量が低下する。
緑内障点眼薬の分類 |
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メカニズム | 場所 | 薬の種類 | 代表的な製剤 |
産生抑制 | 毛様体 |
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流出促進 | 主経路 |
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副経路 |
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チモプトールは毛様体のβ受容体を遮断することによって眼房水を減らす。それまで緑内障治療薬として使われていた副交感神経刺激薬などを上回る効果を有しており登場すると同時に緑内障治療薬の主薬へと躍り出た。
WHO必須医薬品モデル・リストにも入っている重要な薬。
1981年に承認された時は万有製薬(現MSD)と参天製薬の併売だったが2014年からは参天製薬製品のみとなっている
- 一般名チモロールマレイン酸塩 “TIMOLOL”の点眼用“OPTIC”であることからTIMOPTOL と命名された。
- チモプトール XE 点眼液は従来のチモプトール点眼液よりも効果が持続する(extended efficacy)という製剤の特徴から、アルファベットのXとEをチモプトール点眼液に加え、チモプトール XE 点眼液と命名された。
- 緑内障
- 高眼圧症
緑内障と高眼圧症て何が違うねんっていう話だが視神経の頑丈さには個人差はある。
20でもへっちゃらな人もいれば15で視神経にダメージが出る人もいる。
視神経が頑丈で眼圧が高い状態なのに視野の欠損などを生じていない状態を高眼圧症。
眼圧は正常なのにも関わらず視神経にダメージがあり視野欠損がある場合を正常眼圧緑内障と言う。
単純に眼圧が20未満だから大丈夫とは言えないのが緑内障
だが高眼圧症にしても正常眼圧緑内障にしても眼房水から圧力がかかってダメージが発生するという事は同じなので眼圧を下げるのがジャスティス。
- 1日2回[1回1滴]:チモプトール点眼液
- 1日1回[1回1滴]:チモプトールXE点眼液
緑内障治療薬は基本的にエンドレスで使うもの。なので1日2回から1日1回に点眼回数を減らせると患者さんの負担がかなり軽減される。
チモロールは眼房水の産生を抑制する。この眼房水の生産は日中に活発である夜はその半分。
なのでチモプトールXE点眼液は1日1回いつでも使って良いのだができれば朝に点眼した方が効果が得やすい。
チモプトールXE点眼液はチモロールマレイン酸塩にジェランガムというゲル化剤を加えることで 一日一回で眼圧コントロールが可能となった製剤。
便利になった反面、XE点眼液の添付文書には「他の点眼剤を併用する場合には、本剤投与前に少なくとも10分以上の間隔をあけて投与すること。」との記載がある。
5分ではないことに注意。
目を閉じ1~5分間目がしらを指先で抑えることで全身性の副作用を軽減することができる。
薬理作用:β遮断 |
眼房水の産生を司る毛様体のβ受容体をチモプトール点眼液が遮断することにより水を作らせなくして房水による圧力を低下させる。 |
チモプトールが承認されたのは1981年だがβブロッカー自体は循環器系で高血圧や頻脈の治療薬として使われていた。
プロプラノロールというベータブロッカーを使うと瞳孔や視力に影響を与えることなく眼圧を下げるということが経験的に知られておりそこからβブロッカーの緑内障への応用が始まる。だがβ受容体というのは体の全身に存在しているので全身性副作用が出てしまい開発は困難。
1981年の発売まで10年以上の開発月日がかかっている。しかしその甲斐あってそれまで使われていた緑内障治療薬よりも効果が強い新薬として誕生し大ヒット。
現在ではこのチモプトールなどβ遮断薬よりもさらに強力なPG製剤が存在する。
一般名:チモロールマレイン酸塩 |
βブロッカーの始祖であるプロプラノロールと基本的な骨格は共通しているので副作用も出やすい。
点眼されたチモプトールは鼻涙管を通じて全身へ回る。
インデラル(一般名:プロプラノロール)の構造式
チモプトール点眼液の効果 |
緑内障の治療において最もエビデンスが確かなのが眼圧を下げること。
眼圧の正常範囲は10から20mmHg
眼圧を1mmHg下げることで視野欠損などのリスクを10%減らせるという研究報告もある。
チモプトール点眼液を使うことで7割の人が眼圧20以下を達成できる。
使用成績調査(再審査終了時) | |
総症例 | 5,617例 |
副作用の報告例数 | 266例(4.74%) |
角膜障害 | 1.42% |
眼刺激症状 | 0.94% |
不整脈 | 0.41% |
視力障害 | 0.37% |
頭痛 | 0.23% |
気管支にあるβ2受容体を遮断してしまうと気管支が収縮してしまい喘息発作が起きてしまう。なのでチモプトール点眼液は気管支喘息の患者に投与することは禁忌となっている。
全身性の副作用だけでなく局所的な副作用もある。
特徴的な副作用は角膜障害
チモプトールは表面麻酔作用があるのでドライアイ状態となり角膜障害を起こす
万が一間違ってチモロール点眼薬を服用してしまった場合は活性炭や洗浄の処置がオススメ
それでも徐脈が続く場合はアトロピンを静脈内投与
低血圧の場合はボスミン
チモロールマレイン酸塩の一部は肝で代謝され、主として腎より排泄される |
代謝酵素:CYP2D6 |
CYP2D6を代謝することで有名な抗うつ薬パキシルは併用注意となっている。
パキシルを毎日服用している人がチモロールを点眼すると体内での代謝がパキシルによって邪魔されてしまい心拍数減少などが起こる。
先発品 | 薬価(1mL) | 後発品(最安) | ディスカウント |
チモプトール点眼液0.25% | 141.90円 | 57.20円 | 40.3% |
チモプトール点眼液0.5% | 206.20円 | 81.90円 | 39.7% |
チモプトールXE点眼液0.25% | 435.30円 | 36.30円 | 8.3% |
チモプトールXE点眼液0.5% | 605.90円 | 285.80円 | 47.2% |
(2019年10月時点)
先発品のチモプトールは一日ニ回タイプより一日一回タイプの方が高い、約3倍する
しかし0.25%ジェネリックの場合一日一回タイプの方が1日2回タイプよりも安い不思議な価格設定となっている。
チモプトール XE 点眼液0.25%のジェネリック最安はキョーリンメディオの36.3円。
2番目に安いのが日本調剤が製造しているJGで137.8円なのでダントツに安い。