ロイヤリティ・ファーマ:2020年最大のIPOが成功し時価総額は300億ドルに

 

製薬会社は自社で薬を発見して開発、そして承認されたら販売して利益を得る。それがオーソドックスな製薬会社。

 

今回新規株式公開したロイヤリティ・ファーマはそういった垂直統合な製薬会社ではない。

 

新しい薬を開発するためには巨額の資金と長い時間が掛かる。

そしてそれだけの投資をしても承認される可能性は少ない。製薬会社は景気に影響されない安定株なイメージだが実はリスクが高い。

 

そんなリスクと対極にあるのがこのロイヤリティ・ファーマ。

 

 

ロイヤリティ・ファーマの概要

投資銀行ラザード出身のPablo Legorretaが1996年に創設。

25年間ひたすら製薬の特許やテクノロジーへ投資した結果、新規株式公開後のロイヤリティ・ファーマは時価総額が3兆円、パブロの自己資産は2000億円以上に膨らみ一気に大金持ちへ。

 

ではロイヤリティ・ファーマがどうやって時価総額3兆円まで成長したのかというとそれは最先端テクノロジーへの投資。

 

新薬の研究や開発は製薬会社だけが行っているのではなく世界中の大学や研究機関で行われている。

 

日本でも京都大学が免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ、大阪大学が抗リウマチ薬アクテムラと画期的な新薬の開発に大学の研究が重要な役割を果たしている。

 

製薬会社は最終的に商業化しなければならないとい縛りがある。

しかし大学などは純粋な学術的な興味で研究開発が行われるので巨額の開発費用を使っている大手の製薬会社が発見できないニューテクノロジーを発見できる事がある。

 

直接新薬を見つけなくても新薬を見つけるための研究だったり優れた開発プラットフォームだったりは大学が得意。

 

過去10年間に米国またはヨーロッパで承認された医薬品の約4分の3は、米国の学術およびバイオテクノロジー研究施設が関わっている。

 

しかし大学などは営利団体ではないので新しい薬の技術や特許があってもそれをお金にすることが苦手。

 

そんな大学が持つ特許や技術(ロイヤリティ)を買い取り商業化できる資本を持つ製薬会社に販売するのが今回IPOしたロイヤリティ・ファーマ

 

 

研究機関で有望な薬候補やテクノロジープラットフォームが開発されるとその権利を一部買い取り製薬会社へ売り込む。

 

売り込んだ薬が実際に売り物になるとその売り上げの数%を受け取るニッチなビジネス。

派手さは無いが特許や技術に投資した分しかリスクが無いので倒産するリスクが無い。自社で開発を行っているわけでもないので数千億円のR&D費用も無い。

 

投資先への目利きがかなり大切になるがこれまでの実績を振り返るとアメリカンドリーム的な成功薬へ投資している。

 

これまでロイヤリティ・ファーマが関わった有名な薬を挙げると

 

承認年 対象
1998 サリドマイド ハンセン病
2006 ヒュミラ リウマチ
2007 リリカ 神経性疼痛
2009 ヴォリブリス 肺動脈高血圧
2011 ジャヌビア 糖尿病
2012 シムジア 慢性関節リウマチ
2013 イムブルビカ 血液ガン
2014 カリデコ 嚢胞性線維症
2016 イブランス 乳がん
2017 タイサブリ 多発性硬化症
2019 プロマクタ ITP
2020 エンティビオ 潰瘍性大腸炎

 

催奇形性が問題となったサリドマイドも一部のガンやハンセン病に使う事ができる。それまでは米国でも適応外だったが正式にハンセン病に対して使用できるように。

 

2006年に承認された抗リウマチ薬ヒュミラ

全世界で2兆円という世界記録を出した大ヒット薬。

 

神経疼痛薬リリカや糖尿病治療薬ジャヌビアもピーク時売上は年間数千億円レベル。

 

アッヴィが買収したファーマサイクリックスが開発していた抗がん剤イムブルビカにもロイヤリティ・ファーマが関わっている。

 

2019年に一番ロイヤリティが入ってきたのは嚢胞性繊維症の薬KalydecoやTrikafta。

この2つは現時点でライバル薬が無いので今後数年は飛躍的に売上が伸びるはずなのでそのロイヤリティも鉄板。

 

 

財務分析

純利益が前年比で一気に10億ドル増加した2019年決算。

嚢胞性繊維症の薬2つが大きな伸びで2019年に受け取ったロイヤリティは4億ドル以上。

それまでドル箱だったヒュミラの年間ロイヤリティが最高5億ドルだったので嚢胞性繊維症の薬はそれを上回る予定。

 

リリカやジャヌビアといった薬は既に特許が切れておりこれから収益の柱とはなりえないがそれを補えるだけのパイプラインがある。

 

2019年の純利益は23億ドルで時価総額が300億ドルだと株価収益率は13倍。現時点での株価収益率という尺度だとファイザーとほぼ同じ。

 

売上や利益が伸び悩んでいるファイザーに対してこれからも純利益が順調に伸びていくのならロイヤリティ・ファーマに投資した方が良いのかもしれない。

 

 

ロイヤリティ・ファーマのまとめ

  • 1996年に創設者兼最高経営責任者であるPablo Legorretaが設立
  • 1996年から180億ドルを投資
  • 投資した22個の薬が2019年売上高で10億ドル以上
  • 1株28ドルで7770万株を売り22億ドルを調達
  • 株式は初日44.50ドルで終了
  • 四半期配当は1株あたり15セント

 

 

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