先生は落ちこぼれも優秀すぎる生徒も嫌う

 

丿貫が通っていた中学校は田舎のどこにでもある平凡な公立中学。

 

その地域に住んでいる生徒が通っている中学校なので進学先は学区内の公立高校を想定している生徒がほとんど。超難関高校を目指して他県の私立高校受験する人はレアキャラ。滅多にいない。

 

そんな環境なので模試の偏差値よりも内申点の方が重みがある。

 

なので先生はことあるごとに

 

 

内申に響くぞ

 

 

と脅しをかける。

 

 

 

最初から内申点など眼中に無い無敵の人である丿貫には無効な呪文だが他の生徒たちには効果がある。郊外活動や部活動などにも内心のために率先して取り組んでいる。

 

ちなみに中学時代の丿貫は内申点云々の前にまず週5日学校に通うことの方が少ないというクラスでも埒外の存在。学校に行く日も昼休みのタイミングで行ったりの神出鬼没キャラ。

 

珍しく1限目から出席していたら先生から褒められるレベル。最初から基準を低くしておくと楽に学校生活を送れるのでおススメ。

 

 

 

 

 

そんな丿貫のクラスに飛び抜けて優秀な生徒がいた。

 

その名はデキル夫

 

数学と理科は毎回ほぼ満点で他の科目も9割以上取っている。どう考えても地域一番の高校に余裕で合格する。しかしデキル夫の目指す所はその遥か上だったと受験が終わった後にみんな気がつく。

 

 

 

 

ある日の授業で数学の定期試験が返却された。

 

先生が問題の解説をしている。その解説が終わり「採点間違いなどがあった人は来るように」と先生が言った途端デキル夫は先生のもとに向かった。

 

先生のもとに向かうということは数学が満点でなかったということだ、 デキル夫にしては珍しい。丿貫的にはデキル夫が間違えたんではなく先生の採点が間違っているのではと思っていた。

 

採点間違いであればすぐに解決するはずだがしばらくしても先生とデキル夫はずっと話し合っている。

 

数学が苦手な丿貫には話の内容がチンプンカンプンだったが二人の会話を聞いていると最終的な答えは合っていると。減点理由はその途中の式。

 

どうやらデキル夫は塾で前もって勉強していた定理を利用して答えを導き出したらしい。

 

普段穏やかなデキル夫が、なかなかの勢いで先生と口論している。先生と口論しているデキル夫はそれまで見たことない。

 

デキル夫は自分が使った定理の証明を黒板に書き先生に説明を始めた。自分は絶対に間違っていないという気迫を感じる。

 

一つ一つこうだからこうなって、更にこうなるからこれになる順序立てて説明している。

そして先生はそれをフムフムと聞きながらデキル夫の説明が終わった後にこう言った。

 

 

 

その解き方は授業でまだ教えてないから使ってはだめだ

 

 

 

いつも予習しろと口うるさく言っている先生が前もって勉強して得た知識を否定している。

 

丿貫は数学が苦手だが嫌いではない。数学は不変的だと思えるから

 

三平方の定理は2500年前のギリシャでも現代の日本でも変わりない。歴史や言語、法制度はその国の扱い方や時代によっては意味を変える場合があるが数学は歪みが無い。どんな独裁国家であろうと三平方の定理が間違っていると歪ませることはできない。

 

 

だがこの学校は歪んでいる。

 

丿貫はこの時思った。

 

要するにこの学校の定期試験は学問ではなく先生に対するアピールの場でしかない。先生から教わったお陰でこれだけ理解できましたと。先生がまだ教えていないのにスラスラ問題を解ける生徒が居たら先生の存在価値が揺らぐ。

 

先生は出来の悪い生徒や落ちこぼれが嫌いだが同じ位に優秀すぎる生徒も嫌いなのだと

 

 

 

 

実は密かに丿貫はデキル夫を尊敬していた。丿貫はデキル夫に数学を教えてもらったことがある。

 

デキル夫はガリ勉タイプではなく純粋に解らない事をできるようになりたい、難しい問題に挑戦したい。上を目指したいという気概に溢れていた。

 

パズルの様な数学の証明問題が全く分からずに途方に暮れていた丿貫に大してデキル夫は真っ白の紙と鉛筆だけで丿貫にその問題を理解させてくれた。 定理を暗記するのではなく一つ一つこうだからこうなる、こうなったからこうなると教えてくれた。

 

あの頃の丿貫は勉強というものに全く興味が無かったがそのデキル夫の教え方は面白く理にかなっていて考え方がスーッと脳みそに染み込んだ。

 

