【銘柄分析】 エーザイ:認知症への挑戦

 

口内炎やニキビに効果があるチョコラを販売している製薬会社エーザイ。

 

戦前からビタミン剤の研究開発を行っておりビタミンE製剤のユベラ、チョコラは50年以上続くロングセラー。だがそれらはエーザイという会社の一部分に過ぎない。エーザイ過去最大のヒット作は認知症治療薬アリセプト。最盛期には年間3000億円を売り上げてエーザイが世界に打って出るための橋頭保を築いた。

 

認知症治療薬以外では抗ガン剤で成果を上げておりボストン研究所で合成されたハラヴェン、米メルクの免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダとの併用療法として有望なレンビマといった薬がある。

 

が、エーザイ株価的にはやはりアリセプトの次を担う認知症治療新薬に大きく作用される。

 

アデュカヌマブは効果が見込めないとして治験が中止となり株価は大きく下落した。それでもまだ認知症治療薬候補BAN2401がphaseⅢまで来ておりもし承認されたら株価は大きく吹っ飛ぶ。

 

失敗したら逆方向に・・・

 

 


概要(2018年)


企業名:エーザイ

上場取引所:東証一部

ティッカー:4523

創業年:1941年

本社所在地:東京都文京区小石川四丁目6番10号

CEO:内藤晴夫

内藤晴夫

晴雄さんは創業者である豊次さんの孫

 

 


エーザイの歴史


(創業者:内藤豊次)

 

1889年:エーザイ創業者の内藤豊次が誕生

1915年:内藤豊次が田辺元三郎商店(現:田辺三菱)に就職

1936年:桜ヶ岡研究所を設立

1938年:ビタミンE製剤ユベラを発売

1941年:日本衛材株式会社を設立

1944年:桜ヶ岡研究所と日本衛材株式会社が合併して「日本衛材株式会社」となる

1950年:強心剤ネオフィリン(一般名:アミノフィリン)を発売

1951年:ビタミンA製剤「チョコラA」を発売


夜盲症、皮膚乾燥症、小児の栄養障害に。ビタミンAは脂溶性ビタミンなので飲み過ぎると身体に悪い、特に妊娠中は注意

 

1952年:ビタミンB製剤「チョコラBB錠」を発売

ビタミンBは水溶性なので飲み過ぎても出ていくだけ、たくさん飲んでも害はないが効果も無い

 

乗物酔防止薬「トラベルミン錠」を日本で発売

乗り物酔い止めの代名詞トラベルミン

 

1953年:喘息薬アストフィリン(一般名:ジプロフィリン・ノスカピン)を発売

 

1961年:胃薬「サクロン」を発売

この年にアリセプトを開発した杉本八郎先生がエーザイに入社

 

1969年:めまい治療薬メリスロン(一般名:ベタヒスチンメシル酸塩錠)を発売

メリスロン

50年経った今でもめまい治療の第一選択薬、気休めだけど

 

1974年:代謝性強心剤ノイキノン(一般名:ユビデカレノン)を発売

コエンザイムQ10が原料

 

1977年:ユベラックス

 

1978年:ビタミンB12製剤メチコバール(一般名:メコバラミン錠)を発売

地味に売れ続けているビタミン剤、特に中国では年間200億円売れている。

 

1984年:胃潰瘍治療剤セルベックス(一般名:テプレノン)を発売


筑波研究所が創製した初の新薬

 

1985年:降圧剤デタントール(一般名:ブナゾシン塩酸塩)が発売

この薬も杉本八郎先生が開発

 

1986年:アレルギー性疾患治療薬アゼプチン(一般名:アゼラスチン塩酸塩)を発売

 

1987年:ボストン研究所を設立

ボストン研究所が創製した抗がん剤ハラヴェンは三浦半島で採取されたクロイソカイメン含有成分ハリコンドリンBから合成した一品

 

1990年:ロンドン研究所を設立

ロンドン大学の敷地内に開設

 

1991年:抗炎症剤インフリー(一般名:インドメタシンファルネシル)を発売

 

1992年:エーザイ企業理念「hhc(ヒューマン・ヘルスケア)」を制定

 

