【企業分析】 アナプティスバイオ:デュピクセントという壁

 

アナプティスバイオは臨床試験段階のバイオテクノロジー企業。

 

主にアレルギー疾患を対象として薬を開発している。最大のターゲットはアトピー性皮膚炎。命に係わる病気ではないが患者数が多く完治が難しい病気。

 

まだ承認されたお薬は無し。株価上昇の原動力は新薬に対する夢と希望。

他企業と共同開発している薬もあるが完全にアナプティスバイオが権利を保有している薬は2つだけ。

 

 

 


企業データ(2017年データ)


企業名:AnaptysBio Inc

上場取引所:Nasdaq

ティッカー:ANAB

創業:2005年

CEO: Hamza Suria

従業員数:60人

本社拠点:カリフォルニア州サンディエゴ

 

セルジーンやテザーロとパートナーシップを結んでいて抗PD-1薬のライセンスも供与している。よってそこからマイルストーン収入等がたまに入ってくるがまだ商品が無いので売り上げは基本的に無い。よって開発中に薬の進捗状況が重要となる。

 

 


パイプライン(2018年11月時点)


 

 

 

コードネーム 作用点 対象疾患 開発段階
etokimab IL-33 中程度以上のアトピー性皮膚炎 PHASEⅡ
etokimab IL-33 重度の好酸球性喘息 PHASEⅡ
etokimab IL-33 鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎 PHASEⅠ
ANB019 IL-36R 膿疱性乾癬 PHASEⅠ
ANB019 IL-36R 掌蹠膿疱症 PHASEⅠ

 

 

アトピー性皮膚炎対象のアトラス試験は2019年の後半、慢性副鼻腔炎のエクリプス試験、ANAB019の掌蹠膿疱症対象のPoplar試験、膿疱性乾癬のGALLOP試験も2019年にトップラインデータ公の予定。

 

 


etokimab(ANB020)


以前のコードネームはANB020。そろそろ開発も後半ということで物質名がついた。

 

 

インターロイキン33は免疫細胞を活性化する。様々な白血球に作用し、主にTh2型のサイトカイン産生を誘導。

寄生虫への防御など人体にとって必要な免疫でもあるのだが過剰に発現してしまうと喘息・鼻炎・副鼻腔炎などのアレルギー性疾患、関節炎・糖尿病・炎症性腸疾患・SLEを発症する。さらにはアルツハイマー病や心疾患の発症にも関与が疑われている。

 

マウスへ IL-33 を投与するとIgE の産生が促進され,好酸球の増加と活性化する。エトキマブが対象の一つとしている肺では気管支上皮細胞の過形成,粘液産生の亢進,好酸球を主体とした炎症細胞浸潤を生じた。

 

 

 

これまでのアレルギー疾患治療が現在出ている症状(痒みや喘息)を抑える対処療法であるのに対してetokimabはそもそも炎症が起きないようにする根本的な作用機序である。

 

 

デュピクセントとの違い

 

最近サノフィからデュピクセントと言うアトピー性皮膚炎治療薬が発売された。

これまでステロイドや免疫抑制剤での治療が難しかった患者の症状が軽快するなどアトピー性皮膚炎治療分野で大きなブレークスルーとなった。

 

このデュピクセントがetokimabの最大のライバル。デュピクセントは将来的に40億ドルの売り上げが見込まれておりそこに食い込めればかなりの売り上げを見込める。

 

エトキマブは作用機序的にも臨床試験での結果を見てもデュピクセントに劣らずの結果を印象を受ける。

 

作用機序はデュピクセントより更に上流のIL33をブロックする

大元の炎症シグナルであるIL-33を阻害することで強力な抗炎症作用を有する。大元を止めると副作用も広範囲になってしまいそうだがその辺りは未知数。これまでのところ大きな副作用は見られていない。

 

もし開発に成功しても先行者利益がデュピクセントにはあるから打ち勝つためには一段上の効果が欲しい。

 

 

 

これまでの少人数対象試験だと

 

etokimabで治療された12人の患者のすべてが、単回投与後57日以内に湿疹の重症度が50%以上改善を示した。

ちなみにデュピクセントは2週間毎の投与をすると4か月後にはEASI-75達成率が7割弱とのエビデンスがある。

 

 

 

 


ANB019


 

 

 

 

ANAB019はインターロイキン36そのものではなくその受容体をブロックする。インターロイキン36も病原体が侵入したときに活躍する物質であるが過ぎたるは猶及ばざるが如し。過剰になると自己の細胞を攻撃してしまい乾癬といった難病を引き起こす。

 

これまでの知見ではインターロイキン36には三つの型、α、β、γが発見されておりそれぞれがIL-36受容体に結合し炎症反応が亢進する。

 

ANAB019は受容体であるIL-36Rをブロックしてその3つがくっつかない様にする薬である。臨床試験で対象なのは2つ

 

 

 

掌足膿疱性乾癬

 

膿疱と呼ばれる皮疹が手掌や足の裏に多くみられ、小さな水ぶくれ(水疱)ができて次第に膿疱に変化。その後はかさぶたとなり、角層がはげ落ちる。
ウミの中には細菌はいない。皮膚科で細菌性なのか無菌なのかは細胞片を取って調べる。そして治療となる。

細菌がいるのに免疫を抑制するステロイド外用薬を使ったりすると症状が増悪しかねない。

 

膿疱性乾癬

 

乾癬自体が今だ治療が難しい病気だが更に全身に膿ができるという重たい病態。

日本でも全身に現れるタイプの膿疱性乾癬は指定難病となっている。

 

新しい皮疹がたくさん出る場合は強いステロイド軟膏を使用し、良くなってきたら弱いステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏だが対処療法であって使わなければ直ぐに悪化するしきちんと医師の指示通りに使っていてもコントロールできない患者が数多くいる。

 

 

 


パートナーシップ


 

TESARO Inc

 

TSR-042:抗PD-1単一特異性アンタゴニスト抗体
TSR-022:抗TIM-3単一特異性アンタゴニスト抗体
TSR-033:抗LAG-3単一特異性アンタゴニスト抗体
TSR-075:抗PD-1 / LAG-3二重特異性アンタゴニスト抗体

 

最終的に承認を得た場合、テサロはAnaptysBioに売上1桁%のロイヤルティを支払う。

 

Celgene

CC-90006:抗PD-1/乾癬治療対象

 

 


IPOしてからの株価推移


 

 

去年の株式公開からすでに株価は4倍となっているが現在の時価総額はまだ19億ドルと小さい。

 

etokimabがうまく承認されたら少なくとも時価総額は50億ドルにはなるはず。売上によっては100億ドルも無理ではない。サノフィのデュピクセントが存在しなければもっと株価は高かったかもしれない。

 

etokimabには承認されるかどうかのリスクと承認された後にデュピクセントと競争して勝てるのかという2つリスクがある。

 

デュピクセントは喘息治療においてもFDAから既に承認されており着々と臨床実績を積み上げている。2018年上半期のデュピクセント売り上げは300億円を既に超えている。

 

 

来年2019年にはアナプティスバイオが行っている臨床試験の結果がすべて出揃う。

 

年内に大きく株価が下がるようであれば仕込んでおくのもいいかもしれない。

 

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