phaseⅠの新薬候補がFDAに承認される確率からバイオ株投資のアプローチを考える

医薬品開発の成功率
[Clinical Development Success Rates 2006-2015 – BIO, Biomedtracker, Amplion 2016]

 

 

医薬品の臨床試験は大きく分けて3段階ある。

最終的にFDAに医薬品として認められるにはその全てのハードルを突破しなければならない。

 

 

phaseⅠは安全性

phaseⅡは有効性

phaseⅢは最終試験

 

 

phaseⅢの最終試験は医学部で言うところの卒業試験。

6年間の成果を確認するために全ての範囲から出題される。

医学部を卒業しないと医師国家試験の受験資格が得られないのでみんな受ける。

 

その試験でまぁ大丈夫だろう(国家試験にも受かるだろ)という成績を取ると無事に医学部を卒業(phaseⅢ合格)

 

そして日本の厚生労働省に当たるFDAから最終的な審査を受ける(医師国家試験に該当)。

 

だが卒業試験(phaseⅢ)に合格してるんだから国家試験は受かるだろうと思っていたら1割強は不合格という厳しい世界が医薬品の開発

 

医師の場合は内科でも外科でも皮膚科でも眼科でも同じ試験だが医薬品の開発は科によって難易度が大きく異なる。

 

 

phaseⅠの医薬品が最終承認される確率
分野 合格率
血液学 26.1%
感染症 19.1%
眼科 17.1%
その他 16.3%
代謝 15.3%
胃腸 15.1%
アレルギー 14.7%
内分泌 13.2%
呼吸器 12.8%
自己免疫 11.4%
平均 9.6%
神経学 8.4%
心血管 6.6%
精神 6.2%
悪性腫瘍 5.1%

 

phaseⅠ段階の医薬品候補が最終的に薬と承認される確率は平均で

 

9.6%

 

 

承認されないとそれまで開発にかけた資金、時間、労力が無に帰する

数百億円かけた新薬候補が無価値な物体に

 

0か100かの世界

 

抗ガン剤、抗生物質、降圧剤、緑内障など全ての領域の新薬候補の合格率を平均すると9.6%

新薬候補が10個あっても1個もアタリが入っていない可能性・・・

 

しかも分野によって開発の難易度はかなり異なっており最も開発が難しい分野の抗がん剤だとその難易度はなんと・・・

 

5.1%

 

つまり抗ガン剤の新薬候補20個があればうちアタリは一つだけ

 

 

ファイザーやノバルティスの様な世界的大手製薬会社であれば新薬候補が失敗しても経営には響かない。がバイオベンチャーの場合は臨床試験の失敗は会社にとって命取り。

 

新薬候補が抗ガン剤しかないバイオベンチャー株を買うということはもはや投資ではなく投機。

 

on2

 

 


特に難しい抗ガン剤の開発


成功確率 [抗ガン剤 VS 非抗ガン剤]
抗ガン剤の成功率

 

抗ガン剤におけるphaseⅠ試験は他の分野と同じ成功確率。

だがphaseⅡでは一割差が付いている。

phaseⅢだと二割以上も難易度が異なる。

 

抗ガン剤のphaseⅢ成功確率[部位別]
抗ガン剤の成功率(分野別)

 

白血病や多発性骨髄腫といった非固形癌は成功確率が高い。

 

それに対して固形癌は難易度が高く最難関の一つ膵臓癌に至っては15%も無い。

phaseⅢまで進む事ができたエリートですらだいたい撃沈

膵臓癌対象のphaseⅠ抗がん剤が承認される確率は3%に満たない。

 

ではバイオ株投資は諦めるべきなのか?

 

 

 


爆発力と期待値


 

バイオ株投資には株式投資によくある株価収益率や資産倍率は全く意味を持たない。

なぜなら売上や収益は基本的にゼロ

 

意味があるのは2つだけ

 

  • 成功確率
  • 爆発力

 

その2つを掛けたものが会社の時価総額となる。

 

成功確率は上記の通り

 

爆発力というのはもし承認されたとして実際にどの程度売り上げがあるのか。

これを予想しなければならない。

 

この予想も難しい。

 

例えば統合失調症の基準薬は世界的にヤンセンのリスペリドン

 

だがリスペリドンには副作用がある

なので最近その副作用が少ない新薬ルマテペロン(製薬会社イントラセルター)が承認された。

既にFDAから承認されたルマテペロンを評価するのは実際の売上に由来する。

 

 

ルマテペロンはリスペリドンに対して効果は非劣勢でEPSは少ないと臨床試験で示されている。

 

リスペリドン製品群(コンスタや代謝物インヴェガ)は年4000億円近い売上があるのでルマテペロンがそ代わるのであれば製薬会社イントラセルターの現在の時価総額1800億円は安すぎる。

 

自分の目論見では少なくとも年間1000億円は売れそうだが市場はそこまで売れないと予想していて乖離がある。

イントラセルターの株価

 

こうしてみると承認される前であっても期待値(会社の時価総額)が自分の想定上限まで株価が上がれば離隔するべきかもしれない。

 

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