順位 | 製薬会社 | 売上高 |
1位 | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 82,059 |
2位 | ロシュ | 61,466 |
3位 | ファイザー | 51,750 |
4位 | ノバルティス | 48,624 |
5位 | メルク | 46,840 |
6位 | グラクソ・スミスクライン | 42,192 |
7位 | サノフィ | 42,160 |
8位 | アッヴィ | 33,266 |
9位 | 武田薬品工業 | 29,384 |
10位 | ブリストル・マイヤーズスクイブ | 26,145 |
通貨単位:100万ドル
1ドル=108円、1ユーロ=121円、1スイスフラン=108円、1英ポンド=135円
この会社は部門が医療用医薬品、医療機器、一般消費者向けと3つに分かれており製薬会社としての売上だけなら400億ドル。
しかしバンドエイドやリステリンでお馴染みの一般消費者向け事業などはこの会社の不可分領域なので売上に合算した。
バンドエイドだけでなく抗精神病薬リスパダールやADHD治療薬コンサータなどの精神領域、ダラザレックスやザイティガといった抗がん剤、そして新型コロナウイルスのワクチンを開発したいたりと幅広いヘルスケアポートフォリオ。
半世紀以上に渡り増配しているがそれでもまだまだ増配余力を残している世界最大の製薬会社。
2019年に一番売れた商品は乾癬ならびにクローン病治療薬ステラーラ(6,869億円)
日本で一番時価総額が高い製薬会社である中外製薬(約7兆3,300億円)を子会社に従えるスイスの製薬会社ロシュ。
米国のジェネンテックと日本の中外製薬を買収した後も経営の独立性を維持して革新的な薬をそれぞれ開発させている。
ジェネンテックはロシュの売上TOP3であるリツキサン、アバスチン、ハーセプチンを創成した中核会社。
新型コロナウイルスにも効果があるかもと期待されているアクテムラを開発したのは中外製薬。
医療機器部門ロシュ・ダイアグノスティックスも新型コロナウイルスの検査キットを開発したりとこのコロナ騒動でも全く経営に揺らぎは無い。
2019年に一番売れた商品は抗がん剤アバスチン(7,638億円)
日本の武田薬品工業と同じく買収によって成長してきたファイザー。
しかしここにきてファイザーは売上ではなく利益重視へ方針転換しており高脂血症治療薬リピトールや高血圧治療薬ノルバスクといった特許切れの薬を分離。
その分離した医薬品をジェネリック医薬品大手マイランとの合弁会社へ移行させる予定。
これからは乳がん治療薬イブランスなど高収益が見込める抗がん剤分野に集中的に投資していく。
2019年に一番売れた商品は肺炎球菌ワクチンのプレベナー13(5,357億円)
慢性骨髄性白血病の特効薬グリベックを開発したノバルティス。
グリベックは特許が切れているがその進化系タシグナは2019年に売上2000億円まで成長。加齢黄斑変性症治療薬ルセンティスの進化系ベオビュも承認された。
ファイザーの様にノバルティスも特許切れ医薬品を販売移管しておりDPP4阻害薬エクアや抗てんかん薬テグレトールは既に日本でも他社から発売となっている。
OTC医薬品のボルタレン製品群も英グラクソ・スミスクラインに移管している。
同国のライバル会社ロシュの様に売上が5000億円を超える薬は無いが乾癬、抗がん剤、加齢黄斑変性症といった利幅が大きい難病分野で良い薬を持っている。
2019年に一番売れた商品は乾癬治療薬コセンティクス(3835億円)
世界にメルクという製薬会社は2つあるが米国の方。
これまでの10年を支えていた糖尿病治療薬ジャヌビアが米国で2022年に特許切れとなる(日本では2025年)。
日本には無いが米国ではジャヌビアとメトホルミンの合剤ジャヌメットもありシタグリプチン製品群は最盛期だと年間6,000億円を売り上げていたのでメルクにとっては痛手となる。
しかしそんなジャヌビア特許切れを補って余りある薬が免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダ。
