ついに史上初、マイナス価格となってしまった原油先物。
原油を採掘するにはお金が掛かる。
原油を得ようと思ったらまずは油田を調査。
そして発見しても地下深くにあるなら深く穴を掘り、取り出さなければならない。莫大な事業資金が掛かる。
そんな苦労とコストをかけて手に入れた原油
その原油価格がマイナス
つまり引き取ってもらう人に逆にお金を支払う。
ガソリンスタンドで例えると
必死こいて作った商品を売るのに逆にお金を払う。
買い手はガソリンを使えば使うだけ儲かる。
資本主義経済で発生した矛盾。
北斗の拳の世紀末世界をバギーで走り回っている拳王親衛隊は走るだけでお金が貰える。
働いたら負けかな?
*実際にガソリンがマイナス価格になることはありません。
近年、技術革新によるシェールオイル革命で石油メジャー以外の中規模企業でも原油が採掘可能となった。このおかげで米国は原油輸入国から輸出国へなった。
それまでは中東が主な原油の産地だったのに世界中で原油が取れるようになり安い原油が市場にあふれ出した。
そこにコロナショックが発生。
それまで辛うじて需要と供給のバランスが取れていたところにコロナショック。
経済活動が停止してしまったのでそのエネルギー源である原油は必要なくなった。
原油を人間で例えたらエネルギー源のぶどう糖。
1日中部屋で何もしていないニートがエネルギー源のぶどう糖をたくさん摂取したら病気になる。
原油世界は現在深刻な病気
OPECとその石油生産同盟国は、 5月1日から1日あたり970万バレルを減産するという歴史的合意を今月初めに締結した。
しかし国際エネルギー機関は、4月の需要が1年前よりも1日あたり2900万バレル少なくなるとしており
減産<<<<<<需要減
なのでドンドン原油が余っていき保管場所にも苦労。保管場所がやっと見つかっても足元を見られて高い保管料を請求される。
世界中で原油を貯めておくタンクが不足している。
原油を元にガソリンや化学製品など様々な製品が作られるが実需の大きい飛行機のジェット燃料が特に大きく値崩れしている。
ジェット燃料の世界的な需要は第2四半期に前年比47%減少と半減が予想されている。
4月15日の時点で、米国の航空会社は2700機以上の航空機をスタンバイ状態にしておりその数は全ての4割にもなる。
この状態があと数か月も続けば航空会社そのものが破綻して更に長期に原油の実需が減る。
リーマンショック時は原油価格が逆に高かったので航空会社の経営を圧迫した。その時に燃費の良い飛行機が欲しいという航空会社からの需要が発生してコスパの良いボーイングの飛行機が売れた。
しかしこれだけ原油が安くなるとそのコスパが良い飛行機の需要も落ち込む。
ボーイングの経営も危うい。
実はマイナス価格になったのは原油先物5月期限だけ。
原油先物6月期限はバレルあたり21ドルとちゃんとプラスの値段が付いている。
5月もの:マイナス37ドル
6月もの:プラス21ドル
通常であれば一ヵ月モノと二か月モノの差は小さいのにここまで大きなスプレッドになってしまったのはなぜなのか?
実は原油を取引している人は2種類いる。
実業:航空会社で燃料に使う予定など原油が物理的に必要な人
トレーダー:値動きだけに着目して儲けようとするトレーダー
実業の人は安くなった原油を買って使う予定があるので別に困らない。困るのはトレーダー。
部屋のパソコンで原油先物をトレーディングしているだけのトレーダーは実際に原油は欲しくない。
自分の家に原油が来ても使い道が無い。
なので期限が来る前に原油買いポジションを解消(売る)するしかない。
損だと分かっていても売らないといけない人たちが沢山いたので5月物は大きな売り圧が発生。
史上初のマイナス価格となった。
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