【Ⅱ型糖尿病】ツイミーグとメトグルコの違い

ツイミーグとメトグルコの比較

2022年時点で一番重要な糖尿病治療薬は何か?と問われたら自分はメトホルミンと答える。

 

メトホルミン開発のきっかけ、それはガレガソウ(フレンチライラック)という草に糖尿症状を改善するという民間伝承を聞きつけた製薬会社が有効成分グアニジンを抽出したのが始まり。そのままでは服用できないので化学修飾して完成させたのがメトホルミンを始めとしたビグアナイド系薬。

 

メトホルミン(商品名メルビン錠)は日本では1961年に承認された(現在は発売していない)

毎年新しい薬が発売されるこの業界では仙人的なキャラ。しかし数多あるⅡ型糖尿病治療薬の中で消費量は今でもトップクラス。

 

半世紀以上臨床で使われている故の豊富なエビデンス、そして安い薬価。コストパフォーマンスを考えたらメトホルミンに敵う糖尿病治療薬は無い。

欧米ではダントツでⅡ型糖尿病の第一選択薬。新規の糖尿病治療薬の臨床試験を行うときはメトホルミンが基礎薬として使われている。まさに糖尿病治療薬のデファクトスタンダード。

 

そんなメトホルミンに対抗するべく登場したのが2021年に登場したツイミーグ(一般名:イメグリミン)。

 

薬理作用の違い

ツイミーグの薬理作用

 

ツイミーグとメトグルコ錠が共通する作用機序は以下の2つ

①糖新生の抑制:肝臓に備えられているグリコーゲンを血液中に放出するのを抑える

②インスリン抵抗性改善:筋肉や脂肪組織で糖を組織に取り込みやすくして血中の糖を減らす。

 

そしてツイミーグだけにある作用機序として膵臓に対する作用がある。

1つ目はNAMPT遺伝子の発現上昇作用による細胞内NAD+増加(ミトコンドリア機能改善)→ランゲルハンス島細胞内ATP、Ca2+増加→グルコース濃度依存的なインスリン分泌↑

2つ目はミトコンドリア呼吸鎖複合体Ⅰ競合阻害による活性酸素低下作用→β細胞保護作用

 

グルコース濃度依存的なインスリン分泌はメトホルミンが持っていない作用機序。その名の通りに糖が高くないとインスリンを分泌促進しないので低血糖が起こりにくい。

 

副作用面の薬理作用も注目するとメトホルミンはミトコンドリア内のグリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(mGPDH)を抑制してしまうことであの有名な乳酸アシドーシスを起こす。

ツイミーグにはmGPDH抑制作用がないため乳酸アシドーシスが起こりにくいというメリットがある。

 

臨床試験の比較

ツイミーグの臨床試験

両方の試験ともに単剤の試験を行っていて症例数も同じ106だったので合わせてみた。直接比較試験ではないので参考までに。

 

ツイミーグは他の糖尿病治療薬との併用試験結果を見てもHbA1cを1以上は下げられていない。メトホルミンは1日1500mgでHbA1cを1以上下げる力がある。もし上限量の2250mgを使えばさらに下がる可能性が高い。

なので臨床試験をザックリ比べるとメトホルミンの方がツイミーグよりもHbA1cを下げる力がある。ツイミーグは単剤ならDPP4阻害薬に似たソフトな印象。

 

ツイミーグとメトホルミンの併用

健康成人男性15例に本剤1回1500 mg注)とメトホルミン1回850mgを1日2回6日間併用投与したとき、メトホルミンのAUCτ及びCmaxは単独投与時の0.86倍及び0.90倍であった。(外国人データ)

 

ツイミーグとメトホルミンを一緒に使うとどうなるのか?という興味深いデータがインタビューフォームに載っていた。効果や副作用がどうとかは載っておらず動態の結果だけなのでこれだけでは何とも言いようがない。

 

併用禁忌や併用注意ではないのだから服用可能かもしれない。しかし同じ様な作用機序の薬を重ねるのはメリットよりデメリットが大きい気がするがツイミーグとメトホルミンは半分同じ作用機序で半分は違うからどうなんだろうか?

BG剤の併用なら乳酸アシドーシスのリスクが上昇しそうで怖いがツイミーグは乳酸アシドーシスを起こしにくいというなら大丈夫なのかも。

 

構造式の違い

ツイミーグの構造式

パッと見て違う雰囲気だがメトホルミンにエタンを足してみると環状構造のTetrahydrotriazineとなりイメグリミンに早変わり。

 

ちなみに日本では大日本住友製薬が臨床試験を行い承認を得たが世界で最初にイメグリミンを合成したのはメルクセローノというスイスの製薬会社。

そしてイメグリミンの権利をフランスのPoxelSA社へライセンスアウトしたりしているので大日本住友が欧米でイメグリミンを売ろうとしても権利が無い。

 

 

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利休

もしツイミーグがメトホルミンに代わるⅡ型糖尿病の第一選択薬になれるんなら大日本住友製薬は爆益じゃと思ったんじゃが海外での権利は持ってないんじゃのう。

 

そもそも論としてメトホルミンも大日本住友製薬が創製したわけではないですから。海外からの導入品です。

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織部

 

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利休

どっちにしてもツイミーグは新薬なのに薬価が1錠34円と渋く設定されておるから爆益は無理じゃのう。

 

メトグルコ錠500mgが13円なのでそこと比べたらかなり売上アップです。

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織部

 

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利休

それにしても今回ツイミーグの記事を書くためにメトホルミンを調べたんじゃが調べたら調べるほどこの薬は凄いのう。攻守のバランスが絶妙というか。

 

最近になってメトホルミンには新しい作用機序が発見されたりとまだそのポテンシャルを全ては引き出せていない気がします。

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織部

 

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利休

新しくライバルとして登場したツイミーグとの比較でまたメトホルミンの有用さが再認識されるかもしれんのう。

 

 

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