非小細胞肺ガン治療など患者さんの人数が見込める分野においてオプジーボよりも優れた成績を残しており免疫チェックポイント阻害薬の中で現時点で最も売れている。
2019年に一番売れた商品はその免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(1兆1,970億円)
昔から呼吸器分野に強くフルタイドやアドエアで喘息治療業界をリードしていた。
特に喘息治療薬アドエアはフルタイドとセレベントの自社製品の合剤であり最盛期は年間売上6000億円。
しかしそんなアドエアも特許切れとなり2020年の売上は半分以下の2,300億円と急減。
1日2回のアドエアの後継として1日1回レルベアを発売しているが年間1300億円程度の売上でここ3年は推移しているのでアドエアの後を補うことはできない。
ブレーキが掛かっている呼吸器分野を補っているのが抗HIV治療薬分野。
日本の塩野義製薬とのHIV治療専門の会社VIIVを介してテビケイやトリーメクを販売しており業績も安定している。HIV治療は一生服用しなければならないので売り上げも計算しやすい。
2019年に一番売れた商品は抗HIV薬トリーメク(3,441億円)
1920年代にカナダで発見されたインスリン。その直後からインスリンの開発・製造を行っていたヘキストの流れを汲むサノフィ。
そんなサノフィの最重要製品は基礎インスリン製剤ランタス。しかしランタスは既に特許が切れておりライバル企業イーライリリーからバイオシミラーが発売され年々売り上げは下降気味。
ランタスは最盛期7000億円以上売れていたが2019年には半減。濃度を3倍にしたXRと合算しても売り上げの減少を食い止められていない。
そんなランタスの売上減を補うのがアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセント。
これまでの治療薬とは作用機序が全く異なるインターロイキン阻害薬でありファーストインクラス。発売してから3年で年間売上が2500億円に到達した。
それでも2019年に一番売れた商品はランタス(3,644億円)
世界で一番売れている薬ヒュミラを擁するアッヴィ。
元々はアボットラボラトリーズという名門企業だったがヒュミラの価値を高めるために分社したのがアッヴィ。
なのでヒュミラが特許切れになってしまうと会社が大きく傾いてしまう。
2019年の売上はヒュミラが2兆円、2番目に売れている薬が抗がん剤イムブルビカで5,000億円と大きな差がある。
乾癬治療薬のスキリージや抗リウマチ薬リンヴォックなど新薬も出てきたがヒュミラの売上が余りにも大きすぎるので霞んでしまう。
2019年に一番売れた商品はもちろん抗リウマチ薬ヒュミラ(2兆702億円)
2019年にアイルランドの製薬会社シャイアーを買収してした武田。
売り上げ規模はシャイアーのおかげで年間3兆円を超えて世界でも念願のTOP10入り。
しかしシャイアーの製品は海外だと特許切れ間近の薬が多い。日本では新薬のADHD治療薬ビバンセも海外ではあと数年で特許切れ。
他の薬も小粒な印象を受けるので買収金額7兆円に見合う価値があるのかは不透明。これまでも武田は買収によって新薬を手に入れていたわけだが過去の買収を振り返ると微妙なディールもある。
スイスのナイコメッドを96億ユーロで買収したり・・・
現在の稼ぎ頭である潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬エンタイビオを開発していたミレニアムファーマ買収は89億ドルと高額だったが合格点
2019年に一番売れた商品はそのエンタイビオ
小野薬品工業と共同で免疫チェックポイント阻害薬オプジーボを開発。米国ではBMSが販売しており売上は年間7,780億円と圧倒的。
しかし更に売れている薬が抗凝固薬のエリキュースで年間売上は8,563億円。
ここに8兆円で買収したセルジーンの製品が加わる。特に抗がん剤のレブラミドは特許切れが近いとはいえ年間1兆円の売上が見込まれる。
2019年に一番売れた商品はエリキュース(BMSとしては)
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