1995年:骨粗鬆症治療用ビタミンK2製剤グラケー(一般名:メナテトレノン)を発売

同じエーザイから販売されているワーファリンとは併用禁忌

 

1997年:胃酸分泌抑制剤パリエット(一般名:ラベプラゾール)を発売

特許が切れたの販売をEAファーマに移管した

 

1999年:認知症治療剤アリセプト(一般名:ドネペジル塩酸塩)を発売

口腔内崩壊錠は苦みがキツイ

 

2001年:胃薬セルベール(一般名:テプレノン・ソウジュツ・コウボク)を発売

森の木々から開発が始まったテプレノンと漢方薬を配合した自然豊かな胃薬

 

2008年:関節リウマチ治療薬ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)を発売

米アッヴィ社の商品だが日本ではエーザイと共同プロモーション

 

2012年:関節リウマチ治療薬ケアラム(一般名:イグラチモド)を発売

 

2015年:抗がん剤レンビマ(一般名:レンバチニブメシル酸)を発売

免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダとの併用共同開発が進んでいる。

 

2016年:抗てんかん薬フィコンパ(一般名:ペランパネル)を発売

AMPA型グルタミン酸受容体を遮断して脳細胞の興奮を抑える

 

 

 


財務分析


売上高
年度決算月:3月末  単位:億円

*2015年度から国際会計基準(IFRS)

売上はアリセプトと共に上昇し下降した。そしてパリエットも1000億円半ば売れていたので同時期に特許切れは痛かった。アリセプトとパリエットはエーザイの2000年代を支えた2つのエンジン。

 

 

純利益
年度決算月:3月末  単位:億円

2008年度の赤字は買収したMGIファーマをめぐる企業結合会計上の処理。営業キャッシュフローには問題無し。

 

 

自己資本利益率
エーザイのROE
年度決算月:3月末 単位:億円

アリセプトとパリエットが売れていた時期でもROEが15%弱、日本企業としては高いかもしれないが世界的な製薬会社と比べると見劣りする。

 

 

売上TOP5(2018年度)
エーザイTOP5

 

2位のヒュミラ以外はエーザイ創製の薬。

レンビマはこれから大きく伸びる見込み、それ以外の薬は現状維持なのでこれからのエーザイのメインエンジンはレンビマ。抗がん剤ハラヴェンはここ数年の売上が年400億円台なので上積みは厳しい。

 

 

アリセプトの売上
単位:億円

 

エーザイの奇跡アリセプトも特許が切れて売上は500億円を切りビタミン剤メチコバールと同規模にまで落ちた。メチコバールはなぜか中国で毎年売上が伸びているので来年度はアリセプトよりメチコバールの方が売れるはず。

 

 


認知症治療薬という夢


 

アデュカヌマブの失敗でエーザイの時価総額は3割が消えた。BN2401も失敗すると株価は更に下落間違いなし。

 

 

・癌を完治させる薬

・認知症を完治させる薬

 

 

どちらが難しいかと言えば認知症の方が難しい。

なぜなら認知症は病態そのものがまだハッキリと理解できていない。

原因がわかって初めて治療が始まる。

 

認知症患者の脳内を調べると神経伝達物質アセチルコリンが少なくなっている→アセチルコリンの分解を阻害するアリセプトが誕生し世界的な大ヒット薬となった。

しかしアリセプトで認知症が治った人は居ない。認知症の進行を少し遅めるだけの効果しかない。治せない。

 

アセチルコリン以外にもαシヌクレインなどのゴミが溜まっているとか疫学的に歯周病菌が怪しいとか様々な説が飛び交っているが最終的な結論が出ていない。

癌細胞の場合は分子レベルで解明が進んでいるので毎年それらを目標とした新薬が作られているが認知症は原因がわからないから新薬が出ない。

 

認知症が解らないというより人間の意識や記憶といった領域はまだまだ未知の部分があり未開の領域。100年後にはほとんど癌は治りそうな勢いだが認知症を完治させる薬は100年後も難しいのではないか?

 

しかし、それでも、だからこそ

 

挑戦しがいがあるし達成したときは患者さんも会社も株主にとっても大きな喜びとなる。

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