デキル夫のノートを見たことがあるが解けなかった問題や模擬試験で間違えた問題をファイリングしてなぜ間違えたのか、ここがおかしかったから正しくはこうなると全て論理立てて書いていた。

 

勉強は全く門外漢の丿貫にすら努力の跡が伝わってくるノート。

 

そんなデキル夫の努力を全否定する先生

 

 

 

まだその定理は教えていないから使ったらダメと先生に言われてしまったデキル夫はもう何も言うことはないという感じでそのまま自分の席に戻った。

 

そらそうだ。このゴッコ遊びの様な試験にこれ以上付き合うのは無意味過ぎる。

 

デキル夫は内申点や公立高校など最初から見ていないのだから・・・

 

 

 

 

そして月日は流れ高校受験の合格発表

 

 

 

 

デキル夫は日本で一番偏差値が高い学校に合格した

 

 

 

こんな平凡な公立中学ではもちろん初の合格者。学区内の少しでもランクの高い公立高校に行くために内申点をうんたらかんたら言ってる先生達からしたらデキル夫は埒外の存在。先生たちは大喜び。しかしデキル夫はもう先を見据えていた。

 

受験が終わったから高校入学まで何して過ごすのかデキル夫に聞いたら既に高校からの課題があると

 

合格者には内部生との学習進度を合わせるための課題が与えられ春休み期間に高1数学の全範囲を一通り終わらせておかなくてはならないとデキル夫が言っていた。

 

だがデキル夫はそんな課題が無くとも自分で決めた目標に向かって進んでいける人間。

 

中学時代の記憶はかなり曖昧になってきているがデキル夫の事はとても印象に残っている。

 

 

 

 

中学の卒業式が終わって家路に付こうかという時

 

担任の先生が丿貫の所に来て

 

高校だけは卒業した方がいい。中退は人生厳しいから絶対卒業しろ、辞めるな、絶対辞めるなよ

 

と餞別代りに最後に真剣な面持ちで熱いアドバイスをくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな担任のダチョウ倶楽部的なネタフリに応じないわけにはいかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一か月で中退した

 

 

 

 

 

 

2 comments on 先生は落ちこぼれも優秀すぎる生徒も嫌う

  1. 丿貫さんは学校ならびに集団生活が本当に合わないタイプなんですね。しかし、保証しますが、丿貫さんはそこら辺の落ちこぼれ薬学部生より遥かに薬への情熱も知識も上回っていると思いますよ。

    まあ私に保証された所で何なんだ、そもそもお前は誰だよって話かもしれませんが、正直、過半数とまでは言いませんが、多くの学生は丿貫さんが中学生の時に感じられたノリのまま、ただ肩書きを得るためだけに何も考えずに大学に通って漫然と卒業する、みたいなことがほとんどです。

    そもそも優秀な人というのはそんなに多くない(少数だからこそ、他と比して優秀ともいえますしね)からそれが当たり前なのかもしれませんが、本当に、大学なんてそんなもんです。

    興味あるものにとことんこだわり打ち込めるタイプの丿貫さんの方が、平均未満のただ卒業しただけの学生よりもよっぽど有能であるということは、まとめられている記事が如実に物語っています。

    どうか自分を卑下したり、無意味なコンプレックス抱えたりはされずにおられることを願わんばかりです。

    …と、何か偉そうに書きましたけど、高校中退したとおっしゃられただけで、大学に通ったことがないとは別におっしゃられていませんし、そもそも別に言うほど卑下もされていない感じかもしれないので(間違いなく謙虚ではありますが、卑下というまででもないかも)、まさに余計なお世話の極みだったかもしれません。

    ちなみに、かく偉そうに語ってる私自身、書類上の肩書きは一応立派ですが、ただの凡人、カスみたいなもんです。

    人間、経歴やタイトルなどで一見凄そうに見えても、実際中身は大してみんな変わらない、所詮30億塩基対が作り出す数十kgのタンパク質の塊に過ぎず、100年経ったら平等に灰になるだけの存在ですよ……みたいなことを言いたかった感じでした。

    唐突に無意味な長文、大変失礼しました。

  2. コンプレックス(学歴とか)はそれなりに努力した人が持っていいものだと思うので自分には過ぎた代物です。将棋のルールすら知らないオッサンが藤井聡太君にコンプレックス持つわけないので。

    学歴は無いよりあった方が良いですが仮に自分に学歴があってもその長所を活用できないと思います。

    もし東大卒だったとしても入社してすぐに「東大なのに仕事できないね」と言われるのが目に見えていますw

    学歴や資格は活用すると上手くいく道具の一つだと思うので無ければ無いなりに違う道具や方法で工夫していくしかないですね。

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