Leap Therapeuticsはアメリカ合衆国マサチューセッツ州に本社を置くバイオテクノロジー企業。
一番開発が進んでいる薬でもまだphaseⅡ
開発している薬は抗がん剤
時価総額は日本円で約50億円と超小型バイオベンチャー
DKN-01はDickkopf-1を標的にしているヒト化モノクローナル抗体
DKK1はCKAP4受容体と結合することにより、癌増殖の主要径路であるPI3KとAKTを活性化して癌細胞の増殖を亢進する。
DKK1とその受容体CKAP4は膵癌や肺癌、食道癌において高頻度に発現しておりその2つとも検出された場合の検出されない場合と比べて5年生存率は有意に低い。
DKK1はそれ以外でも
・サプレッサーT細胞という免疫反応を抑制する細胞を増強
・ナチュラルキラー細胞を抑制
という腫瘍増強作用がある。
そのDKK1を邪魔したら抗がん作用があるのではという発想で開発されているのがDKN-01
ではDKK1は単純に悪者なのか?
実はDKK-1の作用する場所はCKAP4受容体や免疫細胞だけではない。
むしろCKAP受容体が発見されたのは最近でそれまではWntシグナル径路の登場人物として有名。
左側のWnt経路においてDKK1は細胞増殖にWntシグナル径路が暴走しないようにブレーキ的に働いている。
Wntシグナル伝達経路は臓器の発生や細胞の増殖を調整するが一部の癌細胞ではWntシグナル径路下流であるβカテニンが高頻度に検出されている。
つまり抗DKK-1だとWntシグナル伝達経路という細胞増殖のモジュレータに影響を与える事になる。
なのでWntシグナル伝達経路に及ぼす影響でどのような副作用が出てくるか分からない。
DKK-1とCKAP4の結合だけを邪魔するのであれば副作用も少ない。抗CKAP4モノクローナル抗体があればその方がよりセレクティブ
Wntシグナル径路を亢進すると細胞が増殖する。
なのでがん細胞も増殖しそうだが逆に抑制系に働いているという報告もある。
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現実問題
DKKを抑制=Wnt/β-カテニン経路活性化
すれば抗がん作用が見られる。
しかしWnt/β-カテニン経路を亢進していいものだろうか
Wnt/β-カテニン経路は単純な癌増殖に関わるのではなく調律者でそれをDKK1が破壊すると暴走して悪性腫瘍が発生するという可能性もあるが
Wnt経路というのは今のところ大きな3つの径路が判明しているがまだ見つかっていない事が沢山あるような気がする。
DKN-01の臨床試験
PHASE | 対象疾患 | 併用薬 |
Ⅱ | 婦人科 | パクリタキセル |
Ⅱ | 前立腺 | ドセタキセル |
Ⅰ-Ⅱ | 肝・胆道 | ソラフェニブ or ニボルマブ |
Ⅰ-Ⅱ | 胃・食道 | パクリタキセル or ペムブロリズマブ |
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